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『トップガン』キャストたちの現在

  • 2024.11.9

アイスマン役 ヴァル・キルマー

"Top Gun", directed by Tony Scott. Seen here, Val Kilmer as Lt. Tom 'Iceman' Kazansky. Initial theatrical release May 16, 1986.

マーヴェリックのライバルで、反目し合いながら訓練成績を競う冷静沈着なアイスマンを演じてブレイクしたヴァル・キルマー。17歳で名門ジュリアード音楽院演劇科に合格し、当時最年少で入学した経歴を誇る彼は、トム・クルーズ演じる主人公と対照的なキャラクターで注目された。ジョージ・ルーカス原案でロン・ハワード監督の大作『ウィロー』(1988)に抜擢され、同作で共演したジョアンヌ・ウォーリーと結婚して2児をもうけたが、1996年に離婚している。

主演作『ドアーズ』(1991)では伝説のバンドのカリスマ的シンガー、ジム・モリソンを演じ、吹替なしで名曲の数々を自ら歌った。その後はブルース・ウェイン/バットマン役で『バットマン フォーエヴァー』(1995)に主演し、アル・パチーノロバート・デ・ニーロと共演した『ヒート』(1995)や画家ウィレム・デ・クーニングを演じた『ポロック2人だけのアトリエ』(2000)などにも出演。役の大小やジャンルにこだわらずにキャリアを築いた。

2019年、娘のメルセデスとともに。
2019 Annual Thespians Go Hollywood Gala2019年、娘のメルセデスとともに。

詩集発表や画家として東京でも個展を開くなど幅広く活躍していたが、2015年に体調不良が伝えられ、2年後に咽頭がんを患っていたことを公表。手術で発声が困難になったが、2021年にはAI技術の利用で自らの声を再現することで俳優業に復帰した。子どもは2人とも俳優になり、娘のメルセデスとは『デッドヒート』(2020)で共演、2021年には自身の半生を振り返るドキュメンタリー『ヴァル・キルマー/映画に人生を捧げた男』(2021)を監督した。35年ぶりの続編『トップガン マーヴェリック』(2022)では、太平洋艦隊司令官としてマーヴェリックの良き理解者となったアイスマン役で再登場し、ファンを喜ばせた。

チャーリー役 ケリー・マクギリス

Kelly McGillis In 'Top Gun' , 1986.

マーヴェリックが教官と知らずに一目惚れし、やがて相思相愛になるチャーリーを演じたケリー・マクギリス。血気盛んな男性中心の環境で凛とした強さを印象的に体現した彼女は、前年の『刑事ジョン・ブック 目撃者』(1985)で貞淑なアーミッシュの女性を演じて脚光を浴びる。

ジョディ・フォスターアカデミー賞主演女優賞を受賞した『告発の行方』(1988)では、バーで起きたレイプ事件を捜査する地方検事補を演じた。一度は司法取引に応じるも、被害女性の絶望を知って再び男たちを告発するキャラクターだが、実は当初オファーされたのはジョディが演じたサラ役だった。そして映画公開時にはケリー自身も過去にレイプ被害に遭ったことを『ピープル』のインタビューで語っている。事件のショックからアルコールと薬物への依存が始まり、リハビリ生活も経験した。

学生時代に結婚、離婚し、1989年に一般男性と結婚して娘2人をもうけ、俳優としてはMLBのスター、ベーブ・ルースの妻を演じた『夢を生きた男/ザ・ベーブ』(1992)や『ポエトリー、セックス』(2000)などに出演していたが、2002年に離婚。2009年にレズビアンであることを公表し、自己のアイデンティティを受け入れるまでの苦悩と成長について語った。その前年にはレズビアンやバイセクシャルの女性たちを描くTVシリーズ「Lの世界」(2004〜2009)にゲスト出演している。

2013年のサンダンス国際映画祭にて。
"We Are What We Are" Portraits - 2013 Sundance Film Festival2013年のサンダンス国際映画祭にて。

カミングアウト後は自分らしく生きることを恐れず、ハリウッドが求める若作りのための美容整形や髪を染めることも拒否している。「相応に歳を重ねて、今の自分に合った姿でいることを選びました」と2019年のインタビューで語ったケリーは、ハリウッドとは距離を置いてノースカロライナ州に住み、舞台出演や演技指導のほか、アルコールと薬物依存症のリハビリ施設にフルタイムで支援活動をしたこともあるそうだ。

近年は仕事をセーブ気味で、Netflixシリーズの「ダーティ・ジョン-秘密と嘘-」シーズン2(2020)にゲスト出演し、『ヴァル・キルマー/映画に人生を捧げた男』と『トップガン マーヴェリック』には過去映像で登場した。

グース役 アンソニー・エドワーズ

TOP GUN - Anthony Edwards, 1986.

一匹狼のマーヴェリックを明るく支える相棒、レーダー傍受士官のグース役で脚光を浴びたアンソニー・エドワーズ。グースは無鉄砲なマーヴェリックを受けとめる心優しく陽気な愛されキャラゆえに、劇中の悲劇的な展開は観客の涙を誘った。1980年代前半は『初体験/リッジモント・ハイ』(1982)や『シュア・シング』(1985)など青春映画で活躍した。

『トップガン』以降、映画主演も務めたが、人気を不動のものとしたのは1994年にスタートした医療ドラマのTVシリーズ「ER緊急救命室」(1994〜2009)のマーク・グリーン役。エミー賞の主演男優賞に4回ノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門の主演男優賞を受賞している。

ER

2002年に家族との時間を大切にしたいという理由で、シーズン7をもって同ドラマを降板したが、4人の子どもをもうけたメイクアップアーティストで、スティラ(STILA)創立者のジャニーヌ・ロベルとは2015年に離婚。2021年に再婚した俳優のメア・ウィニンガムは、奇しくもヴァル・キルマーの高校時代のガールフレンドだそう。「ER」降板後はデヴィッド・フィンチャー監督の『ゾディアック』(2006)でマーク・ラファロ演じるトースキー刑事の相棒刑事役など、映画やTVの仕事を続けているほか、2016年にはヘザー・グレアム主演のコメディ映画『My Dead Boyfriend(原題)』で長編映画監督デビューした。

「WeCrashed〜スタートアップ狂騒曲」
WECRASHED - Anthony Edwards「WeCrashed〜スタートアップ狂騒曲」

近年はNetflixシリーズ「令嬢アンナの真実」(2022)やAppleTV+のシリーズ「WeCrashed〜スタートアップ狂騒曲」(2022)などに出演している。『トップガン マーヴェリック』では、マイルズ・テラーがグースの息子で父と同じ道を目指す新人パイロットのルースターを演じている。

キャロル役 メグ・ライアン

TOP GUN - Tom Cruise, Meg Ryan, Anthony Edwards, 1986

グースの妻で、『トップガン マーヴェリック』のルースターの母親キャロルを演じたのは1980年代後半から1990年代にかけてロマンティック・コメディの女王として君臨したメグ・ライアン。本作出演で突破口をつかみ、1989年の初主演作『恋人たちの予感』(1989)で一気にスターダムに駆け上がった。

Top Gun - Meg Ryan as Carole, 1986

私生活では『インナースペース』(1987)で共演したデニス・クエイドと1991年に結婚し、翌年に息子ジャックが誕生。ヴァル・キルマー主演の『ドアーズ』(1991)では、ジム・モリソンの恋人パメラを演じた。仕事面ではトム・ハンクスと共演の『めぐり逢えたら』(1993)、『ユー・ガット・メール』(1998)をはじめとする主演作が次々と大ヒットし続け、公私ともに絶好調だったが、『プルーフ・オブ・ライフ』(2000)で共演したラッセル・クロウとの不倫騒動から2001年にデニスと離婚して以降、キャリアは低迷した。

ジェーン・カンピオン監督の『イン・ザ・カット』(2003)やインディペンデント映画を中心に出演した後、2015年に映画『涙のメッセンジャー 14歳の約束』で監督デビューを果たす。第二次世界大戦中のアメリカの小さな町を舞台に14歳の少年の物語で、メグは主人公の母親を、息子のジャックが主人公の兄を、そしてトム・ハンクスが亡くなったばかりの夫を演じた。

Fourth Annual Academy Museum Gala

だが、新境地を開拓した直後から8年間休業生活に入った。その間は思春期だった養子のデイジーを育てることを優先し、「人として成長したい部分がたくさんあると感じていたので、大きな休みを取りました」と思い切った決断の理由を『ピープル』で語っている。

そして2023年、監督と共同脚本も兼ねた主演作『What Happens Later(原題)』でカムバック。吹雪のために足止めを食らった空港で偶然再会した元カップルの一夜をデヴィッド・ドゥカヴニーと演じている。

ヴァイパー役 トム・スケリット

Top Gun - Tom Skerritt as Cdr. Mike "Viper" Metcalf, 1986

トップガンの指導教官で、マーヴェリックの父と共にベトナム戦争に従軍したヴァイパーを演じたトム・スケリットは、主にバイプレイヤーとして1960年代から活躍してきたベテラン。ロバート・アルトマン監督の名作『M★A★S★H マッシュ』(1970)や『エイリアン』(1979)のダラス船長役で知られる。『トップガン』の後は『マグノリアの花たち』(1989)ではジュリア・ロバーツの、『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)ではブラッド・ピットの父親役を務めた。

TVでも活躍し、アメリカ中西部の小さな町が舞台の人間ドラマ『ピケット・フェンス ブロック捜査メモ』(1992〜1996)では主人公のブロック保安官を演じて、エミー賞ドラマシリーズ部門主演男優賞を受賞した。1933年生まれで今も現役で活躍していて、近年は『エイリアン』で共演したハリー・ディーン・スタントンの遺作『ラッキー』(2017)に出演し、2021年には初の主演映画『East of the Mountains(原題)』が公開された。

2022年のシアトル国際映画祭にて。
48th Seattle International Film Festival2022年のシアトル国際映画祭にて。

傷痍軍人の心のケアと再生をサポートするNPO「レッドバッジ・プロジェクト」を共同創設するなど、社会活動にも積極的で、米大統領選挙の直前にはインスタグラムのストーリーで「VOTE VOTE VOTE」と投票を呼びかけていた。

Text: Yuki Tominaga

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