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【映画】藩を守るためたった11人で幕府軍に立ち向かう! 白石和彌の時代劇『十一人の賊軍』公開中! 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

  • 2024.11.2

映画パーソナリティ・映画評論家の伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、11月2 日(金)に公開したばかりのの『十一人の賊軍』。『日本任客伝』『仁義なき戦い』シリーズの脚本家・笠原和夫さんが1964年に書いたプロットを映画化。江戸から明治に変わりゆくなか、新発田で11人の罪人が砦を守る時代劇を、白石和彌監督が手がける。


伊藤さとりさんレビュー

新発田藩の11人が官軍に立ち向かう

チームで大軍勢と戦う展開の時代劇。 記憶に新しいものであれば2010年にリメイクされた役所広司さん、稲垣吾郎さん、市村正親さん、山田孝之さん、伊勢谷友介さん他出演、三池崇史監督の『十三人の刺客』が思い出されます。これを集団抗争時代劇とも言うんですが、代表的な作品では1954年の黒澤明監督の『七人の侍』がありますね。弱き者を守ろうと巨大な勢力に立ち向かう勇者達の姿は、私達に正義の在り方や勇気を与えてくれる名作ばかり。 思えばここ数年は、昔ほど本格的な時代劇をあまり見かけなくなった気がします。そんな中、真田広之さん主演、プロデュースによるハリウッドで製作したドラマ「SHOGUN 将軍」が今年9月、アメリカ最大のテレビ賞であるエミー賞で最多となる18部門受賞したことは、時代劇の魅力を再確認させてくれる出来事でもあり感慨深かったものです。

実は時代劇は、広大な撮影地や家屋を始めとする昔の建造物といったセット、衣装、ヘアメイク、殺陣、馬や大軍勢などなど、通常以上に予算がかかります。だからこそ主演級のキャストを揃え、大掛かりなセットと時代劇を支えるプロの職人達を集め完成した新作『十一人の賊軍』は、“世界に通用する日本映画の賭け”と言える作品なんです。

山田孝之さん、仲野太賀さんをはじめ豪華キャストが魅せる

けれどそれは日本ブームに便乗した海外向け作品というわけではなく、しっかりと日本人に受け入れられる大衆映画にもなっていました。だって主演はバケモノ俳優として知られる演技力抜群の山田孝之さんであり、彼を慕いその次の世代としてしっかりと実績を積んでいる仲野太賀さんだから。さらには仲野太賀さんと親しい岡山天音さんも弱者から勇者へと姿を変えるメンバーとして顔を揃えています。
しかも今作は、「正義と悪事」にとどまらず、「平和ってきれいごとだけでは成り立たない」と言わんばかりのもう一歩踏み込んだ脚本になっているところが特徴。そこにまつわる難しい役を演じているのが、大ヒットドラマ「不適切にもほどがある!」などコミカルな役に定評がある阿部サダヲさんというのも面白いキャスティングです。そしてもうひとり、『ゴールデンカムイ』でのクレイジーな役が印象深い二枚目俳優・玉木宏さんまで登場なのだから、キャストだけでも豪華絢爛なのは想像がつくかと。

そんな『十一人の賊軍』は、殺陣が楽しめる映画というより、少人数で大群衆に立ち向かう為の頭脳戦に驚き、一匹狼だった彼らが時間をかけて心を開いて行き、相手を思いやる心を持ち始める姿に胸を打つ作品でした。命を投げ出すことより生きることを大切にしつつ、誰かを命懸けで守ることを伝えるドラマティックな映画は、きっとあなたの心に火をつけるはず。あ、劇場に行く前にハンカチを忘れずにね。

☑11月1日(金)より全国東宝系にて公開中! 『十一人の賊軍』

【あらすじ】1868年、15 代将軍の徳川慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍=官軍で争われた戊辰戦争。明治維新のなかで起きた内戦で、江戸幕府から明治政府へと政権が移り代わる激動の時代であった。新発田藩で繰り広げられた歴史的事件の奥羽越列藩同盟軍への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた11人の罪人たちが決死隊として砦を守る任に就く。 2024/日本/155分
監督:白石和彌
企画・プロデューサー:紀伊宗之
原案:笠原和夫
脚本:池上純哉
出演:山田孝之 仲野太賀
尾上右近 鞘師里保 佐久本宝 千原せいじ 岡山天音 松浦祐也 一ノ瀬颯 小柳亮太 本山力 野村周平 音尾琢真 玉木宏 阿部サダヲ
配給:東映
©2024「十一人の賊軍」製作委員会

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