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【私たちの更年期】麻生久美子×山本未奈子「更年期うつで2ヶ月家から出られなかった」【対談Vol.2】

  • 2024.11.3

更年期の不調をそれほど感じていない麻生さんが、これからのために、更年期と今向き合っている美容家・起業家の山本未奈子さんにインタビュー。対談2回目は、半年間仕事を休んで治療に専念、重度の更年期うつにかかった山本さんの当時のことを伺います。


【仕事や子育てばかりか、自分自身にも無関心になってしまった】

TALK「不調の信号に気づいて対処することが大事」

山本 42歳で更年期と診断され、44歳からはホットフラッシュや気力が落ちるなどが出てきて、睡眠不足も感じました。明け方の3〜4時に目が覚めて、そこから眠れない。昼間、睡魔に襲われたりして仕事にも支障が出て……。早く寝ればいいと22時就寝に切り替えましたが、夜中何度も目が覚めて、日中の集中力低下や疲れやすさは変わらないんです。女性ホルモンが乱高下しているから、調子のいい日もあって、「仕事が忙しいだけかも」って思う時も。黄色信号を無視して「がんばらなくちゃ」と走り続けていました。そのせいで、ひどくなってうつ状態になるとは気づかずに……。 麻生 更年期の症状って、気づかないに越したことはないって思っていましたが、黄色信号の時に早く気がつくことが大切なんですね。体と心が発する声から目を背けてはいけないって、山本さんのお話でよくわかりました。

☑更年期症状3つの原因を、女性医療ジャーナリストの増田美加さんが指南

「更年期世代で他に隠れた病気がなく、日常生活に支障をきたすほどの症状があったら、『更年期障害』と診断されます。症状は百人百様で本人がつらいと思うかどうかが重要。血液検査でホルモン値を測ってもこの時期は変動しているので、それだけでは診断できません。つらさは一人ひとり違いますが、つらい!と感じたら治療できるのです。更年期世代は、女性の体をトータルに相談できる婦人科のかかりつけ医を持つことが大切です」(増田さん)

増田美加さんPROFILE
35年以上にわたって女性のヘルスケア、医療を当事者視点にたって取材、執筆、講演。著書に『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)ほか多数。

TALK「更年期うつ、治療と生活の見直しで回復」

山本 もともとポジティブな性格なのにネガティブに考えることが増えたり、友人と出かけるのに気分がのらなかったり……。約束時間の前には必ず到着していたのに、時間に遅れてしまうことが増えて、自分がイヤになるというくり返しでした。うつ状態が始まっていたのに、それでもアクセルを踏み続けた結果、ある日、突然、涙が止まらなくなって、朝起きられなくなってしまったんです。 麻生 それが〝更年期うつ〞なんですね。どのような症状があったのですか? 山本 仕事にも子育てにも自分自身にも、興味が持てない無関心の状態です。周囲が私の変化に気づいて「病院に行ってみたら?」と言ってくれて。当時3つの会社を経営していたのですが、もう無理だな、これでは仕事も続けられないと思って、メンタルクリニックに行きました。先生に「重いうつ状態です。今すぐ仕事を休みなさい」と言われ、ようやく気づいて休職することにしました。抗うつ剤などを処方され効き始めるまでに少し時間がかかり、2ヶ月間は家から出られずにいました。薬が効き始めた頃、自分の生活も見直そうという気持ちになりました。復職まで半年かかりましたが、治療と生活の見直しで、元の私に戻ることができました。

麻生 半年間のお休みで回復されるなんてすごいです。治療だけでなく、日常生活でも何か対策をされたんですか? 山本 睡眠、食事、生活習慣を見直しました。それまでは子どものため、社員のため、と思っていたけれど、もっと自分をいたわらないと、かえって家族にも社員にも迷惑をかけると気づいたんです。自分の時間を持つようにして、家事で外注できるところは外注して。完璧主義を休んで、もっと人に頼ってもいいんだと言い聞かせました。 麻生 お話をうかがっていて、私も思い当たることがあります。疲れが溜まったり、良質な睡眠がとれてないこともあります。黄色信号が出ているのかもしれませんね。私ももっと人を頼らないと、と思いました。 山本 閉経を境に女性ホルモンは、ほぼゼロになりますが、それまで乱高下しながら下がっていきます。すると、連動して自律神経の乱れにつながり、体温や汗、感情のコントロールがきかなくなることもあります。だから、私は更年期対策として、自律神経を整える生活を心がけました。 麻生 更年期は、ゆらぎの時期だから、ホルモンの乱れはどうすることもできないと思っていましたが、自律神経を整えることならできそうですね。生活習慣を整えることが、自律神経を整えることにつながるんですね。それなら私にもできそうです。

【お話を伺ったのは】

麻生さん:ジャンプスーツ6万8200円、中に着たブラウス4万7300円(ともにトゥジュー/トゥジュー 代官山ストア) タートルネック2万2000円(ハイク/ボウルズ) イヤーカフ〈左〉1万3750円、〈右〉1万15 50円、リング〈右〉各11万100円(すべてマリア ブラック/マリア ブラック 表参道店) ブレスレット8万8000円、リング〈左〉2万9700円(ともにアサミ フジカワ/ショールーム セッション)

左:麻生久美子さん
1978年6月17日生まれ、千葉県出身。出演映画『カンゾー先生』で第22回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の映画賞を受賞。近作にドラマ『unknown』(テレビ朝日)、『ユーミンストーリーズ』第2話(NHK)、映画『ラストマイル』など。連続テレビ小説『おむすび』(NHK)にてヒロインの母親役として出演中。

右:山本未奈子さん
美容家・起業家として女性誌など様ざまなメディアで情報発信する傍ら、 自らプロデュースするウェルネスブランド「SIMPLISSE/シンプリス」や超吸収型サニタリーショーツブランド「Bē-A〈ベア〉」なども手がける。

撮影=酒井貴生〈aosora〉 スタイリング=青木千加子(麻生さん) ヘア&メイク=ナライユミ(麻生さん)、堀 紘輔〈plus nine〉(山本さん) 取材・文=増田美加(女性医療ジャーナリスト) ※GLOW2024年11月号より ※もっと話そうHello Femtechプロジェクトでは、宝島社の雑誌が合同でフェムテックを啓発しています

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