河合優実──「自分の軸を一層強く持っていなければいけない」【THE ONES TO WATCH 2024 vol.8】

2024.10.29

「自分は自分にしかなれないので、目標とする方はいません」

ドラマ「不適切にもほどがある！」でブレイク。時代を代表する俳優となった。「さまざまな作品や役の波に呑まれて何となく時間が過ぎてしまわないように、自分の軸を一層強く持っていなければいけないと思うようになりました。何か違和感やしんどさを感じたとき、その感覚を無視せずに自分を真ん中に戻す作業をすることで自分を保ち、しっかりと何かを持ち帰ることができると思っています」と話し、気を引き締める。

2024年は「不適切〜」に加え、映画『あんのこと』『ナミビアの砂漠』『八犬伝』、ドラマ「RoOT ／ルート」、劇場アニメ『ルックバック』など、幅広いテイストの作品に出演し、鮮烈な存在感を見せつけた。世界的に支持されるゲーム『龍が如く』シリーズをオリジナル脚本で実写化したAmazon Originalドラマ「龍が如く〜Beyond the Game 〜」では主人公・桐生一馬と同じ養護施設で育った幼なじみ・澤村由美を演じ、作品に深い影を刻んだ。「『龍が如く』は関わる人数がとても多く、大規模なセットで撮影した大作です。そういった環境の中でも自分がやるべきことに集中するためには普段より余裕を持ってどっしりと構える必要があります。竹内涼真さん、賀来賢人さんといった経験豊富な先輩方のお芝居を見て、作品のムードやトーンの中で自分をどうチューニングするかをしっかりと見極める必要があると感じました。今思うと無意識に気を張っていた気がするので、今後はどんな作品であろうと、もっと自由に挑めるようになりたいです」

「メジャー／インディーズ、規模感など、何の区切りもなく自分が面白いと思うものには飛び込んでいきたい」とも語る。2025年には初めての朝ドラ出演となる「あんぱん」の放送が控える。「初めての本読みのとき、錚々たるキャストや大勢のスタッフの前で、プロデューサーが『日本の朝ドラはリアルタイムで約2000万人が視聴しています。そんな番組は世界中どこを探してもありません』とおっしゃっていました。皆さんとてもポジティブなエネルギーと強い誇りを持って取り組んでいるように見えて、緊張すると同時にとてもワクワクしてきて『頑張ろう！』と思って台本に『感動した！』と書きました。忘れたくないと思う気持ちは、ポジティブなものもネガティブなものもそうやってマーキングしています」

以前から、目標となる人物は具体的に掲げないようにしている。「自分は自分にしかなれないので、目標とする方はいません。ただ、先日スマホに保存されている過去の写真を遡って見ていたら、俳優になりたいと思い始めた高校3年の頃に大量にスクショしていた安藤サクラさんと満島ひかりさんの画像が出てきて、自分の原点を感じました。今も素晴らしい役者さんだと思っていて、まだお会いするのは畏れ多い。ただ、『ナミビアの砂漠』でご一緒できた山中瑶子監督もそうなのですが、自分が憧れていた方と作品でご一緒するときには、ファンのままだと良い創作はできないと思います。相手が誰であろうと、リスペクトを持ちながらもあくまでも対等の立場で作品制作に向き合うことで良い関係が築けると思っています」

「どんな物語でも届ける可能性があるので、いろいろなことに興味を持って学ぶ必要がある」

今夏、ニューヨークに滞在して語学学校に通ったことで、役者として新たなヴィジョンが生まれた。「他国の方たちの多くが、当たり前のように母国の歴史や文化を深く知っていることに感銘を受けました。俳優はどんな物語でも届ける可能性があるので、いろいろなことに興味を持って学ぶ必要があります。英語を勉強する中で学べることも多いと思いますが、まず役を取り巻く環境や世界への理解度を上げることが大事。自分はもっと広くアンテナを張るべきだと感じました」

Profile

河合優実

2000年、東京都生まれ。映画『由宇子の天秤』（2021）、『サマーフィルムにのって』（2021）などに出演し、数々の新人賞を獲得。2024年は小川純子役を演じて話題になったドラマ「不適切にもほどがある！」に加え、映画『あんのこと』『ナミビアの砂漠』『八犬伝』、劇場アニメ『ルックバック』、ドラマ「RoOT／ルート」、Amazon Original ドラマ「龍が如く～Beyond the Game～」などに出演。2025年、初出演のNHK連続テレビ小説「あんぱん」の放送が控える。

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Photos: Teruo Horikoshi Styling: Shohei Kashima Hair & Makeup: Takae Kamikawa at mod ’s hair Text: Kaori Komatsu Editors: Yaka Matsumoto, Rieko Shibazaki

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