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「戦死した父は母が私を身ごもっていたことを知っていたのか」 西田敏行・二代目局長が愛した名作『レイテ島からのハガキ』

  • 2024.11.6
【写真・画像】「戦死した父は母が私を身ごもっていたことを知っていたのか」 西田敏行・二代目局長が愛した名作『レイテ島からのハガキ』 1枚目
ABEMA TIMES

11月1日の『探偵!ナイトスクープ』(テレビ朝日系)は、10月17日に亡くなった番組の二代目局長・西田敏行さんを追悼する総集編が放送された。

【映像】戦死した父が母に送ったハガキの実物

2001年から19年間、温かく涙もろい純な人柄で、番組を愛し、盛り上げた西田さん。実はその時代、探偵とスタッフとの毎年の忘年会で、年間のベストVTRを「局長賞」として選んでいたという。今回はその中から厳選し、西田局長が依頼文の時点から涙を流した名作『レイテ島からのハガキ』が放送された。これは2011年1月7日放送の内容で、麒麟の田村裕探偵が調査した次のような依頼だ。

『私の父は昭和19年8月、新婚5カ月で召集され、フィリピンのレイテ島に出征しました。私が生まれた昭和20年1月には、すでに戦死していたと考えられます。女手一つで私を育てた母の苦労は並大抵ではありませんでしたが、その母も5年前に他界しました。母の遺品を整理していると、出征した父からの古いハガキを2枚見つけました。それは母が何度も読み返していたらしく、また鉛筆書きということもあって、かなりすり減っています。1枚は何とか読めたのですが、もう1枚はほとんど読めません。その中に『身重であるお前』と読める箇所を発見しましたが、確信が持てません。父は母が私を身ごもっていたことを知っていたのでしょうか。父のハガキをなんとか判読してもらえないでしょうか』(大阪府の男性(当時65)より)

田村探偵が依頼者の元を訪れ、ハガキの実物を見せてもらうことに。1枚目はかろうじて読めるそうで、「お前の夢を見る故 ともすればどうかなりはしないか また病気でもしていないかと それのみ心配している どうか俺が帰るまで元気で 不自由がちだろうが辛抱してくれ 何分 決戦中の決戦だからお互いが頑張らねばならない時だ 別れたつらい日もあれば また会ううれしい日があるのだ その日を楽しみに日々を過ごし あらんことを切望する」と依頼者が趣旨を読み上げる。問題はもう1枚で、文字は掠れ、特に最後の4行は痛みが激しいのだ。

【写真・画像】「戦死した父は母が私を身ごもっていたことを知っていたのか」 西田敏行・二代目局長が愛した名作『レイテ島からのハガキ』 2枚目
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ハガキを拡大しても判別不明な箇所が多いため、書物解析のプロの力を借りることに。奈良文化財研究所を訪れると、鉛筆であれば、赤外線を当てて炭素の成分を強調させることができるという。さらに、数種類の写真を撮り、合成や画像処理などをして文字を浮き上がらせる。

さらに複数のスタッフで詳しい解析をしてもらうと、「ほぼすべて読めた」という。依頼者が気になっている『身重』の箇所は「まず『身重』で間違いないと思います。断言できる理由が、お読みになれなかった最後の4行に隠されています。たぶん覚悟の上の、辞世に近い和歌を3種詠まれています」とのことだ。

『酔ふ心 君に訴ふ事ばかり ただに言へない 吾が胸の内』
『頼むぞと 親兄姉に求めしが 心引かるゝ 妊娠の妻』
『駅頭で 万歳叫ぶ君の声 胸に膨らむ 昨夜も今夜も』

これを読んだ依頼者は「……やっぱりわかってたんですね。本当にありがとうございます」と涙とともに感謝を述べる。さらに、身重の箇所の詳細は『インキと煙草を持つて来なかつた故 不自由してゐるよ。やはり持つ物は持つべきだね。お前は大阪にゐる時から 出征したらどこかに働きに行くと言つてゐたが、それは許さんぞ。どんな事があつても 身重であるお前が働きに行く事は許可せん。兎角 お互いが元気で会う日迄 元気よく日々をすごそうではないか。亦 帰れば新婚の様な気持ちで日を送ろう。大三輪神社 思ひ出すよ。八日の晩の映画思ひ出して仕方ない。でもお互いが別れた今は帰る迄仕方ないやないか。何回もいふ事であるが、勝手行動丈は厳禁するよ』であることがわかったのだった。

これをスタジオで見届けた西田さんは嗚咽が出そうなほどで、「お父さんすごいなあ」と一言。隣の顧問・桂ざこばさんも「西田さんが泣くと僕も…」ともらい泣きしていた。

『探偵!ナイトスクープ』は、視聴者から寄せられた依頼にもとづいて、探偵局長が部下の探偵たちを野に放ち、世のため、人のため、公序良俗・安寧秩序を守るべく、この世のあらゆる事どもを徹底的に調査追求する番組。西田さんの次の局長は、ダウンタウンの松本人志が務めた。

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