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マツダ新型CX80 試乗から見えてきたマツダが目指す高級感

  • 2024.10.29

カーライフその先の未来へ

九島辰也連載 マツダCX-80試乗<br />
九島辰也連載 マツダCX-80試乗

都心部で依然と続く、大型SUV車人気

 

大きくて人や荷物をたくさん載せられるクルマが欲しい。そのニーズは意外と多いかもしれない。コンパクトSUVのようなサイズを見ると「使いやすそうだなぁ」とは思うが、より大きなサイズを求める人は確実に一定数いる。

それを証拠に、都心部では見るからにデカイSUVが列をなしている。港区では、メルセデス・ベンツGクラスやGLS、レンジローバーやディフェンダー、ポルシェ・カイエンなどが信号待ちで群れをなす。セダンのような背の低いクルマに乗っていると、その迫力に圧倒されてしまうほどだ。

それはBMWを例にとってもわかる。日本にいるとX3やX1の販売台数が抜きに出ていると思いきや、グローバルマーケットではX5の方が売れている。道路環境の違いはあるにせよ。それだけある程度のユーティリティを欲する人はいるということだ。

ただ、こうして具体的なモデル名を挙げるとわかるが、ほとんどが輸入車となる。諸外国とは異なり、これだけ国産メーカーが発達しているのにラージサイズともなると、国産車はどうも影が薄くなってしまいがちだ。もちろん、ランクル300や新型ランクル250などトヨタのクロカン系はそれなりにがんばってはいる。が、納車遅れも関係するのかいまだそれほど目立たない。

 

個人的に“推し”の三菱アウトランダーも同様。母数が少ないのか、ユーザーが日本全国に散らばっているのかわからないが、存在感が薄いのは否めない。

新型CX-80のボディサイズは全長4990mm、全幅1890mm、全高1710mm
ボディサイズは全長4990mm、全幅1890mm、全高1710mm

マツダCX-80の走りから伝わる、揺るぎのない安定感と信頼感

 

 

そんなところにマツダが新型車を投入した。CX-80というSUVだ。マツダは今“ラージ商品群”でのモデル展開に勤しんでいる。CX-60がそのスタートでCX-90、CX-70などを海外で発表し、比較的大きめボディのSUVでラインナップの構築を図っているのだ。その辺についてのエピソードは今年5月にこの連載でお知らせしたことがあるので、そこに目を通してもらいたい。ラージ商品群によってマツダがどう変わっていくのか気になるところだ。

で、今回はその新型CX-80のステアリングを握ったのでその印象を少しお届けしたいと思う。実際にエンジンをかけ、一般道や高速道路を走らせると時としてクルマの印象が変わることがある。いい意味でも悪い意味でも、だ。

マツダCX-80 黒
マツダCX-80には3.3リッター直列6気筒ディーゼルターボと、この直6ディーゼルを軸としたマイルドハイブリッド、2.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンを軸としたプラグインハイブリッドの、3つのパワートレインがある 

あらかじめお伝えすると、新型車には3つのパワートレインがある。2.5リッター直4ガソリンエンジン+モーターのプラグインハイブリッドと、3.3リッター直6ディーゼルエンジン+モーターの48V(ボルト)マイルドハイブリッド、それとモーターなしの3.3リッター直6ディーゼルエンジンだ。プラグインハイブリッドは充電も給電もできるタイプ。マイルドハイブリッドは小容量のバッテリーで限られた領域でモーターを活用するもの。信号青でのリスタートやエンジンの加速のアシストを行う。

最初にステアリングを握ったのはプラグインハイブリッドだった。インテリアは豪華仕様で、ラージサイズの高級SUVといった感覚だ。で、その走りはCX-60の延長線上といったところ。ステアリングをはじめとする各部の操作系は重厚感があり、手応えを感じる。でもって直進性は高く高速道路ではかなり安定している。ロングホイールベースの恩恵だろう。きっと直距離ドライブしても疲れは軽そうだ。

インテリア2
予防安全システムとして、ドライバーの異常を検知して車両を自動停車(自動車専用道路では可能な限り路肩に寄せながら減速停止)させる「ドライバー異常時対応システム」が装備されている
インテリア
PHEV Premium Modern ¥7,122,500~、XD-HYBRID Premium Sports ¥6,325,000~、XD L Package ¥4,779,500~

次に乗ったマイルドハイブリッドはよりスポーティに仕上がっていた。排気量の大きなディーゼルエンジンは力強いうえ、よく回ることによって反応がいい。少しマニアックな言い方をすれば、直列6気筒の気持ちよさが伺える。ある意味理想的なエンジン形式だ。

そしてプラグインハイブリッド同様乗り心地がいい。キャビンは常にフラットで、どこに座っていても身体を大きく揺さぶられることはなさそうだ。どちらも20インチという大きなタイヤを履いている割に振動は少なく思えた。もしかしたらマツダが表現したい高級感はここにあるのかもしれない。

 

ということで、ある程度余裕あるサイズのSUVを探している人はこのクルマをチェックするといい。そうそう、肝心なことを言い忘れたが、CX-80の特徴は3列シートであること。6名仕様と7名仕様がある。その意味ではミニバンに飽きた方にいいかもしれない。

 

九島辰也 Tatsuya Kushima

 

モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーを担当。これまで多くのメンズ誌、ゴルフ誌、自動車誌、エアライン機内誌などの編集長を経験している。メディア活動以外では2023-2024日本カーオブザイヤー選考委員、(社)日本葉巻協会会員、日本ボートオブザイヤー選考委員、メンズゴルフウェア「The Duke`s Golf」のクリエイティブディレクターを務めている。

 

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