【妊娠中の性行為】妊娠中のセックスはOK？お腹が張ったらどうする？

セックスは愛情表現のひとつ。しかし、妊娠中は性行為を控えたほうがいいのでしょうか？今回は、妊娠中の性行為は大丈夫なのか、性行為によるリスクや注意点などを解説します。また、性行為以外のスキンシップを取る方法といった知恵袋も紹介しているので、気になる方はぜひチェックしてくださいね。

妊娠中の性行為ってしてもいい？

妊娠中の性行為はいつからいつまでしてもいいのか、エッチのとき中に出てしまったらどうしたらいいのか、赤ちゃんへ影響はないのかなど、初めての妊娠時は気になることがたくさんありますよね。
性行為自体は、お腹の赤ちゃんへ直接的な影響を及ぼすことはほとんどないと言われています。医師から安静の指示がない場合は、セックスを行っても問題はないようです。
しかし、妊娠期間中の女性の体は非常にデリケート。初期のつわりや中期からのお腹のふくらみといった体の変化はもちろん、妊娠していないときと比べて免疫力が低下しており、感染症にかかりやすい状態です。妊娠中に性感染症にかかると生まれてくる赤ちゃんにも感染し、合併症を招く恐れもあるでしょう。
妊娠初期は、ホルモンバランスの変化から性欲が減る人もいれば強くなる人もいます。無理に我慢するのではなく、体の変化や性行為によるリスクを理解したうえで、パートナーとしっかり話し合いましょう。

出典：産科編 妊娠中期 セックスは控えたほうがよいですか？（周産期医学 49巻13号）｜医書.jp

妊娠中のセックスのリスクをチェック！

妊娠経過が安定していれば、セックス自体は問題ありません。しかし、妊娠していないときよりもさまざまなリスクがあることを忘れないようにしましょう。性行為によるリスクは主に以下の2つが考えられます。

＜妊娠中の性行為のリスク＞

性感染症にかかるリスクがある

精液に含まれる細菌による流産や早産のリスクがある

ママと赤ちゃんの安全を守るためにも、妊娠中の性行為のリスクをしっかり理解しましょう。

・性感染症にかかるリスクがある

妊娠中は、免疫力の低下から性感染症にかかりやすくなっています。ママが感染するとお腹の赤ちゃんへ移る可能性も。性感染症には、クラミジア感染症や淋菌感染症、梅毒といった赤ちゃんに障害をもたらす可能性のある病気もあり、最悪の場合は早産や死産に繋がってしまいます。

出典：妊娠中の感染症｜MSDマニュアル家庭版

・精液に含まれる細菌による流産や早産のリスクがある

精液にはさまざまな細菌が含まれており、中には早産や破水、流産の引き金になるものも存在しています。絨毛膜羊膜炎を引き起こすもの、子宮を収縮させるものや卵膜をもろくして破水を引き起こしてしまうものなど、妊娠中の体によくない作用を持つものが多くあるのです。
精子自体にも細菌を頸管の中へ運び込む働きがあり、子宮内感染を助長してしまいます。

出典：妊娠中のセックス｜堀産婦人科
出典：羊膜内感染症（絨毛膜羊膜炎）｜MSDマニュアルプロフェッショナル版

注意して！妊娠中に性行為をするとき気をつけるべきこと7つ

妊娠中の性行為には、先ほど述べたようにリスクがあります。しかし、過度の禁欲はストレスや夫婦仲の悪化に繋がりかねません。
ここでは、妊娠中のセックスを安全に行うために気をつけるべきことを7つご紹介します。

＜妊娠中に性行為をするとき気をつけたいこと＞

コンドームを使用する

オーラルセックスはしない

乳頭への刺激を避ける

長時間しない

ソフトに挿入する

体位に注意する

挿入は安定期に入るまで避けるのがおすすめ

以下を確認して、妊娠中の性行為の不安を取り除きましょう。

・コンドームを使用する

妊娠中は避妊の必要がないからといって、ゴムなしでエッチをしても大丈夫と思われる方もいるでしょう。しかし、前述したように、精液にはたくさんの細菌が含まれており、免疫力が低下している妊婦は些細なことで感染症を引き起こします。必ずコンドームを装着して、中出しをしないようにしましょう。

出典：妊娠中のセックス｜堀産婦人科

・オーラルセックスはしない

オーラルセックスとは、唇や舌を使って行う性行為の一種です。オーラルセックスは直接相手の体液にふれるので、感染症を引き起こすケースも。
キスぐらいは大丈夫と思われがちですが、場合によってはダメな理由もあります。軽いキスであれば感染のリスクは低いですが、口唇ヘルペスや梅毒などで目に見える発疹がある場合は、感染する可能性が高くなるのでキスを控えましょう。

出典：オーラルセックスによる性感染症に関するQ＆A｜厚生労働省

・乳頭への刺激を避ける

乳頭を刺激するとオキシトシンというホルモンが分泌され、子宮を収縮させます。お腹の張りを引き起こすため、極端な乳頭への刺激はできるだけ控えましょう。

出典：妊娠中のセックス｜堀産婦人科

・長時間しない

長時間の性行為は体の冷えを招きます。また、無理な姿勢や体位が続くと、ママの体に負担がかかってしまうでしょう。妊婦の体を最優先に考えて長時間のセックスは避け、すぐに休める環境作りも大切です。

出典：妊娠中の性行為（セックス）いつまで大丈夫？性欲や頻度（毎日など）について解説！｜ぽん鍼灸

・ソフトに挿入する

ペニスの挿入やピストン運動は子宮を収縮させ、産道へ負担もかかります。激しい性行為は体への負担も大きく、流産や早産に繋がる可能性も。できるだけ激しい動きは避け、優しく挿入しましょう。

出典：妊娠中のセックス｜堀産婦人科

・体位に注意する

妊娠中期～後期にかけて子宮が大きくなり、お腹のふくらみが目立ち始めます。うつ伏せや仰向けなどの姿勢をとり続けると、お腹が圧迫されて血圧が下がり、気分が悪くなる原因に。
お腹を圧迫しない横向きの姿勢や、ママ自身がリラックスできる姿勢を心がけましょう。

出典：【医師監修】妊娠中のセックス（性行為）は大丈夫？妊娠初期やおなかが張った時は？｜マイナビ

・挿入は安定期に入るまで避けるのがおすすめ

妊娠初期は赤ちゃんにとってもママにとっても非常にデリケートな時期。もしお腹の張りや出血があれば、ママは不安を感じるでしょう。安定期に入るまでは、刺激となり得る挿入は避けるのがベターです。

出典：妊娠初期症状は性行為後いつから？【産婦人科専門医監修】｜新宿駅前婦人科クリニック

妊娠中のセックス、こんなときは避けて！

妊娠中は体や心にさまざまな変化が起こります。安全で楽しい夫婦生活を送るために、妊娠中の性行為がNGとされるときを9つお伝えします。

＜妊娠中の性行為NGなとき＞

妊娠初期

お腹が張っているとき

医師から安静にするよう言われているとき

不正出血しているとき

多胎の場合

過去に流産や切迫流産の経験がある場合

前置胎盤である場合

つわりがあるとき

気分が乗らないとき

これらがなぜNGとされているのか、詳しく解説していきます。

・妊娠初期

妊娠4～15週の妊娠初期は、セックスを避けたほうがいいとされている時期です。
妊娠初期はもともと流産のリスクが高い時期ではありますが、性行為が直接的な原因にはなることはなく、染色体や遺伝子の異常によるものがほとんど。しかし、この時期に性行為をして万が一流産してしまうと、「もしかするとあのときの性行為のせいかも…」と、自身やパートナーを責めてしまうかもしれません。
性行為の刺激によって子宮が収縮し、お腹の張りや出血を引き起こす可能性もあるため、不安にならないためにも妊娠初期の性行為は控えたほうがベターです。

ちなみに、妊娠超初期と呼ばれる妊娠0～3週は、妊娠に気づかない人も多い時期です。超初期に避妊なしでセックスしても、体調がよければ焦る必要はありません。ただし、避妊なしでのセックスは、精液の影響でお腹の赤ちゃんに危険が及ぶ可能性もあります。妊娠がわかったらしっかりと避妊しましょう。
また、いってしまった際は、お腹の張りが強く出ることもあるので、その後の体調変化に十分注意してくださいね。

出典：流産について｜エマ婦人科クリニック名古屋栄

・お腹が張っているとき

お腹の張りを感じる場合は、赤ちゃんからSOSのサインかもしれません。長く、頻回に張りを感じるときや痛みを伴うときは、切迫流産や早産の可能性があります。
セックスによっていくことで、さらにお腹が張る可能性もあります。お腹が張っているときに性行為をしないのはもちろん、お腹の張りが出たらすぐに中断して安静にしましょう。お腹の張りや痛みがおさまらない場合は、早めに病院を受診してくださいね。

出典：「お腹が張る」は切迫早産・流産のサインの可能性。ベビーからのSOSを聞こう。｜保険ウィズ

・医師から安静にするよう言われているとき

医師から安静にするよう指示があるのは、ママの体やお腹の赤ちゃんになんらかの心配があるためです。日常生活はもちろん性行為も刺激になるので、安静指示があるときは家でゆっくりしましょう。

出典：妊娠初期にセックス（性行為）してもいいの？ 赤ちゃんへの影響はある？｜natural tech 株式会社

・不正出血しているとき

不正出血にはさまざまな原因があります。特に、お腹の痛みを伴う出血は切迫流産の可能性があるため、注意が必要です。妊娠経過や出血の量などにより原因は異なるので、性行為は控えて安静にして、早めに病院を受診しましょう。

出典：妊娠中の出血！切迫流産っていったい何？？｜国立研究開発法人 国立成育医療研究センター

・多胎の場合

双子や三つ子といった多胎妊娠は、単体妊娠に比べて体への負担が大きく、いろいろなトラブルを起こす可能性が高くなっています。早産や妊娠高血圧症、妊娠糖尿病といった合併症のリスクが高く、お腹の張りも強く見られるので、多胎妊娠の場合はセックスをしないほうがいいでしょう。

出典：多胎妊娠外来｜国立研究開発法人 国立成育医療研究センター
出典：妊娠初期にセックス（性行為）してもいいの？赤ちゃんへの影響はある？人には聞きにくい疑問を助産師が解説！ | mitas series

・過去に流産や切迫流産の経験がある場合

これまでに流産、切迫流産といった経験がある場合は、同じ妊娠経過を辿る可能性があります。不安を取り除くためにも、子宮への刺激となり得るセックスは控えたほうがいいでしょう。

出典：反復流産（不育症、習慣流産）｜MSDマニュアル家庭版
出典：切迫早産｜メディカルノート

・前置胎盤である場合

前置胎盤とは、胎盤が正常よりも低い位置についており、出産時に赤ちゃんよりも先に胎盤が出てしまう可能性がある状態です。胎盤が先に出ると大量に出血してしまい、またお腹の赤ちゃんへ栄養や酸素が届かなくなるため、母子ともに危険な状態に陥ります。
前置胎盤の場合、お腹が張ると早産になる可能性が高いことから、母子の命を守るためにも性行為は控えましょう。

出典：前置胎盤｜公益社団法人 日本産婦人科学会
出典：【医師監修】｢前置胎盤｣と診断されました。気を付けることや出産は？｜ゼクシィBaby

・つわりがあるとき

妊娠初期に多く現れる、つわりの症状。この時期は身体的にも精神的にもきついため、セックスは控えたほうがベター。個人差はありますが、妊娠13週頃には落ち着く人が多いようです。しかし、つわりが落ち着く時期には個人差があるので、気分がすぐれないときは無理をしないようにしましょう。

出典：【医師監修】妊娠中もセックスしていい？｜ゼクシィBaby

・気分が乗らないとき

妊娠中のセックスは、無理をしないことがポイントです。妊娠するとホルモンバランスの変化などから、性欲が強くなる方もいれば弱くなる方もいます。今まで毎日のようにセックスをしていたとしても、妊娠による体の変化からしたくないと感じる場合もあるはず。
精神的苦痛を避けるためにも、気分が乗らないときはセックスを控えましょう。オープンに話し合い、セックスの頻度や痛いと感じたときはどうするかなどの悩みを共有しながら、愛情を育むことが大切です。

出典：性欲低下について4 妊娠出産 | 女性医療クリニックLUNA

セックスなしでも大丈夫♡妊娠中ラブラブになるスキンシップのすすめ

これまでに紹介したように、妊娠中はセックスを控えた方がよい場合もありますし、セックスする気にならないときもあります。しかしそれが原因で気持ちのズレやストレスが生じ、夫婦間がギクシャクしてしまうのは避けたいですよね…。そんなときは、積極的にスキンシップを取るのがおすすめです。
夫婦になると手を繋ぐ機会も減ってしまいがち。お出かけのときや家でいっしょにテレビをみているときに手を繋いでみると、つき合いたてのようなドキドキ感が味わえるかも♡また、キスやハグも立派なスキンシップ。ラブラブな気分が高まります。
その他、会話をする、見つめ合うなどもスキンシップになります。夫婦で会話する際は、パートナーの目を見て話すことを意識してみてください。会話をしっかりすることで、セックスできないことで生じるわだかまりも防ぐことができるでしょう。

妊娠中の性行為は無理は禁物！体調や赤ちゃんの状態を優先して判断しよう！

妊娠中でも、セックスは愛情を育む行為としてとても重要です。しかし、妊娠中の体はとてもデリケートなので、無理は禁物。セックスだけでなく、キスやハグ、手を繋いだり見つめ合ったりすることも立派なスキンシップのひとつです。夫婦になると手を繋ぐ機会は減りますが、つき合いたてのような気分になれるかもしれませんよ。パートナーとしっかり話し合って、妊娠中でもラブラブな夫婦関係を築き、元気な赤ちゃんを出産できるように過ごしましょう♪