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40周年を祝うカルティエ現代美術財団。来年、ルーヴル美術館の向かいにお引越し。

  • 2024.11.10

現代アートのためのカルティエ現代美術財団が40周年記念を祝い、来年末までにパレ・ロワイヤル広場2番地に展示スペースを移転することを発表した。場所はルーヴル美術館のお向かいで、1855年にグラントテル・デュ・ルーヴルがオープンする際に建築された建物だ。1852年にボン・マルシェの誕生以降、次々とパリ市内にデパートが生まれていき、このホテルもグラン・マガザン・デュ・ルーヴルというデパートに。その後アンティケール・デュ・ルーヴルに変身し、2018年まで複数のアンティーク商がこの中に軒を連ねて商売をしていたのだ。歴史的建造物に指定されている建物で、ここも現在の財団と同様に建築家ジャン・ヌーヴェルが設計を担当し、展示スペースは6500平米と現在の5倍近くとなる。財団の新しい章の始まりである。

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2025年にカルティエ現代美術財団がリヴォリ通りとサントノーレ通りに挟まれたパレ・ロワイヤル広場に引っ越してくる。photography: ©️Luc Boegly
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Grand Hôtel du Louvre時代の中庭。Alphonse ChamoüinSource: Paris Musées/Musée Carnavalet - Histoire de Paris
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1880年、デパートのGrand Magazin du Louvre時代。

カルティエ財団というとラスパイユ大通りの緑の中に建つガラスの建物を思うけれど、ここに引っ越してきたのは1994年のことで、1984年の誕生の地はジュイ・アン・ジョザスというパリの郊外だった。そのきっかけとなったのは、当時のカルティエ インターナショナルのプレジデントで芸術愛好家のアラン=ドミニク・ペランと友人で彫刻家のセザールとのディナーにおける会話だった。アーティストを援助する方法を尋ねられ、セザールが"制作資金と展示場所"と答え、その翌年にカルティエ財団が設立されたのだ。現代アートに捧げる初の企業所有の財団の誕生である。その後、フランスに限らずリュクスなメゾンがカルティエに続くことになるのだが、それは現存芸術家の作品を購入した企業に対する税制面での優遇措置を設けたメセナに関する法律が1987年に制定されたことも大きいだろう。この制定はドミニク=ペランの努力があってのことだ。

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ジュイ・アン・ジョザスにて、アラン=ドミニク・ペラン(左)とセザール(右)。中央は1984年から1993年まで財団のディレクターを務めたマリ=クロード・ボー。エッフェルへのオマージュを背景に1984年に撮影された。photography: ©️Daniel Boudinet - Mission du patrimoine photographique, ministère de la culture, Paris。
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いまから20年前、1984年10月20日にジュイ・アン・ジョザスに誕生したカルティエ現代美術財団。photography: ©️Daniel Boudinet- Mission du patrimoine photographique, ministère de la culture , Paris
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ジュイ・アン・ジョザスの敷地内の公園のために、ジャン=ピエール・レイノーに制作が依頼されて完成したのが『Le Pot doré』(1985年)だ。©️Jean-Pierre Raynaud/ ADAGP, Paris 2024 photograrphy Hugues Colson

財団の移転を発表した40周年を祝う会場で、ペランはカルティエ現代美術財団の設立に際して打ち立てた3大原則がいまもしっかりと守られていると誇らしげに語った。ひとつは主役がアーティストであることで、それは有名無名を問わない。2つ目は絵画、写真、建築など分野を問わず、あらゆるジャンルのクリエイションに捧げる場であること。3つ目はカルティエの商業発展と財団の活動を切り離すというものだ。この3原則に則った40年間、開催した展覧会は300を数える。アーティストのクリエイションに資金を提供し、展覧会の展示作品の一部や全てを購入している財団の所蔵作品は現在4500点近い。

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ルーヴル広場にできる新しいカルティエ現代美術財団。2023年1月の工事現場。photography: ©️Martin Argyroglo
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2024年7月撮影。地上階からの眺め。建物の8500平米の広さの中で展示スペースに当てられるのは6500平米。そのうちの1200平米は、5つの可動式プラットフォームによって、表面積と建物内のナビゲーションの変更が可能となる。プラットフォームの配置を変えて、高さ11メートルの空間に層構造を作り出すこともできる。photography: ©️Martin Argyroglo
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エントランスからの眺めの完成見取り図。ほかでは不可能な展示会の視点や形態をアーティストたちに提供する空間というのが、ジャン・ヌーヴェルの設計のアイデアだ。©️Jean Nouvel /ADAGP , Paris 2024

この冒険が続けられる新しいスペースで行われた発表会場は工事の真っ最中だが、建物の周囲では40周年を祝う一環として、創作の喜びをこの間に分かち合ってきたアーティストたちを紹介するインスタレーションを行っている。アニエス・ヴァルダ、ロン・ミュエク、ルー・リード、横尾忠則 、クラウディア・アンデュジャールなど30名のポートレートによって、道ゆく人々は財団の歴史に触れることができるのだ。またアニバーサリーブックとして『Voir venir, Venir voir』も出版された。アーティストの紹介があり、また160以上の展覧会が写真で紹介されていて財団の活動を懐かしく見たり、発見をしたり......1984〜1993年のジュイ・アン・ジョザス時代の展示を知ることも楽しい。財団の過去40年間にさまざまな現代アートに触れることができたように、規模がさらに大きくなることで次に来る40年のアートの旅への期待にかき立てられることになる。

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来年完成する財団の建物の地上階におけるインスタレーション。photography: ©️Martin Argyroglo
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