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店主はおばあさん。可愛い文具とときめきが詰まった店に通った思い出

  • 2024.10.28

昔、私は可愛いものが大好きだった。小学生の時はファンシーな雑貨や文房具を学校で友人同士で見せ合い、時には交換したりして独自の文化を築いていたし、たまの休日に親に買い物に連れて行って貰った際に新しい文房具を買ってもらえるとそれを学校に持って行って友人に自慢するのが楽しみでたまらなかったのだ。

大人になった今も可愛い絵柄のものや小物には惹かれるし、その点は当時と変わらないままであるなとは感じるが、どんなに魅力的なものを手にしてもやはり純新無垢であった子供時代に感じていたあのときめきに勝る感情を今抱くことは難しいように思う。

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当時、可愛い雑貨を集めている中で好きで通っていた店が何軒かあったのだが、その中でも群を抜いてお気に入りであり、かつ今も自分の心の中に残り続けている店がある。

その店は自宅から車で1時間半程度の場所にあった私の祖母の家がある街の商店街の中にひっそりと佇んでおり、高齢の女性が1人で店を切り盛りしていた。

やはりおばあちゃんは孫に対して甘いものであり、私が両親と共に祖母の家を訪れた際には沢山の美味しい食べ物とお菓子でもてなしてくれ、それと共に私が当時心を奪われていたファンシー雑貨も店に一緒に行けば好きなだけ買い与えてくれた。今思えばあの歳の子が買うような金額をゆうに超えていたと思う。

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連れて行ってくれた店の中の1つが先程紹介したこぢんまりとした店であり、規模は小さいが品揃えは他店に引けを取っておらず、人気のキャラクターものからオリジナルの可愛らしい文具まで店内は様々なファンシーな雑貨で埋め尽くされていた。

キラキラのストーンが付いた鉛筆、良い匂いのする消しゴム、当時好きだったキャラクター関連のグッズ……と見始めるとキリがなく平気で2時間くらいあれも、これもと商品をこれ以上ないくらいの集中力で吟味していた。魅力的な雑貨で埋め尽くされたその店は当時の私にとってはまさにこの上ない夢の国のような空間であったのだ。

店主のおばあさんは大人しい控えめな女性ではあったが、いつもニコニコしてレジのカウンターに座っており、私が行くとまた来てくれてありがとうね、と会計時にはよくキャラクターの消しゴムなどをおまけでつけてくれ、特別感がありそれがまた嬉しかった。

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いつのまにか祖母の家に行った際にはその店もセットで訪れるというのが恒例行事になっており、祖母の家に行く事が決まると私は前日からウキウキでまたあの店に行って可愛い文具を買ってもらえるんだ!と興奮が止まらなかったのを今でもよく覚えている。

何年か通った店ではあったが、しかし、いつくらいからだろう。学年が上がるにつれて興味関心の事物もだんだん移り変っていき、いつのまにか祖母の家に行ってもパタリとあの店に行く事はなくなってしまった。中学生くらいになると周りの学友も皆ファンシーな雑貨よりもアイドルやタレントといったジャンルへ興味がシフトしていき、使う文具もキラキラとした可愛らしいキャラものからシンプルかつ機能性重視のものが多くなっていったように感じる。

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今でもショッピングモールなどに行けばファンシーな小物、雑貨を取り扱う店は存在するが、昔と比べるとやはりその数はかなり少なくなっているように思う。自分が昔お気に入りだった1軒の店舗型の雑貨屋も軒並み廃業し今は需要の高いスポーツジムや飲食店等にその姿を変えてしまっているので、悲しい事ではあるが、やはり時代と共に移り変っていくことは仕方の無いことであるといえるだろう。

店主の女性も私が小学生の時点で結構な高齢であったため、年齢の点でいってももう店じまいをしてしまっている可能性が高い。
ときめきが詰まっていたあの空間にもう行けないかもしれないと思うとそれは寂しく感じてしまうが、当時の幼かった私に夢と沢山のワクワクを与えてくれたあの店をかけがえのない思い出としていつまでも心の中にしまっておきたい。

■たんこのプロフィール
自分の感じた事、日常を淡々と記します。ホラー好き

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