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【大濠公園】福岡市美術館で開催中「博多のみほとけ」展の鑑賞ポイント!

  • 2024.11.6

芸術の秋。なんとなく目と心を豊かにしてくれるものを鑑賞したくなる季節ですね。日本では、世界に類を見ないほど優れた「仏教美術」が存在しますが、「仏像ってなんだか難しそう」と感じる方も多いはず。

そんな方に訪れて欲しいのが、大濠公園内の福岡市美術館で開催されている特別展「博多のみほとけ」です。

今回はリビングふくおか・北九州Web地域特派員で仏像マニアの私ツバキングが、同展を紹介しながら、難しいと思われがちな仏像鑑賞のキホンを”超カンタン”に解説します!

仏像といえば京都や奈良じゃない?なぜ博多で?

出典:リビングふくおか・北九州Web

お寺や仏像といえば、京都や奈良をイメージする方も多いでしょう。 もちろん、かつての首都だったそれらの地域には、歴史深いお寺や仏像がたくんさん残っています。

しかし、我らが福岡も日本の仏教にとって重要な街。 なぜ、重要なのかというと福岡は古くからアジアの玄関口として、発展してきたから。 そのため、1000年以上前の仏像もたくさん残されています。

今回の「博多のみほとけ」では、そんな福岡の仏教を支える名品たちがズラリと勢揃いしています!

まずは目の前に立って直感を信じてみよう

出典:リビングふくおか・北九州Web

たとえば、同展で見られるこちらの「毘沙門天立像(びしゃもんてんりゅうぞう)」(平安時代・恵光院蔵)なんて、めちゃくちゃイケメンじゃありませんか?

仏像を鑑賞するにあたって「私、知識ないしなぁ」なんて二の足を踏む必要はありません!

あの奈良の大仏を作った聖武天皇も「デッカくて金ピカですげーのを作ろう!」というテンションだったことが『続日本紀』という書物にも伝えられています。

まずは、仏像の前に立って「かっこいい!」「キレイ!」という直感の感動で大丈夫なんです!

出典:リビングふくおか・北九州Web

美しい顔立ちから風に揺れる袖口の柔らかさまで、木とは思えないような表現は作った人の技術の高さを感じさせますね。

しかも、いくつかのパーツを組み立てたのではなく、一木造りという一本の木から彫り出した像である点も、驚きです。

「イケメン!」なんていうシンプルな感動から毘沙門天に関して調べたくなれば、その先はもう沼です! こちらの世界に、いらっしゃいませ!

ルールを知るともっと面白くなる!

出典:リビングふくおか・北九州Web

同展のメインを張る「千手観音立像(せんじゅかんのんりゅうぞう)」(平安時代・福寿寺蔵)をご覧ください。

まず、像をじっくり見ていて直感的に気がつくのは、手がたくさんあるという、ある意味”異常な”姿なのに、全体としてのバランスが取れていること。これも仏像芸術の凄いところです。

そんな、ビビっとくるような直感の楽しみから一歩踏み込むと、仏像はもっと楽しくなります。

出典:リビングふくおか・北九州Web

では、千手観音はどんな存在なのでしょう?

実は、観音菩薩はプレーン(通常)の状態を「聖観音(しょうかんのん)」といって、私たちと同じように手は二本です。 しかし、「もっとたくさんの人を救いたい!」という思いから、いろいろな姿に変身します。 その変身した姿の一つが千手観音なのです。

なんだか、スーパーヒーローっぽくてかっこいいですね! いかがですか?こうして仏像を見ていくと、もっともっと知りたくなってきませんか?

仏像だけでなく絵も見どころ

出典:リビングふくおか・北九州Web

同展には、目を伏せて微笑むような神秘的な表情の「阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)」(平安時代・円覚寺蔵)も出展されています。

多くの人が「仏像」といってイメージする姿だと思いますが、なぜこんな姿なのでしょう?

実は、仏像の姿は「儀軌(ぎぎ)」という古いお経で細かく決められています。 螺髪(らほつ)と言われるパンチパーマのようなヘアスタイルや、長~い耳たぶなど、おなじみの姿はそのルールがあるからなのです。

また、歴史深い仏像は彩色が落ちて木の色になっているものも多くありますが、儀軌(ぎぎ)には全身の毛は青色で肌は金色であると書かれています。

これが本来の姿なんですね。

出典:リビングふくおか・北九州Web

仏像だけでなく、この展覧会では仏画なども見ることができます。 その中で私ツバキングのオススメは「猫に紙袋図」(江戸時代・福岡市美術館蔵)という作品です。

何かの拍子に紙袋に頭が入ってしまって慌てている猫と、その近くで笑いながら「見んか見んか」とはしゃぐ男の子。 愛らしいシーンの描写と優しい筆さばきに、こちらも自然と笑顔になります。

描いたのは仙厓義梵(せんがいぎぼん)という画家。博多駅近くに今もある聖福寺にいたお坊さんで画家でもあり、博多の仏教にとっても重要な人物です。

展覧会情報をチェック

出典:リビングふくおか・北九州Web

こうして、知識なしでも気軽に見て心を打つ仏像。さらに、歴史も学べるとなれば行くしかありませんね! 芸術の秋でもあるこの季節。仏像鑑賞にお出かけして見てはいかがでしょう?

◆特別展「博多のみほとけ」

2024年10月26日(土)~12月8日(日)

福岡市美術館 2階特別展示室(福岡市中央区大濠公園1-6)

一般1,400円(1,300円)、高大生900円(800円)、中学生以下無料

※ ( ) 内は前売り、20名以上の団体料金

【休館日】月曜日(※11月4日(月・休)は開館し、11月5日(火)は休館)

【開館時間】9時30分~17時30分(入館は閉館の30分前まで)

◆福岡市美術館 本展紹介ページ

https://www.fukuoka-art-museum.jp/exhibition/buddhist_art_of_hakata/

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