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【栗の豆知識】かたい皮と渋皮がむきやすくなるコツとおいしい栗ごはんの作り方【栄養士ライター解説】

  • 2024.11.8

生栗の皮をむきやすくするコツと栗の豆知識

「かたい皮をむくのが怖い」と感じている人は多い
「かたい皮をむくのが怖い」と感じている人は多い

秋に旬を迎える国産の生栗を使った定番料理が、栗ごはん。「手作りしたいけれど、かたい皮をむくのが怖い」と感じている人は多いのではないでしょうか。そこで、筆者が栄養士養成校で学んだ生栗の皮をむきやすくするコツや栗にまつわる豆知識をご紹介します。

日本栗と中国栗の違いは粒の大きさと渋皮のむきやすさ

▲日本栗の主な産地は茨城県、熊本県、愛媛県など。
▲日本栗の主な産地は茨城県、熊本県、愛媛県など。

栗は世界各地で多彩な品種が栽培され、大きく分けると日本栗、中国栗、西洋栗、アメリカ栗があります。日本で秋によく出回っているのは日本栗が中心で、『筑波(つくば)』『丹沢(たんざわ)』『利平(りへい)ぐり』など、多彩な品種が栽培されています。日本栗は粒が大きめで甘みがあり、鬼皮(かたい外皮)と渋皮がむきにくい傾向があります(加熱するとむきやすくなる『ぽろたん』など例外もあり)。一方、中国栗は日本栗と比べると小粒で渋皮がむきやすく、その特性を活かした加工品が「甘栗」です。

生栗の鬼皮・渋皮をむきやすくするポイント

皮のむきにくさが個性でもある日本栗。鬼皮(かたい外皮)と渋皮をむくコツさえつかめれば、秋限定のごちそうである手作り栗ごはんのハードルも低く感じられるのではないでしょうか。ポイントは「栗を熱湯につけておく」、「栗の底(お尻)を少し落として鬼皮をむく」です。

(1)大きめの鍋にたっぷりの湯を沸騰させて火を止め、栗を入れ(熱湯が飛びはねないよう優しく入れてください)、鍋蓋をして、あら熱が取れるまで放置します(30~50分程度)。(2)栗を1個ずつ湯から取り出し、栗のザラザラした底(お尻)の部分を少し切り落とし、切り口から包丁をあて先端に向かって鬼皮を引き剥がすようにしてむきます(手が滑って包丁でケガをしやすいので慎重にむきましょう)。むいた後の渋皮がついた栗は、あら熱が取れた湯に戻します(渋皮がふやけてむきやすくなります)。(3)栗の鬼皮をすべてむき終わったら、再び栗を湯から取り出し(この頃にはぬるま湯になっています)、渋皮を包丁でむきます(少し渋皮を残す粗さでOK)。

時間があるときは、(1)の前に1時間~半日程度、栗を水に浸しておくと、栗の中に虫がいる場合は追い出すことができます。

栗ごはんの作り方

▲栗ごはんの完成!お好みで黒ゴマをふって召し上がれ。
▲栗ごはんの完成!お好みで黒ゴマをふって召し上がれ。

鬼皮・渋皮をむいた栗を、食べやすい大きさ(半分または4等分)に切って水に5~10分程度さらし(アク抜きのため)ます。米2合に対して、酒大さじ1と塩小さじ1を加え、2合の水加減に。水気を切った栗10~15個程度、だし用昆布(5cm角くらい)をのせて炊けば、栗ごはんの完成です!炊き上がったら栗をつぶさないよう優しく混ぜ、お茶わんなどに盛りつけてくださいね。

渋皮煮・甘露煮・マロングラッセの違い

▲渋皮煮(左)、甘露煮(中央)、マロングラッセ(右)
▲渋皮煮(左)、甘露煮(中央)、マロングラッセ(右)

ところで、栗を丸ごと食べられる栗菓子の代表格といえば「渋皮煮」「甘露煮」「マロングラッセ」ですが、その違いについてご存知でしょうか?大きな違いは、渋皮を残すか、キレイに取り除くか。その名の通り渋皮を残して甘く煮たのが「渋皮煮」、渋皮をキレイに取り除いて調理するのが「甘露煮」「マロングラッセ」です。「甘露煮」と「マロングラッセ」で仕上がりの違いがあるのは、調理工程によるもの。「甘露煮」は渋皮をむいた栗を一度ゆでてから砂糖やみりんなどで煮含めるのに対し、「マロングラッセ」はシロップで煮て冷まし、砂糖を加えてさらに煮る工程を何度も繰り返して艶のあるキャラメル色になります。

※参考文献:一般社団法人 日本果樹種苗協会(果種協)ほか監修『図説 果物の大図鑑』マイナビ出版,2019、杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版,2017、山本悦子・小谷一子・渡辺豊子共著『クッキング-Cooking-』光生館,2015

(野村ゆき)

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