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黄金の80年代アイドルたちが残した“超貴重タイトル” 伝説の始まりだった輝ける名作アイドル映画たち

  • 2024.11.1
「あいつに恋して」 (C)1987 FILMLINK INTERNATIONAL
「あいつに恋して」 (C)1987 FILMLINK INTERNATIONAL

【画像】本田美奈子.がロックシンガーを演じた「パッセンジャー 過ぎ去りし日々」

つい最近、韓国の人気アイドルが日本の1980年代アイドルの名曲をカバーして話題になったことは記憶に新しい。80年代ごろの日本といえば、老いも若きもテレビに釘づけとなったアイドル全盛期。社会現象を巻き起こした大人気アイドルたちは、やがて活躍の場を銀幕にまで広げていく。令和の世においても国民的人気を誇る80sアイドルたち。彼女たちが出演した映画のなかでも、特に貴重な作品をピックアップしていく。

“森高千里が出演した映画”の意味

80年代アイドルを代表する1人、森高千里。ミニスカートから覗くまぶしい美脚がトレードマークで、一世を風靡した伝説のアイドルだ。1986年の「ポカリスエットムービーキャラバンイメージガールコンテスト」で1万2000人のなかから選ばれた森高は、その翌年に映画「あいつに恋して」への出演を果たす。

舞台は北海道・日高。サラブレットを生産する牧場主(植木等)と道産馬を守り育てる牧場主(高品格)は、犬猿の仲だった。そんな2人にはそれぞれ正太郎(風見しんご)と千里(森高千里)という孫がいる。やがて道産馬の優秀さを全国に知らせるために、日本縦断に出発することになった正太郎。正太郎と千里は惹かれ合っていたのだが…というところから始まるストーリーだ。

同作の見どころは風見のコミカルな演技や、馬とともに日本縦断という実話をベースにした物語にある。風見といえば当時アイドルもかくやという人気者で、同作は映画出演2作目。そこにヒロイン役として森高が並び、世間からの注目を大きく集めた。

「あいつに恋して」というタイトル通り、同作は原作と比して風見と森高が演じる正太郎と千里の恋に重点を置いている。“時の人”である風見の勢いに引っ張られ、森高も俳優として大活躍を…と期待されていたのだが、思わぬ事態が森高を襲う 。

初出演となる映画の主題歌を任されたことで、同時に歌手デビューも果たしていた森高。徐々に歌手活動の幅を広げていくなかで、ツアーのリハーサル中に体調不良で入院を余儀なくされる。後年には森高が作詞した楽曲「ザ・ストレス」の制作に関するエピソードとして明かしていたが、多忙な芸能生活によるストレスも原因だったという。そしてこうした体調の変化にともない、森高は活動の方向性を歌に絞っていく。

その後の森高の活動はご存じの通りだ。まぶしい美脚をトレードマークにした「17才」やインパクト抜群の「非実力派宣言」に続き、「渡良瀬橋」「ララ サンシャイン」「私がオバさんになっても」など誰もが知る名曲を世に放った森高。だがアイドル歌手としての知名度に反して、映画への出演は「あいつに恋して」と“本人役”で友情出演を果たした「シャ乱Qの演歌の花道」以外にはないようす。

そうした背景を知ると、「あいつに恋して」の特殊性がわかるというもの。そして貴重な80sアイドル映画作品というと、もう1つ思い浮かぶタイトルがある。いまは亡き本田美奈子.が唯一出演した映画「パッセンジャー 過ぎ去りし日々」だ。

本田美奈子.による“本物の表現”が味わえる奇跡の映画「パッセンジャー」

2005年にこの世を去った伝説のアイドル本田美奈子.。彼女の映画デビュー作にして唯一の出演作となったのが1987年の映画「パッセンジャー 過ぎ去りし日々」だった。

共演は三田村邦彦や宇梶剛士、岩城滉一といった実力派の面々。本田は映画と同名の主題歌を歌うのみならず、「孤独なハリケーン」といった楽曲を劇中で披露している。

本田が演じたロックシンガー・立木美奈は、三田村演じるバイクレーサー・良介の妹。美奈はある日、不良に絡まれていたところを岩下(宇梶)という青年に助けられる。やがて岩下と急接近した美奈だったが、バイクレーサーとして伸び悩む兄の影がいつも胸の奥にちらついていた。兄は幼い美奈の面倒を見るためレースに専念できず、いままさに進退をかけた勝負に挑まねばならない。

しかし兄が挑む相手こそ、自分が出会ったチャンピオンレーサー・岩下。板挟みに苦しむ美奈だったが、さらなる苦難が彼女たち兄妹を見舞う…。

表現力と言う意味では、すでに一人前以上の力を身につけていた本田。デビュー作とは思えぬ、気負いのない自然な立ち振る舞いが印象的だ。注目すべきは「世界的ロックシンガーを目指していた人気歌手」という役柄に驚異的な説得力を持たせる、飛びぬけた歌唱力。以後はミュージカルの世界で華々しい活躍を見せる本田だが、その片鱗はこのときから見えていたわけだ。

兄を想う心、自身の夢に邁進したい気持ち、岩下への恋慕…そんな混沌とした心象を歌に乗せる本田。“本物の表現”というと軽く聞こえるが、まさにその言葉が同作のラストシーンには相応しい。

なおCS放送「衛星劇場」では、11月に「スクリーンで輝いた80sアイドル映画まつり 第2弾」と題して上記2作を放送。ほかにも菊池桃子主演「アイドルを探せ」、生稲晃子出演「億万長者になった男。」、宇佐美ゆかり主演「V.マドンナ大戦争」、林美和・加藤香子出演「まんだら屋の良太」など往年のアイドルたちが輝いた名作を放送する。

さらに同特集に関連して、11月のLIVEスペシャルでは本田美奈子の貴重な「本田美奈子.ライブ ON AIR EAST 完全版」がテレビ初放送。伝説として語り継がれるアイドルの魂を響かせるライブを、貴重な映画と併せて楽しむことができる。

「V.マドンナ大戦争」 (C)T.O.K.Enterprise
「V.マドンナ大戦争」 (C)T.O.K.Enterprise
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