1. トップ
  2. 恋愛
  3. 女の子のスポーツ離れを解決するには? 「ナイキ」とアスリートによる白熱のサミットをレポート

女の子のスポーツ離れを解決するには? 「ナイキ」とアスリートによる白熱のサミットをレポート

  • 2024.11.1

国内外のアスリートが集結し、パネルディスカッションを実施。女の子とスポーツを取り巻く環境を考えるイベントの様子をお届け!

NIKE

「女の子のためにスポーツを変える」をテーマに、女の子とスポーツを取り巻く現状を知り、その課題に対するアプローチについて話し合うことを目的とした本イベント。「COACH THE DREAM」には、コーチングを通じて、女の子の夢をみんなで応援しようという意味が込められている。最初のディスカッションでは「私たちは何を考えるかー女の子の声を聞いてみて」と題したパネルディスカッションが行われた。

写真左から、篠原果歩さん(ローレウス)、田中美羽選手(読売ジャイアンツ)、世古汐音さん(桃⼭学院教育⼤学)、恩塚亨さん(前バスケットボール女子日本代表ヘッドコーチ)、來田享子教授(中京大学)

ELLEgirl

女の子のスポーツ参加を妨げる原因のベースには、「女の子はこうあるべき」「男の子はこうあるべき」というジェンダー規範がある。

「『女の子は体を動かすことが嫌いだから』『女の子は日に焼けたくないから』と、スポーツをしない理由を女の子自身のせいにしてきたのではないでしょうか。『スポーツをしていいんだよ』あるいは、『スポーツをしなくてもいいんだよ』という環境を与えられれば、選択肢の中にスポーツを入れてくれる女の子がもっと増えるのでは、と思います」(來田教授)

恩塚さんは、世古さんから「コーチとして何か苦戦したことはありますか?」という質問に対し、選手から「女子の気持ちが分かってない」と言われた経験から得た学びを語った。

「女子校の教員や女性チームを率いる男性のリーダーと女性の気持ちについて1時間話しても、『わからない』という結論でした。そのあといろいろと勉強しましたが、人の気持ちは天気のようなもので良いときもあれば良くないときもありますよね。『女性はこう』と決めつけるのではなく、目の前にいる人を見て、思いやりを持って接することを大事にしています」(恩塚さん)

NIKE

そもそもスポーツが身近に感じられていないことが問題に上がり、スポーツをはじめる “敷居の高さ” が指摘された。兄の野球チームのコーチから「ピンクのユニフォームを作ってあげる」と言われたことをきっかけに野球を始めた田中選手や、母が参加していたママさんバレーについていったところからバレーボールを始めた世古さんの話を聞き、恩塚さんはこのように述べた。

「スポーツの現場で『こうあるべき』という姿を最初に求め過ぎてしまうと、今活躍している選手も生まれなかったかもしれません。どうしたら人が集まるのか、どうしたらスポーツをやりたいという気持ちになるのか、まずはスポーツ参加へのハードルを下げることが大事だと感じました」(恩塚さん)

また、ロールモデルや女性コーチとの出会いが少ないことも、女の子がスポーツから離れてしまう原因の一つ。読売ジャイアンツで活躍する田中選手は、「憧れの選手になるために取り組んでいきたい」と伝えた。

「環境によってスポーツの捉え方が変わるんだな、と思いました。私はスポーツと触れ合う機会や、選手と触れ合う機会をつくっていきたいです。中学生の頃に日本代表の女子野球選手のプレーを見て『こうなりたい』『この人たちと一緒にプレーがしたい』とプロ野球選手を志たので、私自身も憧れのプレーヤーになれるように今後も精進していきたいと思います」(田中選手)

NIKE

次に、「先行事例から気づき、未来に向けてのアクションを生み出す」と題したパネルディスカッションを実施。(写真左から)ナイキ チーフ・インパクト・オフィサーのヴァネッサ・ガルシア・ブリトーさん、ローレウスアカデミーメンバーで5x オリンピック競泳金メダリストのミッシー・フランクリン・ジョンソンさん、Center For Haling and Justice through Spot 創設者のメーガン・バートレットさんが登壇。スポーツの公平性を促進するために、どのような行動をとり続けることができるのかを探った。

メーガンさんは、「スポーツはコミュニケーション力や、困難から立ち直るためのスキルを身につけるのに役立つ」と語り、誰もがスポーツにアクセスできるためには、コーチを手助けすることが重要だとコメント。

「『より良い経験を女の子に提供するためにはどうすればいいか』と考えていると、いつもコーチの存在に行き着く。コーチが適切な環境をつくるためのツールを持っていれば、新しいことへの挑戦や学びに重点を置くようになるはずです」(メーガンさん)

水泳の練習で長時間プールの底にある黒い線を見つめているうちに自分自身の考えや感情と向き合い、心を癒すヒーリングになる“ブラックラインセラピー”を体験したというミッシーさん。自身も周りにいる人たちに助けられた経験から、「サポートシステムをサポートすること」が大切だと語る。

「コーチをサポートし、親をサポートし、子どもの人生に欠かせない人々をサポートする。どんな浮き沈みも一緒に乗り越えてくれる人たちがいる、というのを子どもたちが感じられる環境を整えていきたいです。また、自分自身がロールモデルであることは、私のコアバリュー。いつかオリンピックのスイマーになりたいと願う少女に、夢を実現できることを示したいです。」(ミッシーさん)

NIKE

読売ジャイアンツに所属し、スピードを活かしたプレーが魅力の田中美羽選手。6歳の頃から野球をはじめた田中選手に、女子野球を取り巻く環境についてうかがった。

ー 女性の野球選手がのびのびと活躍できる環境をつくるために、どのような変化だと思いますか?

「そもそも女子野球ができるチームや場所は多くありません。近年、高校のチーム数は増えきてはいるのですが、気軽に野球ができる環境がまだ少ないというのが課題。幼少期に野球に触れられる場所や、中学高校を卒業したあとも野球ができる場所など、長く続けられるような環境をつくっていくことが大事だと思います」

ー 田中選手が野球選手を目指していた中学生の頃と今を比べて、女の子が野球をする環境は変わってきていると感じますか?

「いま野球人口は減ってきているものの、野球をやる女の子たちは増えてきているので、『選択肢が増えてきているんだな』と感じます。人口が増えるとレベルも上がってきますよね。女子がNPB(日本プロ野球)のユニフォームを着て戦う光景も、私が小学校のときにはありませんでした」

ー 夢見る女の子たちにメッセージをお願いします。

『夢中になる』ことが一番の原動力。ポジティブな気持ちが『うまくなりたい』というエネルギーになるはずです。それが野球だったらもちろん私は嬉しいですが、スポーツではなくても何か夢中になるものを見つけて、取り組んで欲しいです」

元記事で読む
の記事をもっとみる