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江村美咲──「勝利より、パフォーマンスの質にこだわりたい」【THE ONES TO WATCH 2024 vol.2】

  • 2024.10.29

「団体戦は自分だけの勝敗ではない」

ケープ ¥750,000 トップ ¥270,000 スカート ¥450,000 リング¥76,000 イヤリング ¥88,000 ネックレス ¥88,000 リング(左手)¥54,000 ブーツ ¥394,000/すべてDIOR(クリスチャン ディオール)
ケープ ¥750,000 トップ ¥270,000 スカート ¥450,000 リング¥76,000 イヤリング ¥88,000 ネックレス ¥88,000 リング(左手)¥54,000 ブーツ ¥394,000/すべてDIOR(クリスチャン ディオール)

彼女は新たなるフェーズに突入した。パリ2024オリンピックの開会式で日本選手団の旗手を務め、「金髪の騎士」として大きな注目を集めた江村美咲。女子サーブル個人こそ3回戦で敗れたが、アンカーを任せられた団体戦では躍動感あふれる剣で試合を制し、チームの銅メダルを決めた。「団体戦は自分だけの勝敗ではないですし、自分が不調なのもわかっていたので、ものすごく怖かったです。でもやるしかないので、開き直りに近い気持ちで最後の試合に臨みました」

フェンシングを始めたのは小学校3年生のとき。ただ、最初はそこまで夢中にはなれなかった。「フェンシングをやっているだけで珍しがられ、かっこいいねと言われるのがうれしかっただけで、特別向上心もありませんでした。それが、大分から東京に引っ越して、フルーレからサーブルに種目を転向してから楽しくなったんです」。勝者に与えられる景品欲しさから出場したサーブルの試合に優勝したことで覚醒し、自信を得た。「ダイナミックに剣を振れるのも楽しかったし、一瞬で試合が決まるスピード感も私に合っていたのだと思います。フェンシングは頭脳戦と心理戦の駆け引きなので、ゲームに近いんです。ただ、ゲームと決定的に違うのは、戦術を効果的に働かせるためには、自らのフィジカルと技術を整えないといけないところです。当然、相手も同じように裏をかいたりしてくるので、そう簡単には勝てない。戦い方に『これ』という正解がないところも面白いですね」

「怒りだけでは最高のパフォーマンスを保つことができない」

数年前までは、自身の勝利だけを考えていたというが、最近はその考えに変化が生じた。「フェンシングは個人競技ですし、今までは自分のことだけに精一杯で、自分の知見を教えてたまるものかと思っていました。でも、最近は後輩やチームのことを自然と考えられるようになってきた。みんなで勝ちたいなと思うようになったんです。キャリアと年齢を重ねたせいかもしれません」。勝利に歓喜する一方で、敗北を喫したときには悔しさを燃料にリベンジを誓ってがむしゃらに戦っていた彼女だが、今はそのフェーズにはいない。「怒りだけでは最高のパフォーマンスを保つことができないことがわかってきたんです。今は『何のために勝ちたいのか』と問われるとすごく難しい。純粋にフェンシングが大好きで、応援してくれる人のためにもいい結果を残したいですが、勝つことだけが大事かと言われたら、そうではないという考え方が強くなっています」。その中でモチベーションを保ち続けられている理由を、「勝ちたいからではなく、フェンシングを追求していく中で、人としても成長ができていると実感できるから。一生懸命やること自体が楽しいし、努力をする過程が好きなんです。勝利の数にこだわるのではなく、パフォーマンスの質やフェンシングを楽しむことにこだわりたいんです」と言い切る。

真面目で完璧主義なところが長所であり短所でもある。だからこそ、モットーは楽しむこと。「自分ができているかできていないかは別として、何事も全力で楽しんでいる人は素敵だなと思うし、そういう人に惹かれます」。息抜きはファッション好きな彼女らしく、ショッピング。絵を描くなど、しばらく離れていたアートにも挑戦してみたいと語りつつも、現実は鍛錬の日々が続く。それでも、これまで一度もやめたいと思ったことはないフェンシングへの愛と情熱が、江村をさらなるステージへと導く。

Profile

江村美咲

1998年大分県生まれ。8歳でフェンシングを始め、2011年に種目をサーブルに転向。中央大学を卒業した2021年に、日本フェンシング界で初のプロ選手となり、同年東京2020オリンピックに出場。ダイナミックな攻撃で知られ、2022年と2023年の世界選手権では2連覇を果たす。開会式で日本選手団の旗手を務めたパリ2024オリンピックで、女子サーブル団体で銅メダルを獲得。2024年はディオールのスポーツアンバサダーも務めている。

問い合わせ先/クリスチャン ディオール 0120-02-1947

Photos: Houmi Sakata Styling: Shizuka Yoshida Hair & Makeup: Tomomi Shibusawa at beauty direction Text: Rieko Shibazaki Editors: Yaka Matsumoto, Rieko Shibazaki

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