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バグ・ホテルは虫たちのための可愛らしいホテル! 作り方や注意点をご紹介

  • 2024.10.28

海外のガーデンでも設置されていることが増えている「バグ・ホテル」をご存じですか。バグ・ホテルは、虫たちの居場所になったり、冬越しするための棲みかです。日本ではまだあまり馴染みがありませんが、ヨーロッパでは一般的で、広く家庭に作られています。この記事ではバグ・ホテルとはどのようなものかから、作り方とその注意点について詳しくご紹介します。

バグ・ホテルとは

バグホテル
Dawn Quadling/Shutterstock.com

まずはバグ・ホテルとはどのようなものかについてご紹介しましょう。

バグ・ホテルの概要

バグホテル
Ground Picture/Shutterstock.com

バグ・ホテルとは、虫たちが過ごすための人工的な場所を提供するもので、これは生物多様性保全の取り組みの一環として注目されています。野鳥のための巣箱のようなものですね。都市環境の中でも虫たちが過ごしやすい場所を提供することで、さまざまな虫を呼び込み、昆虫の多様性を守る手助けになるのです。また、これらの虫たちはガーデニングや農業の面でも、春になると花粉の媒介や果樹の交配をしてくれるというメリットがあります。

バグ・ホテルは、バグ・ハウスやインセクト・ホテル、インセクト・ハウスなどとも呼ばれています。日本ではまだあまり知られていませんが、ヨーロッパではよく庭に設置されており、バグ・ホテルのデザインコンテストが開催されるほどポピュラーなものです。まるでデザイナーズマンションのような作品の数々は、見ているだけでも面白く、ガーデンでもアクセントになってくれそうです。

バグ・ホテルの基本的な構造

バグホテル
paikong/Shutterstock.com

基本的なバグ・ホテルの構造は、廃材のボードやパレットを使用して枠を作り、その隙間にさまざまな素材を詰めたもの。詰める素材は多種多様で、わらやコルク、松ぼっくりなど、虫が好むものを使用します。自分のアイデアを活かして自由に作ることができます。

生物多様性とは

バグホテル
VectorMine/Shutterstock.com

生物多様性とは、バラエティーに富んださまざまな生物の種類や個性、そして互いの違いを活かしながらつながり、調和して生きている状態を指します。生物多様性の国際条約では、生物多様性は3つのレベル、つまり生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性があるとされています。特に昆虫では、多様な種類が存在することでさまざまな種類の植物の受粉を助けたり、昆虫を捕食する生き物の保全に繋がったりといったメリットがあります。科学的に解明されている以外にも生物同士のネットワークはあるとされ、可能な限り生物の多様性を損ねないような配慮が必要であると考えられています。

バグ・ホテルに必要な材料や基本的な作り方

バグホテル
viki2win/Shutterstock.com

それでは、実際にバグ・ホテルを作るにはどのようにすればよいのでしょうか。ここではバグ・ホテルの作成に必要な材料や、基本的な作り方について詳しく解説します。

バグ・ホテルの材料

バグホテル
JurateBuiviene/Shutterstock.com

バグ・ホテルを作成する際は、防腐剤や塗料などの化学物質を避け、昆虫が好む天然素材を活用することが大切です。基本的なバグ・ホテルでは、木箱をベースとして使用します。この木箱は廃材を利用して自分で組み立てることも可能です。中に詰める素材は、小枝や落ち葉、松ぼっくり、コルク、石、樹皮、アシや竹の束、レンガ、素焼き鉢など、好みのものを複数用意しましょう。素材の固定には麻ひもなどを使用します。さらに、必要に応じて素材に穴を開けるためのドリルや、加工するためのペンチも用意します。

基本の作り方

バグホテル
encierro/Shutterstock.com

バグ・ホテルの基本的な作り方は、枠を作って素材を詰めるだけです。作り方の一例としての手順を以下にご紹介します。

① バグ・ホテルの設計図を作る

まず、どこにどんな虫が来てほしいかを考え、それに合わせて詰める素材を決めます。

② 必要な素材を集める

次に、設計図に基づいて必要な素材を集めます。これらの素材は、必要に応じて長さをカットするなどして加工します。

③ 木箱を用意する

素材を集めたら、それらを詰めるための枠を用意します。これは、既製の木箱を使用するか、自分で木材を組み立てて箱を作ります。

④ ベースに素材を詰めていく

最後に、木箱に素材を詰めていきます。これでバグ・ホテルが完成です。

バグ・ホテルの作り方のポイント

バグホテル
Studio.G photography/Shutterstock.com

バグ・ホテルのサイズは自由で、ワイン箱サイズや手のひらサイズなど、庭のスペースに合わせてさまざまな大きさにすることができます。使用する木材や廃材は、防虫剤など虫に害がある薬剤が使用されていないかを確認しましょう。また、バグ・ホテルは雨があまり当たらず、日当たりのよい場所に設置します。鳥がつつくことがあるため、鳥よけネットをかぶせておくのもおすすめです。

バグ・ホテル管理にあたっての注意点

バグホテル
Sabine Seiter_sh/Shutterstock.com

バグ・ホテルを作成したら管理することも重要です。ここではバグ・ホテルの管理について解説します。

注意点

注意点
Vector Stock Pro/Shutterstock.com

大規模なバグ・ホテルにはさまざまな種類の虫が数多く集まるため、密度が高まり、病気や寄生虫の感染リスクが高まることがあります。特に、虫に寄生する寄生虫が卵を仕込むと、バグ・ホテル中の虫が被害に遭う可能性があります。また、カビが生えると、それが虫たちの病気の原因になることもあります。これらの問題を防ぐためには、適切なデザインとメンテナンスが必要です。

対処法

バグホテル
encierro/Shutterstock.com

大きなバグ・ホテルよりも小さいもののほうが、病気や寄生虫の蔓延リスクが低いです。そのため、ハチ用やテントウムシ用など、特定の虫を対象とした小さなバグ・ホテルをいくつか作って設置することがおすすめです。これにより、適切な環境に設置しやすく、メンテナンスもしやすくなります。

また、バグ・ホテルの中身が雨に濡れないように、屋根部分をしっかりと作ることが大切です。自然な素材を使用するため、風雨による劣化が起こりますので、傷んだパーツは定期的に交換することも必要です。

バグ・ホテルを呼びたい虫別に作る方法

バグホテル
EkaterinaP/Shutterstock.com

先述のとおり、バグ・ホテルを初めて作る方は呼びたい虫ごとに小さなものを作るほうがメンテナンスしやすいのでおすすめ。ここではハチ・テントウムシ・チョウをターゲットにしたバグ・ホテルの作り方のポイントについてご紹介します。

ハチ

ビーホテル
Juliasuena/Shutterstock.com

「借孔性ハチ類」や「管住性ハチ」などと呼ばれるハチ類は、竹筒やヨシの茎など細長い筒状のスペースを好んで巣にします。日本ではこれらのハチ類が約60種類存在します。これらのハチは、巣の中に餌を蓄えて産卵し、卵から孵った幼虫はその餌を食べて育ちます。

バグ・ホテルを作る際には、内径5~20mmほどの竹筒やヨシの茎などを集め、それらを20cmほどの長さに切ります。これらの筒を束ねたり、すだれのように並べたり、箱に詰めたりします。いろいろな太さの筒を混ぜ合わせると、さまざまなハチが入ることができます。作ったバグ・ホテルは軒下など雨が当たりにくい場所に設置しましょう。

テントウムシ

バグホテル
iMarzi/Shutterstock.com

テントウムシは集団で冬を過ごし、落ち葉の下や石の隙間、樹皮の下、建物の中など風の当たらない場所に集まり越冬します。ナナホシテントウは越冬前に産卵して寿命を終えるため、バグ・ホテルにはあまり来ません。一方、ナミテントウなどの種類は越冬します。

テントウムシのバグ・ホテルの作り方は、ベースに松ぼっくり、小枝や枯れ葉を敷き詰めます。また、松ぼっくりを直接地面に置いて重ね、その上に屋根を設置する方法もあります。さらに、マリーゴールドやコスモス、カレンデュラ、タンポポなどを庭に植えると、テントウムシを呼びやすくなります。

チョウ

バタフライハウス
Edita Medeina/Shutterstock.com

成虫で越冬する種類のチョウのためのバグ・ホテルもあります。チョウは細い隙間で休むため、バグ・ホテルにも入口となる細いスリットが必要です。バグ・ホテルの前面になる板にスリットを開け、やすりで滑らかにします。そして、ホテルの中には木の枝や樹皮を入れます。チョウのバグ・ホテルは日当たりがよく、風が当たらない場所に設置します。

バグ・ホテルを設置して庭に虫を呼び込もう

バグホテル
DAN_SHMIDT/Shutterstock.com

バグ・ホテルは虫たちが自然の中で暮らしやすく、安全に越冬させるためのホテルです。生物多様性の保全にも貢献し、庭の果樹の受粉など、植物の交配や結実も手助けしてもらえるかもしれません。初めて作る方は、管理しやすい小さめのものから始めてみてはいかがでしょうか。

Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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