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高3でオール5をとっても全く間に合わない…推薦入試対策でもっとも早く準備しなければならない項目

  • 2024.10.30

半数以上の学生が総合・推薦入試などの方法で大学に入学する時代だ。対策で重要なことは何か。個別指導塾塾長の小林尚さん、推薦入試専門推進塾塾長の橋本尚記さんは「推薦入試は戦略が重要。ある期間をすぎると挽回が不可能な場合もあるため、早めに対策を練り、優先順位をつけていくことが必要だ」という――。

※本稿は、小林尚・橋本尚記『提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

教室で勉強している中学生
※写真はイメージです
遅きに失すると手遅れになる場合も

今回は、総合・推薦入試(本記事では、以降まとめて推薦入試と呼びます)の合格に必要な具体的な対策を解説していきましょう。

まずは対策の全体像を見ていきます。このときに大切なのは、必要な期間も一緒に考えることです。なぜなら、推薦入試の対策には、ある期間をすぎると挽回が不可能なことがあるからです。

たとえば、評定平均がもっともイメージしやすいでしょう。

それまでの評定平均が3.0だった人が、高校3年生になってからどれほどがんばっても評定平均を4.5にすることはできません。ですから、評定平均4.5以上が必要な大学への受験を希望する際には、遅くとも高校2年生の1学期から対策を始めることが必要です(もちろん理想的には、高校1年生のスタートからしっかりと勉強しておきたいですね)。

このように、対策の中身とそれぞれに必要な期間を見ることで、何から始めるべきか、何に時間をさくべきかという優先順位をつけることができます。

特に推薦入試では、この期間を意識して対策を進めましょう。

【図表1】期間別! 推薦入試対策
出所=『提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜』(かんき出版)
活動実績も長時間の準備が必要

推薦入試対策を期間で区分すると、図表1のようになります。

これらは、1年以上の期間が必要な対策です。評定平均は先ほどの例で説明した通りです。高校3年間の平均が使われることがほとんどですから、高校1年生の1学期から対策をする必要があります。

活動実績についても、かなり長期間の準備が必要です。人それぞれ、内容によって違いますが、たとえば1回だけコンクールに応募した、1回だけ大学の講義を聞きにいった、というだけで高く評価されることはありません。

ボランティア活動も1〜2回で評価されることはありません(これは推薦入試で評価を得る観点の話ですから、単発の活動そのものを否定しているわけではありません)。

長い間自分で研究をして、知識をつけるために大学の講義を聞きにいく。

あるいは自分で成しとげたい夢があって勉強のために継続的にボランティアをしている。そのような長期的な計画の中で活動実績があれば、自分の夢や志望理由に説得力が増して、高く評価されます。

評定平均を上げることの重要性

まずは、評定平均を上げておくことの重要性を理解しましょう。指定校型で受験する場合には、一番重要な評価になります。さらにここでお伝えしたいのは、評定平均が高いと公募型でもとても有利になることです。

公募型の出願条件に評定平均があることは、知っているでしょう。それ以上に大切なのは、「公募型の選考は遅い時期におこなわれる」ことです。特に指定校型よりも遅いタイミングに実施されることがポイントです。

評定平均の高い人の多くは、指定校型で大学を決めてしまいます。すると、公募型の時期となる10月~12月には高い評定平均を持っている人は多くありません。結果、高い評定平均が条件となっている公募型には志願者が集まらず、倍率が低くなります。ですから、指定校型を受ける人以外にとっても、評定平均を上げておくことが大切です。

「評定平均4.0」は高校3年生からでは不可能

評定平均を上げるのは、推薦入試対策の中でももっとも早く開始しなければならない項目といえます。その理由は、評定平均の計算方法です。評定平均は「高校3年間」の平均です。厳密には、高校1年生の年間の評定平均、高校2年生の年間の評定平均、そして高校3年生の1学期の評定を足して、3で割ります。高校3年生の2学期が終わるまでには推薦入試は出願を終えていますから、高校3年生の1学期の評定を高校3年生全体の評定として使います。ここで大切なことは、高校1年生や2年生の評定平均も大事だということです。高校3年生からがんばるのでは間に合いません。

次のクイズを通して、いかに高校1年生や2年生の評定平均が重要か、体感してみましょう。

Q.高校2年生まで、評定平均3.5の生徒がいたとします。決して学校の勉強をさぼっていたわけではなく、部活動などで忙しいながらも周りの生徒と同じくらいには勉強をがんばってきました。この生徒が高校3年生になって受験を意識し、3年間の評定平均4.0を目指すとします。高校3年生の1学期、評定はいくつ必要でしょうか。

答えはなんと……5.0です。

高校3年生の1学期で評定5.0を取ることができれば、(3.5+3.5+5.0)/3=4.0で、3年間の評定平均が4.0となります。逆にいえば、高校3年生の1学期で5.0を取らなければ、4.0に達することはできません。「すごく大変」というより、もはやほとんどの高校生には「不可能」だと思います。ですから、早めから、できれば高校1年生のなるべく早い段階から評定平均を意識して定期テスト対策をしていただきたいところです。

星マーク
※写真はイメージです

ちなみに、評定平均のもとになるのはほとんど学校の定期テストです。中学までは、授業態度や提出物などの比重が大きかったと思います。もちろん高校でもそれらは評価対象になりますが、それ以上に定期テストの重要度が圧倒的です。まじめに、テスト勉強をがんばっていきましょう。

手あたり次第に資格を取っても意味がない

資格取得については、言わずもがなです。ときどき、とにかく自己PRの枠を埋めたいだけで、手軽な資格をたくさん取る人がいますが、それは評価されません。

活動実績と同様に、自分の志望理由や夢をサポートするような資格を取りましょう。そうすると、数日の勉強で取れるようなものだけではないため、おのずと計画的に勉強することになるはずです。

カレンダー
※写真はイメージです
小論文対策の本質

小論文についても、「数枚書いて終了!」とする人がいますが、はっきりいってそれでは甘いのです。もちろん、文章の構成や細かい言葉づかいを勉強するだけであれば、早い人は数日から数週間あたりで小論文が書けるようになるかもしれませんが、それは小論文対策の本質ではありません。

たとえば社会学部や法学部では、政治に関連したテーマが出題されます。

「大きな政府と小さな政府」は頻出のテーマですが、みなさんはこれを聞いて何のことかイメージできるでしょうか? さらに、日本がどちらに該当するかわかりますか? もちろん大学によって違いますが、このような基礎知識は知っている前提で出題されることがあります。

学部ごとの基礎知識の習得に始まり、論理的な文章の書き方や論理展開の方法など、小論文を書くときに学ぶことはたくさんあります。それらをふまえると、できれば高校3年生になる前には対策を始めましょう。

これらは、他の対策と比べると試験が近くなってから開始する対策です。

そもそも、ある程度活動実績や資格が確定しないと、始められない内容ですよね。

この中でも、まずは志望理由書などの提出書類の作成を始め、それが完成したら面接などの練習に入りましょう。面接練習の中で、志望理由にしっくりこなければ提出書類から書き直さなければならないかもしれません。

そう考えれば短期的な対策であっても、遅くとも高校3年生の夏休みには対策を始めたいものです。

自分の得意や強みで勝負できる大学を選ぶ

推薦入試では戦略が大切です。

それは、大学によって実施している試験の内容が大きく違うからです。小論文や学力試験といった学力面を中心にして評価する大学もあれば、志望理由書や面接を重視する大学もあります。

たとえば、立教大学の法学部では評定平均3.8以上と英検資格の提出、そして大学から指定する活動実績があると出願ができ、選考内容は書類選考と面接です。一方、同じ関東の慶應義塾大学の法学部であれば、出願条件が活動実績のみで、選考は模擬講義の視聴とそれに関連した論述問題、最後に口頭試問……という流れで実施されます。評定平均や英語といった高校での学習を重視する立教大学と、大学で勉強・研究するテーマへの理解を評価の材料とする慶應義塾大学とで、対照的な入試内容だといえるでしょう。

このように、仮に同じくらいのレベル、かつ学ぶ内容が似ていても、選考の内容が大きく違うことは推薦入試では珍しくありません。ですから、出願する前に自分の得意や強みで勝負できる大学を選ぶことがとても重要になってくるのです。

「CHOICE」と書かれた木製のブロック
※写真はイメージです
面接官は「本当にやりたいかどうか」を見ている

「やりたいことで大学を選ぶ」ことは、将来のキャリアのためにも大切な観点ですが、まず「大学受験に合格するため」にも重要です。

総合型や公募型では、その大学や学部を選んだ理由を掘り下げる質問がとても多く出てきます。具体的には、志望理由書や面接での問答です。そしてそれが主な合格・不合格の判断材料になりますから、ここで他人と差をつける必要があります。大学のホームページやパンフレットに書いてある強みを書くだけでは不十分で、自分の活動実績や将来の夢とからめて書いていかなければなりません。

小林尚・橋本尚記『提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜』(かんき出版)
小林尚・橋本尚記『提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜』(かんき出版)

ですから、やりたいことを大切にして考える必要があるのです。本当に自分のやりたいことと一致していないと、どこかでちぐはぐになってしまいます。もちろん、自分の本心でやりたいこととは合致していなくとも、志望理由書にウソを書くことはできてしまいます。しかし、突発的に面接などで掘り下げられた場合に、少しずつほころびが出てしまい、結局合格できないという事例はいくらでもあります。

志望理由と活動実績の内容が違う。面接で答えた内容と提出した書類の内容が食い違っている……こういった情報のズレを面接官は見逃しません。ごまかしは効かないと思ってください。

だからこそ、自分の本心を偽らずにやりたいことや達成したい目標から大学を選ぶことが大切なのです。

以上のことを参考に、早めの推薦入試対策に取り組み、第一志望合格への切符を手に入れてください。

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