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【水上恒司、映画『本心』を語る】「ちょっと消化が悪くてそれが心地よかった」

  • 2024.11.7

【MOVIE:INTERVIEW】水上恒司

映画『本心』は“自由死”を望んだ母親をAIで蘇らせる男を描いた作品。「ちょっと消化が悪くて、それが心地よかった」と、水上恒司さんは独特の表現で脚本を読んだ感想を振り返る。

「現実の社会とリンクする幅広い問題を盛り込みながら、明確に答えを示すわけではなく、読み手に委ねる。想像力を刺激する余白の部分に惹かれて、この作品に関われることを光栄に感じました。大先輩たちと共演させていただくことも含めて、自分にとって大きな試練になりそうだな……と」

劇中では主人公の朔也を演じる池松壮亮さんと対峙する場面が多く、圧倒的な存在感に感銘を受けた。

「池松さんは一挙手一投足がリアルで、朔也の肉体と精神をその場に存在させることができる人。だからこそ、僕もできる限り“嘘”を取り除いた芝居をしたいと思っていました。僕が演じた岸谷は朔也を闇に引きずり込もうとするのですが、ただただ社会に翻弄されて一生懸命に生きている青年にも見えるはず。人間の本心と建て前や、そこに影響を与えている社会の構造など、いろんな視点で楽しんでいただける映画に仕上がっていると思います」

ちなみに水上さんは普段から人前で“本心”を語ることを大事にしている。嘘がつけないタイプだ。

「日頃から細かな嘘をついていると、芝居も少しずつ嘘くさくなってしまいそうなので、できる限り本心に従って生きていたいんですよ。そのせいで、共演者の方々やスタッフさんから暑苦しいヤツだと思われているかもしれませんが(笑)」

Q.心身の調子を保つために大切にしていることは?

A.嫌なことがあっても寝たら忘れちゃうことが多いので、できる限り睡眠時間を削りたくないですね。そして、毎日仕事で自分なりに全力を出し切ることが安眠につながるのではないかと思っています。

Q.先輩俳優と共演する際に心がけていることは?

A.見栄を張らないことですね。分からないことがあったら、ごまかしたり恥ずかしがったりせず、正直に伝える。相手が誰であっても、それを積み重ねることで信頼関係を築けるような気がします。

Q.俳優業でAIを駆使して実現してみたいことは?

A.最近はAIで蘇った松田優作さんがCMに出演されて、ひとりの視聴者として面白い表現だと思いました。でも、一緒に芝居をしたり、相談をしたり、恋をするのは、やっぱり生身の人間に限ります(笑)。

水上恒司さん

■PROFILE
水上恒司/みずかみ こうし●1999年5月12日生まれ。福岡県出身。近年は連続テレビ小説『ブギウギ』やドラマ『ブルーモーメント』などで好演。映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で第47回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。

MOVIE/『本心』

MOVIE/『本心』
©2024 映画『本心』製作委員会

平野啓一郎の同名小説を映画化。急逝した母の本心を知るために、仮想空間に母を蘇らせた息子が、自分を見失っていく様を描く。監督は『舟を編む』の石井裕也。主演は池松壮亮。共演に三吉彩花、田中裕子、水上恒司、仲野太賀、妻夫木聡ら豪華キャスト陣が名を連ねる。11月8日公開。

撮影/榊原裕一 ヘアメイク/Kohey (HAKU) スタイリング/藤長祥平 取材・文/浅原聡

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