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ひとりの夜の”あなた”と”あたし”を繋ぐ…「ラジオ」の魔力について語らせてッ!【お悩みコラム番外編#72】

  • 2024.10.30

はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

実はあたし今月から、新しい挑戦をはじめました。

Sitakke
ライター・満島てる子

そう、もしかしたらSitakke読者の方々の中には、もうこの時点で察して「知ってる!聴いてるよ!」なんて嬉しい言葉をかけてくれる人もいるかもしれないんだけれど。

「したっけラジオ」、スタートしました!

Sitakke
「したっけラジオ」メインビジュアルは、本連載のイラスト担当のVESさんの描き下ろし

Sitakke初の冠番組として10月6日(日)より始まった、
HBCラジオの新企画「ひとりの夜に あなたとあたしの したっけラジオ」(毎週日曜ごご7時30分~8時00分)!

→Podacast:https://podcasters.spotify.com/pod/show/hbcsitakke

なんとそのメインMCを、HBCの森有結花アナウンサーと一緒に担当させてもらえることになったんです。
やぁん!なんだかいまだに夢みたい!

今回のコラムテーマ「あたしとラジオ」

Sitakke
HBC・森有結花アナウンサー(左)と“あたし”、満島てる子(右)

いつも「夢は?」と聞かれると、いの一番に「本を出すこと」と答えがちなあたしなんですが。
実はそれと同時並行で抱いていたもうひとつの夢が、ラジオのパーソナリティーになることだったのよ。
だから、このお話が来たときは本当にびっくりだったし、もうそれはそれは嬉しくてたまらなかったんですよね。

てことで今月は、毎度の担当である連載「お悩み相談ルーム」は一旦お休み。
その代わりに「したっけラジオ」スタート記念ということで、あたしがラジオについて思うよしなしごとを、ここでつづらせてもらおうと思います。

若かりしあたしとラジオ

ラジオという媒体は「耳でゆるっと楽しめる」という親しみやすさもあいまって、きっとたくさんの人にいろいろな思い出を提供してきたんじゃないかと思います。

いつから聴くようになったかなんて話題は、割とみんなで盛り上がることのできるテーマのひとつ。読者の皆さんにも、電波とともによみがえる風景がきっとあったりするんじゃないかしら。

あたしが最初にラジオを愛でるようになったのは、確か中学生の頃。
家の物置に眠っていた据え置き型のラジカセ。ほこりまみれなそれを親の許可も取らないままに引っ張り出してきて、個人の寝室でひそかに使うようになったのがすべてのはじまりでした。

Sitakke
画像はイメージ(PIXTA)

経年劣化がすでに進んでおり、カセットデッキとしてはほぼ使えないに等しかったため、用途はもっぱらラジオの聴取。
アナログチューニング式だったため手動でダイヤルを回しながら、お気に入りの番組に切り替えるべく、日々周波数の調整に苦労していたのをよく覚えています。

あたしの場合、自分の部屋でまったり過ごす夜のひとときが、ラジオと向き合う時間。
音楽を中心に構成された番組をチョイスするときもあれば、ワイワイとしたトーク中心のコンテンツでバカ笑いしたり。
ラジオドラマやラジオ寄席(懐かしい!)を楽しんだりと、さまざまな時間が思い出されるのよね。そんな頃あったなぁ。

ハガキ職人こそやらなかったけれど。あの頃のあたしは無邪気に、音声に身も心も委ねながら、電波越しに繰り広げられるバラエティ豊かでクリエイティブな世界を、純粋に楽しんでいたように思います。

そうそう、当時ラジオを聴くのも楽しんではいたんだけれど。
あたしったら、ラジオで「話す」ってのも、実は勝手に楽しんだりしてたんだよね。

これ、とある本の影響なの。

昭和から長らく児童文学の傑作として評価され続けており、近年では宮崎駿監督によって発展的な映画化をされたことでも話題となった書籍、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』(1937年初版)。
この本では、主人公であるコペル君の仲間たちとの日常が、一種哲学的な話題と紐づけられながら語られていくのですが、そのなかでもあたしのお気に入りが、なんちゃってラジオにみんなが興じるシーン。

野球の解説者を真似ながらきゃっきゃする同世代の少年たちの姿に、不思議な憧れを抱いていたあたし。その影響をもろに受けたらしく、定期的にひとりでMC遊びに興じるように。笑

大人になってからもその癖は抜けず、なんなら実践めいたことも。
無茶苦茶恥ずかしい話なんだけれど、昔好きだった人との電話中、向こうからのリクエストに答えて受話器越しに曲を流す「ラジオDJごっこ」なんかでキャッキャするのも、しばしばあったのよね(これ、書いてて顔赤くなってきちゃったわ……苦笑)。

ラジオを聴くのも、ラジオっぽく話すのも。
なんだか昔から、しっかりと、その魔力に取り憑かれていたあたし
まさかそれがいつかお仕事になるだなんて、当時思いもしていなかったのでした。

コロナ禍のあたしとラジオ

ずっとラジオを様々な意味で楽しむ側だったあたしですが、音声で想いを届けることの大切さをはっきり知ることになったきっかけが、この数年内にありました。

それが、コロナウィルスの流行

すべての人に様々な行動制限がかけられ、外出することもままならなかった頃。
あたしが店長を務める飲み屋「7丁目のパウダールーム」は危機に晒されていました。
飲食店に申し渡された営業自粛の令。そのせいで、店舗を維持していくための十分なインカムの見通しもないまま、ただ時だけが過ぎていこうとしていたからです。

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「7丁目のパウダールーム」(札幌市中央区)

そんななかでスタッフたちと考案し、みんなで一緒に始めたのがオンライン営業でした。
Zoomを使ったものからスタートし、段々と各種プラットフォームでのライブに切り替わりながらも、約2年にわたって継続。たくさんの方々に応援してもらいました。

HBCにはその様子を、コロナ禍下の飲食店の工夫のひとつとして、ニュースに取り上げてももらったのよね。あの時期のことはなかなか忘れられそうにないわぁ……。

そんなオンライン営業の一形態としてやっていたのが、実はラジオ風の配信。
コメント欄に寄せられる言葉をお手紙のように紹介したり、かけられる場合は好きな楽曲をジングルっぽく使ったり。
お店に来ることはできないけれど楽しみたいというお客さんたちと、一緒にあれやってみよう、これやっちゃおうよなんてアイデアを出しあいながら、番組作りに興じていたんです。

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「7丁目のパウダールーム」公式YouTubeより( 2020/12/2配信【女装で配信営業】すその萎える夜よね【特別雑談配信】)

カウンター越しの時同様、よもや話や馬鹿話はそれはもうふんだんにしつつだったけれど。
コロナに関する必要な情報を、放送中に共有しあったり。
それぞれの自粛期間中の不安をみんなで打ち明けあって、エールをお互いに送ったり。

そんな風にして、視聴者との間、なんなら視聴者同志の間にまで、一種の「コミュニティスペース」が自分の音声から出来上がっていく。

その光景にあたしは、小さくない感動を覚えていました。
MCのトークさばきひとつで、その放送が今切ない気持ちを抱えている誰かにとっての、時に大きな希望となりうる。そんなラジオ配信の「可能性」を肌で感じられたのは、他者とつながることが決して容易ではなく、誰しも孤独を抱えがちだったコロナ禍だったからこそなのではないかと、今でも思っています。

あれからしばらくの時が経ち、人々の動きはかつてよりもはるかに活発になりました。
しかしながら、音声主体のメディアがもたらすコミュニティ形成の力には、変わるところがありません。

今取り組ませてもらっている「したっけラジオ」も、リスナーさんたち発信でハッシュタグ「#てるラジ」とつける文化が誕生し、それをこちらでも応援するなど、すでに視聴者と制作サイドが電波越しに相互作用しあうかたちで、放送内容が作られてきていますよね。

声を通じてみんながつながりはじめていることを、メインパーソナリティーとしてもすごく嬉しく思っています。

これからのあたしとラジオ

Sitakke
ラジオ収録現場~MC2人自身も本気で笑い、悩み、語る番組です

本格的にスタートしたラジオのお仕事。
「したっけラジオ」チームのみんなと集まって、一通りキャッキャと他愛もない会話をしてから、打ち合わせを毎度ゆるっとはじめるノリ。あたしはそんな空気感のスタジオに週1のペースで通うのが、早くも楽しみになってきています。

時にテキトー、時にカタブツなあたしの気まぐれテンションにも「てるちゃんっぽい!」と笑いながら付き合ってくれる、しっかり者の相棒の森ちゃんがいて。
内容進行やゲスト設定まで、裏の準備をかっちり進めつつ、あたしたちのトークに時にガチで爆笑しながらも優しく見守ってくれる、ディレクターさんやSitakke編集部のみんながいて。

そして、日曜の放送を楽しみにしてくれているリスナーさんたちがいる。
昔からラジオに親しみ、そこに憧れを感じ続けてきた自分としては、そんな今の環境がなんだか奇跡のように思えて仕方ないのです。

初回は正直、それはもうとんでもなく緊張しちゃってて、語り口調も全然おぼつかなかったんだけれど。笑
これからもっともっと番組を充実させ、実り大きなものにしていけるように、ラジオMCとして自分なりに駆け出しながらも頑張っていこう!

そんな風に収録からの帰り道、いつもウキウキで考えているここしばらくなのでした。

Sitakke
ラジオ第4回のようす。さっぽろ名妓連・こと代さんをゲストに迎えて

今後「したっけラジオ」がどう成長していくのかは、まだわかりません。

きっとこのWebサイト「Sitakke」をそのコンテンツの中心とするという、その中心軸はどうなっても変わらないけれど。妄想レベルですが、なんだかできることは無限にありそう!
もしよければ皆さんと一緒に、この番組を創っていきたい。あたしはそう願っています。

(あ、こんな企画やってほしいなんてアイデアあったら、ぜひst@hbc.co.jpまで笑)

ひとりの夜に あなたとあたしの したっけラジオ」。
あたしにとっては夢のようなこの番組。それがひとりでも多くの人にとって、日曜夜のひとときのやすらぎをもたらすものとなってくれるように。

これからも、まだまだ慣れないお話仕事に四苦八苦するあたしを、どうかどなた様も笑顔で見守ってやってくださいませ。笑

はぁ、ラジオについて書くのたーのしかった!いつか続編書けるといいな。
ではでは今日はこのへんで。また次回!したっけね〜!

『ひとりの夜にあなたとあたしの したっけラジオ』

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■番組名 『ひとりの夜にあなたとあたしの したっけラジオ』
■放送日時 毎週日曜日 午後7時30分~8時00分 ※初回放送:2024年10月6日(日)
■出演 満島てる子、HBCアナウンサー・森結有花
■番組メールアドレス st@hbc.co.jp
■Podacast https://podcasters.spotify.com/pod/show/hbcsitakke

番組メールアドレス(st@hbc.co.jp)では、リスナーの皆様からのご意見や感想を募集します!
また、「Sitakkeの公式X」では、ハッシュタグ「#したっけラジオ」で、番組を盛り上げていきたいと思っていきたいと思っているので、こちらもぜひハッシュタグをつけてご感想をお寄せください!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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