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高齢義母の攻撃的な話法に疲弊「会話する時間も、それによって生じる悔しさも…すべて無駄!」

  • 2024.11.1
認知症なわけではないが、歳をとった義母との会話がなかなか成立しない。なぜか話しの軸がちょっとズレていて、攻撃的な言葉を投げつけられたり、そんなつもりはないのにこちらが責めていると言われたり。解決方法がなかなか見いだせない。
認知症なわけではないが、歳をとった義母との会話がなかなか成立しない。なぜか話しの軸がちょっとズレていて、攻撃的な言葉を投げつけられたり、そんなつもりはないのにこちらが責めていると言われたり。解決方法がなかなか見いだせない。

意図しているのかいないのか、話していると、まるで自分が悪いことをしているようかの気にさせられてしまう人がいる。その人に悪気はないのかもしれないが、会話の相手はおそらく不快な思いをしているはず。いったい、どうしてそういう話法になってしまうのだろうか。

義母と暮らして私は悪者に

「近所で一人暮らしだった義母が、5年ほど前に骨折したんです。さすがにもう一人で生活するのは難しいだろうと、夫の実家をリフォームして私たちが移り住みました。最初は『うれしいわ。あなたのおかげで幸せな老後を送れる』と言ってくれていたんですが、慣れるに従って、独特の話法で私を混乱させてくるようになりました」

ミハルさん(49歳)は、疲れた表情でそう言った。結婚して21年、大学生になったひとり息子がいる。夫の母は今年80歳になった。

「例えばですが、この夏は暑かったでしょう。朝起きてキッチンへ行くと、義母はすでに起きている。『今日も暑そうですね』というと『夏だからね、寒かったら異常気象だね』って。最初はビックリしました。だってそういうただの世間話に、わざわざ悪意をいれてくる必要なんてないはずだから……」

ところが、義母はほぼすべての会話がこういう調子なのだと、すぐにわかった。義母に悪意がないことも理解はした。それでも不快さが消えるわけではない。

「あなたみたいに暇じゃないのよ」は余計では?

「つい先日も、近所に行っていた義母が帰宅したとき、『○○さんが回覧板を持ってくるって』と言ったんです。夕方になっても来ないので、回覧板まだですねえと言ったら、『○○さんだって忙しいのよ。あなたみたいに暇じゃないの』って。

どうしてそういう言い方するのか不思議でなりません。私は別に○○さんを非難したわけじゃないのに。『あなたって、○○さんのこと嫌いなの? あまり人の悪口は言わない方がいいわよ』とまで言われたけど、話の軸が完全に違う」

一度、義母にそういう意味ではない、認知がゆがんでますよと言ったことがある。すると義母は「あなた、私が認知症だというわけ?」と怒り出した。認知という言葉を使うと、そういう誤解が生じると反省し、ミハルさんは「お義母さんの受け取り方がゆがんでる」と言い直したが、義母は自分を認知症呼ばわりしたと大騒ぎだった。

「疲れますよね、こういうの。すべて無駄なんです。義母との会話も、それによって生じる怒りや悔しさも。全部、無駄な行為。だから疲弊するんです」

近所に部屋を借りて、自分だけひとり暮らしをする選択肢もあるのかなとミハルさんは考えるようになっている。

自分が責められると思って逆ギレする義母

話の軸がずれて、どんどん自分が悪者にされていく感覚が強まっていく会話もあれば、相手がすぐに責められていると思い込んで逆ギレしてくるパターンもある。カナコさん(44歳)の義母がそのタイプだという。

「義母はとってもおしゃべりなんです。私も仕事をしているので、小学生の娘は近所の義母の家で夕方まで面倒をみてもらっているんですが、娘を迎えに行くと、義母は玄関先でしゃべり出して止まらない。早く帰って娘と一緒に夕飯の支度をしたいので、様子を見ながら『じゃあ、そろそろ』と切り上げようとしても義母は察してくれない。

仕方がないから、『ごめんなさい、今日はちょっと急ぐので』と言ったら、『私のおしゃべりが長くて迷惑かけたわね。でもね、そもそもはあなたがこの話題を振ったのよ。なのにどうして私が責められないといけないの』って。

いや、別に責めてないし、私が振った話題でもない。話の軸がずれるのではなく、話そのものが何か別のものにすり替わってしまう感じなんですよ」

以前、大事な荷物が実家から送られてくることがわかっていたので、その時間帯に義母に家に来てもらえないかと丁寧に頼んだことがある。義母は「いいわよ」と来てはくれたのだが、結局、荷物を受け取ることができなかった。

自分が悪いのに……被害者意識全開

「時間指定しているから、たった2時間ですよ。しかも義母はその時間にいたんです。なのに受け取れなかったと。意味がわからないでしょ。だから『ここにいたんですよね。起きていたんですよね。どうして受け取れなかったんですか』

『居眠りしてたとしてもいいんです。どうして受け取れなかったかが不思議でしかたないので理由を知りたいだけ』と言ってみたら、『ひどいわ』と義母は泣き出してしまった。私は本当に理由を知りたかっただけなのに」

義母は息子(カナコさんの夫)に、ひどく責められたと泣きながら言いつけたという。さすがにカナコさんも腹が立ち、「いいです、頼んだ私がいけなかったんだから」と言った。すると義母はそれを聞きつけて、「人をバカにするのもいいかげんにして」と逆ギレした。

「理屈が通らないのは前からだから諦めているんですが、自分が悪いのに被害者意識全開、しかも最後は逆ギレって、人としてどうなのと思ってしまいました。だったら最初から留守番して荷物受け取ってあげると言わなければいい。引き受けておいてできませんでした、理由も明快ではありませんというのは通用しないでしょ」

こういうのは相性の問題なのか、それとも義母たちの会話のありようがやはり少し一般的ではないのか。

判断に苦しむところだが、カナコさんはそれ以来、義母とはなるべく接触しないよう心がけているという。「接しなければ誤解も怒りも生じないから」。それもまた賢明な判断なのかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。

文:亀山 早苗(フリーライター)

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