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1泊旅行。あなたはスーツケース派?それとも手持ち派?【大人のお作法】

  • 2024.11.3

お土産用の空間も考えられての‟大きなスーツケース”に納得

長い夏が終わり、ようやく日毎に秋の気配を感じられるようになりました。実りの秋は、グルメにも旅にもうれしい行楽シーズンです。

GINGER世代の皆さんはご家族やお友達と、またはひとり旅を楽しむことも多いと思いますが、旅の荷物は小さくまとめる派ですか? それとも十分に備える派でしょうか?

私は断然「可能な限り小さくまとめる派」。一泊旅行なら大きめなトートバッグで、海外旅行でも預けてしまうラゲージと機内持ち込みのトートバッグのみにしています。これは、会社員時代のひとり出張から身についた習慣かも知れません。

大きなスーツケースを避けたい一番の理由は行動が制限されるから。移動時に階段が使えないので、エレベーターやエスカレーターを探さなければならず、慣れない場所で迷ったことも多々ありました。タクシーに乗る時にも、ドライバーさんに「ご自分でどうぞ」と言わんばかりにパカっとトランクを開けられて、自分の荷物を持ち上げられずにへたりこんだり、大きなスーツケースをトイレの個室にまで持ち込まなければならなかったり…。

そして何より、少ない荷物で颯爽と歩く方がカッコイイと思っていた私の旅支度はいつもコンパクト。最小限の持ち物を心がけていました。

今年の夏に、学生時代の友人たちと一泊旅行に出かけたときにも「ひかる、荷物はそれだけ?」と驚かれたのですが、目を丸くしたのは私も同じ。友人のひとりは一週間の海外旅行でパックするような大きなスーツケースを持参! 「いったい何を持ってきたの?」

最近のホテルはドライヤーなどの美容機器も、シャンプー、トリートメント、ボディケアなどのアメニティもクオリティが高く充実しています。旅行先でパーティーがあるとか、テニスやゴルフをする、ハイキングをするなどの特別なアクティビティがないかぎり、一泊旅行で必要なのは、ピラティスやヨガのクラスに行くのと同様のアイテムです。ちなみに、私が持参したのは、着替えの下着、ブラウス、携帯充電器など。美容アイテムは温泉あがりに使用する4人分のシートマスクとフェイス、ボディ、髪にも使えるマルチオイルのみです。

「さすが、旅慣れているね」などと煽られ、友人たちにも自慢気にそんな話をしていました。

温泉から出て、なかなか会うことが叶わなかった30年間を埋めるように、学生時代の思い出話、お互いの家族のこと、子育てや仕事のエピソードを楽しく話していたとき、ふと友人の大きなスーツケースと私の小さなトートバッグが目に入りました。

大きなスーツケースは、子育てに忙しく「フル装備を心がけていた彼女たちの生活」の象徴、小さなトートバッグは「身軽な方が生き易かった私の生活」の象徴かもしれない。

仕事の旅で学んだ私の小さな荷物と、子育てで学んだ友人たちの荷物。一生懸命に生活してきたお互いの30年が旅支度にも表れているのかしら?と思うと、行きの電車では少し迷惑に感じた友人の大きなスーツケースも、愛しくさえ感じます。

それにしても、やはり一泊旅行で大きなスーツケースは不要。と思っていた私ですが、思わぬところで腑に落ちました。高原のお土産店には、新鮮な野菜やフルーツ、美味しそうなスイーツなどがたくさん並んでいます。「どれも美味しそう! でも、持ち帰るのは重たそう‥‥‥」と躊躇していると、友人たちは涼しそうな顔でたくさんのお土産を購入し、大きなスーツケースにきっちり納めてしまいました。

なるほど、大きなスーツケースにはお土産用の空間も用意されていたのです。これもきっと経験から学んだ知恵。心の中で、小さく「参りました」と呟きました。

多様性の時代となり、人種やジェンダーなど大きな多様性には意識を向けていますが、自分の周りの身近な多様性、価値観や生活習慣の違いにはなかなか肝要になれないもの。小さな出来事のなかに多様性を感じ、「みんな違って、みんないい」と実感できた楽しい旅となりました。

丸野ひかる(まるのひかる)

米国のカレッジ卒業後、30年間以上、外資系化粧品会社にて新規ブランドの立ち上げ、マーケティング、PRマネージャーなどオールマイティに活躍。現在はフリーで、コスメ、ファッション、ライフスタイルなど「面白くて、人を幸せにするモノとコト」のPRに。日々の癒やしは、最愛のモフモフ猫との添い寝。

TEXT=丸野ひかる

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