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【福島】会津若松の豪商「福西本店」で商家と蔵を見学! 会津みやげも

  • 2024.11.4

会津エリアの中心・会津若松は、戊辰戦争ゆかりの観光スポットやレトロな街並み散策が人気の観光地です。この地で繁栄を極めた豪商・福西家の商家や蔵を改装し、公開しているのが「福西本店(ふくにしほんてん)」。当時の暮らしぶりが垣間見られるほか、貴重な美術・工芸品も見学できます。

「福西本店」ってどんなところ?

福西本店
福西本店

江戸時代中期に初代伊兵衛が奈良から会津若松に移ったと伝わる福西家。以来、商人として幅広い事業を展開し、100年ほど前の九代目の時代には、会津銀行の頭取に就任、磐越鉄道(今の磐越西線)や会津電力(今の東京電力)の設立に関わるなど、会津を代表する大商人となりました。「福西本店」は、そんな豪商の商家や蔵を見学できる貴重な施設です。

福西本店
福西本店

立派な商家と蔵は、明治時代中期から昭和時代初期に建てられたもので、国登録有形文化財、会津若松市歴史的景観指定建造物に指定。歴史を感じる佇まいに目を奪われます。

母屋1階からぐるっと見学スタート

福西本店 母屋
福西本店 母屋

見学は母屋1階からスタート。福西家の生活の場だった母屋は、その広さに驚かされます。多い時には7世帯、働き手も含めると50人もの人が暮らしていたというのも納得です。

福西本店
福西本店

趣ある家具や壁を飾る書画もとってもステキ。ここからは順路が表示されているので、それにならって進んでいきます。

福西本店 座敷蔵
福西本店 座敷蔵

続いては母屋の隣に位置する重厚な扉に守られた母屋蔵。1階は食料品や生活用品の備蓄、2階はお雛様や調度品などの保存に使われていました。現在、母屋蔵は半分が吹き抜けになっていて、ギャラリーとして利用されています。タイミングが合えば絵画などの展示が見られるかも。

福西本店 離れ
福西本店 離れ

庭に面した離れの数寄屋は、瀟洒な2階建て。こちらの1階は後継者のご夫妻が新婚生活を過ごしました。当時としては珍しい天井の高さで、こんなところにも福西家の財力を感じられますね。

福西本店 離れ2階
福西本店 離れ2階

離れの2階は、福西家と交流のあった画家や文化人が滞在したといいます。別名「竹の間」ともよばれていて、竹を配した床の間や竹を組んだ欄間などが見られます。ちなみに床の間の右の壁が弧を描いて抜かれているのは、床の間の掛け軸や花などのしつらえに外の光を取り込むためだそう。

福西本店
福西本店

部屋を移動する間にも、階段や廊下、照明など、レトロ好きにはたまらないところがたくさん!

福西本店 座敷蔵
福西本店 座敷蔵

続いては、福西家の歴代当主が暮らした座敷蔵。奥行きのある30畳の部屋で、お客様をもてなす場としても使われていました。

福西本店座敷蔵
福西本店座敷蔵

座敷蔵の奥にある大きな窓からは、明治時代に作庭された松の木や石を配した美しい庭園を一望できます。庭園に向かって椅子が置かれているので、静かな和の空間でゆっくり眺めるのもいいですね。

福西本店母屋2階
福西本店母屋2階

1階で福西家の当主の写真や書などが飾られた仏間蔵を見学したあとは、再び階段を登って母屋2階へ。2ヶ所のふすまで3つに区切られていますが、合わせると32畳にもなる大広間です。1階母屋は日常生活の場でしたが、こちらはお盆や正月の一族の集まりや、11代目の結婚式などが行われたハレの場。改修は最小限にとどめ、ほぼ建造当時のままの姿が残されています。

福西本店 茶室
福西本店 茶室

最後の部屋は、大広間の奥にある昭和5年(1930)に増築された茶室です。11代目の結婚式の際に控えの間として使われたらしいとのこと。これまで見てきた部屋と比べると、柱やふすまなどつくりの違いが分かります。

福西家伝来のお宝としつらえをチェック

橋本静水 屏風六曲半双 花鳥図
橋本静水 屏風六曲半双 花鳥図

長い歴史をもつ豪商・福西家は、美術品や工芸品を多数所蔵しています。ここでは見逃せないお宝や、注目したいしつらえをご紹介。季節などによって掛け軸などは変わることもあります。
広島県尾道出身の橋本静水(はしもと せいすい)による屏風は、部屋を華やかに彩る色鮮やかな花鳥図。大きな屏風を多数所蔵しているのは、大きな広間をもつ豪商ならではです。

寄木細工飾り棚
寄木細工飾り棚

福西本店に遺されていた調度品で、一族が家宝としていたもののひとつです。

寄木細工飾り棚
寄木細工飾り棚

上質な銘木使い細やかな細工が施されていて、目を凝らして見るほどにその細かさ、美しさにホレボレ。この見事な飾り棚は、1925年のパリ万博に出展された作品といわれています。

福西本店母屋2階 欄間
福西本店母屋2階 欄間

母屋2階の大広間にある透かし欄間も見逃せません! こちらはヤマザクラの1枚板に彫刻を施したもの。精緻な彫りの見事さに、さすがは大商人のハレの間のしつらえです。ほかにも掛け軸や陶器など、数えきれないほどの美術・工芸品がさりげなく飾られているので、じっくりチェックしてみてください。

会津若松と福島の特産品が揃う「店蔵」でお買い物

福西本店 店蔵
福西本店 店蔵

3つある黒漆喰の蔵のひとつ、野口英世青春通りに面した店蔵は、近代以降の福西家の商売拠点となったところ。大正3年(1914)に完成した黒漆喰の蔵は、通常の白漆喰と比べて非常に高い技術と手間がかかるもので、豊かな財をもつ福西家だからこその蔵といえます。

店蔵
店蔵

現在の店蔵は、会津エリアを中心に福島の特産品や工芸品を集めたセレクショップになっています。

「馬刺しのタレせんべい」324円(左)、「鬼くるみ塩キャラメル」1150円(中央)、「高田梅のはちみつ煮」1080円(右)
「馬刺しのタレせんべい」324円(左)、「鬼くるみ塩キャラメル」1150円(中央)、「高田梅のはちみつ煮」1080円(右)

おみやげにぴったりな食品類はバラエティー豊かな品揃えです。会津名物の馬刺しのタレで味付けした「馬刺しのタレせんべい」は、お酒のお供にぴったり。名産の鬼ぐるみに塩キャラメルを絡めた「鬼くるみ塩キャラメル」は、カリッと食感がクセになる味わいです。「高田梅のはちみつ煮」は、日本一ジャンボサイズともいわれる会津の高級梅・高田梅を天然ハチミツと煮た香り高い1品。

「拭き漆 豆皿」各2970円
「拭き漆 豆皿」各2970円

工芸品は伝統的な作品はもちろん、若手作家によるモダンなものまでさまざまです。地元の若手漆作家ほくるし堂 二瓶由布子さんが手がける「拭き漆 豆皿」は、赤べこやだるまなどワンポイントの絵がとってもラブリー。

「堆朱ピアス」丸型2750円(左)、アメリカン3300円(右)、「堆朱イヤリング」キューブ2200円(中央) 「堆朱ピアス」丸型2750円(左)、アメリカン3300円(右)、「堆朱イヤリング」キューブ2200円(中央)
「堆朱ピアス」丸型2750円(左)、アメリカン3300円(右)、「堆朱イヤリング」キューブ2200円(中央)

中国から伝わった漆を何重にも塗り重ねる漆工技法のひとつ、堆朱(ついしゅ)を取り入れたアクセサリーは、女性に人気のアイテム。職人がひとつひとつ手作業で作られています。

重厚感あふれる商家建築や蔵、美術品を間近に見られる貴重な体験、そして会津の逸品にも出会える「福西本店」。会津若松に行った際には、ぜひとも立ち寄ってみてください。

■福西本店(ふくにしほんてん)
住所:福島県会津若松市中町4-16
TEL:090-9422-2924(母屋)、0242-85-7740(店蔵)
営業時間:10~17時、冬期は〜16時(店蔵は〜18時)
定休日:水曜、冬期は火・水曜(店蔵は不定休)
料金:入館500円(店蔵は無料)
アクセス:JR七日町駅からまちなか周遊バスで約5分、バス停野口英世青春館前からすぐ


Text:山田美恵
Photo:川島啓司(Harty)

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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