1. トップ
  2. 恋愛
  3. 綾野 剛──「“もの作り”に愛を注ぎ続けていきたい」【THE ONES TO WATCH 2024 vol.11】

綾野 剛──「“もの作り”に愛を注ぎ続けていきたい」【THE ONES TO WATCH 2024 vol.11】

  • 2024.10.29

「モントリオール映画祭に参加したとき、新たなドアをノックされた感覚と衝撃を味わった」

ジャケット ¥638,000 シャツ ¥308,000 パンツ ¥341,000 シューズ ¥159,500 ネクタイ ¥51,700/すべてSAINT LAURENT BY ANTHONY VACCARELLO(サンローラン クライアントサービス)
ジャケット ¥638,000 シャツ ¥308,000 パンツ ¥341,000 シューズ ¥159,500 ネクタイ ¥51,700/すべてSAINT LAURENT BY ANTHONY VACCARELLO(サンローラン クライアントサービス)

俳優としてデビューして、すでに20年の歳月が流れた。今や「役者が人生の生命線」という境地にあるという綾野剛にとっても、2024年にNetflixで配信された「地面師たち」は、大きな反響を実感するドラマになったようだ。「現場や仕事の先々で『観ました』とお声をかけていただき、皆さまに楽しんでもらえているのだと肌で感じています。配信では〝解像度が高い〞作品が求められていると感じます。原作や実話に、“映像”という新たな視点を加えることで、ある種のオリジナル作品へと昇華させた『地面師たち』は、ケレン味とリアリティの両面でその解像度の高さをクリアできたのではないでしょうか」

土地の所有者になりすまし、不動産売買で詐欺を行う地面師。そのグループの一人、辻本拓海は、自身が地面師詐欺に遭い、家族を失った悲痛な過去も抱える。綾野はそんな拓海の復讐心と犯罪者としての冷徹さを見事に表現する。「拓海は(詐欺のために)別人になりきるのですが、役を“演じる”役者とは違い、人を“騙す”ために芝居を選択します。さらに今作は(地面師グループの)5人で、ひとつの、たった一人の地面師像を形成していくというプロセスでした。先輩方それぞれの役に対する解像度の高さのお陰で、拓海の生き方を見出すことができたのだと確信しております」「地面師たち」は配信作なので世界中に届いている。折しも「SHOGUN 将軍」のエミー賞受賞のニュースが流れ、世界進出の野心が高まったのではないか。そんな質問に、綾野は冷静に思いを打ち明ける。

「最初に海外を意識したのは、『そこのみにて光輝く』でモントリオール映画祭へ参加したときでした。新たなドアをノックされた感覚と衝撃を味わいました。そこから日本の作品を日本語で世界にどう届けられるかを考え始め、今は仲間たちとその想いの具現化に向けて、取り組み続けています。『SHOGUN将軍』には言葉では表現しきれない感動を遥かに超えたたくさんの勇気をいただきましたし、新たな可能性への道標になりました。日本語が世界中へ“耳慣れ”してきた昨今だからこそ、それぞれ違うアプローチの仲間と横に並び、作品や環境を全体でシェアしたい。それが映画や世界配信の魅力であり可能性だと感じています。若い日本の魅力的な役者さんもたくさんいますので、世代を超えて一緒にスタートすることで、これからを一緒に模索し実働し経験していきたいです」

「特にここ5〜6年は皆で、総合芸術を作っている意識が高まっています」

日本語作品を海外に届ける意図を、言葉でどう表現するべきか。つねに綾野は模索しているという。そして、その模索も楽しいのだそうだ。では自身の仕事である演技への向き合い方は変わってきているのか。「特にここ5〜6年は皆で、総合芸術を作っている意識が高まっています。現場で何を捉えようとしているかを全員が理解している。こうした〝もの作り〞に僕は愛を注ぎ続けていきたいです。永遠の片想いですかね。現場でどんな瞬間が好きかと聞かれたら、やはりカメラが回るスタートからカットまでの時間。全部署が月日をかけて準備した総合力がそこに集結し、監督ら作り手に委ねることで、想像もしていなかった世界へと導かれます。そして最終的に作品を完成させるのは、観客や視聴者の皆様です。そのためにも僕たちは準備段階でチームや自身と向き合い、鍛錬することで、その現場でしか生まれることのない直感のための素地を作り続けたいです」

ひとつの答えが、さまざまな方向に広がっていくように、綾野剛の脳内にはやりたいことがたっぷり詰まっている。近い将来、とてつもない挑戦でわれわれを驚かせてくれるに違いない。

Profile

綾野 剛

1982年、岐阜県生まれ。2003年に「仮面ライダー555」で俳優デビュー。2007年には『Life』で映画初主演を経験し、2010年のドラマ「Mother」、2012年のNHK連続テレビ小説「カーネーション」で注目を集める。2015年は「コウノドリ」で連続ドラマ初主演。映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍し、2024年は「地面師たち」のほか、映画『カラオケ行こ!』、『ラストマイル』、『まる』、『本心』(11月8日)、『劇場版ドクターX』(12月6日)と出演作公開が続く。

問い合わせ先/サンローラン クライアントサービス 0120-95-2746

Photos: Seiji Fujimori Styling: Hiromi Shintani Hair & Makeup: Mayu Ishimura Text: Hiroaki Saito Editors: Yaka Matsumoto, Rieko Shibazaki

元記事で読む
の記事をもっとみる