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クマは小学生の身長ほどの草があれば、隠れて移動できる… 札幌で広がる対策と、今後の課題/2024年の草刈りまとめポイント版

  • 2024.10.27

ことしはクマが指定管理鳥獣に追加されるなど、国レベルで対策の転換点に来ています。
指定管理鳥獣の交付金は、捕獲だけでなく、住宅地への出没の防止や、調査も対象になる方針ということがポイントです。

連載「クマさん、ここまでよ」では、クマの出没を防ぐため・出会わないためのいろいろな対策をお伝えしてきました。
今回は、住民にできるクマ対策のひとつ「草刈り」に注目します。

住民による「草刈り」が広がっているのが、札幌。2024年、9か所で草刈りが行われました。いずれも「常連」の地域です。

どんな場所で、誰が対策に関わったのかは詳細版の記事でお伝えしていますが、この記事では、「なぜ草刈りがクマ対策になるのか?」「ことしの札幌の草刈りを振り返ってわかること」について、ポイントをお伝えします。

連載「クマさん、ここまでよ」## なぜ草刈りがクマ対策になる?

Sitakke
2021年、札幌市東区に出没したクマを上空から撮影した写真。背の高い草に逃げ込んでいた

クマは背の高い草や、川沿いの茂みなど、体を隠せる場所を好んで移動します。

そのため、草刈りをして見晴らしを良くすることで、クマと人がお互いを見つけやすくなり、ばったり出会って事故にあうリスクを減らせます。

HBCでは2022年、クマ対策に関心のある学生や、専門家、札幌市と協力して「クマとまちづくり」プロジェクトを立ち上げ、草刈りの効果の実証実験をしました。

Sitakke

住宅地でよく目撃される、平均的な若いオスのクマの大きさを再現した等身大パネルです。
鼻先からお尻まで130センチ、足もとから肩まで、およそ90センチ。

つまり、およそ90センチの高さの草があれば、クマが隠れられてしまうわけですが…意外に低いと思いませんか?
北海道の統計によると、2021年度の小学1年生(6歳)の平均の身長が、約116センチなので、体の高さは小学生より低いことになります。

Sitakke
実証実験での写真。手を挙げている学生の足元にクマの等身大パネルがある

札幌市内の公園で行った実証実験では、遊具からすぐの茂みに入って10メートルの地点でも、クマが見えないことがわかりました。こうした状況では、クマと人がお互いに気づかずに近づいてしまい、ばったり会って事故になるリスクがあります。

この実験で、「住宅地によく出ると言われている若いオスのサイズだと、場所によっては5メートル・10メートルでも見えないこと」がわかりました。
こうした場所はここだけではなく、ほかのマチ、札幌市内でもいろいろなところにあります。あなたのマチでも、川沿いなど、思い当たる場所があるのではないでしょうか?

9カ所の草刈りから、見えてきたこと

Sitakke

ことし札幌では、市内の9カ所でクマ対策の草刈りが行われました。
町内会や学校のほか、学生が作ったクマ対策グループが主催したものもあります。11年目のベテランの参加者もいれば、ことし始めて参加した高校生もいました。

「住民による草刈り」の輪は、地域や世代を越えて、じわじわと広がっています。
札幌市内ではほかにも、クマを引き寄せる放棄果樹の撤去や、ごみ拾いなどの活動も行われています。

ただ、ことしの9カ所はいずれも「常連」。うち8カ所が南区で、東区が1カ所でした。
一方でクマの出没地点は西区や中央区など広範囲に広がっています。

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ことし7月、札幌・中央区の自然歩道で確認されたクマ(札幌市が設置したカメラで撮影。画像提供:札幌市)

クマとの事故を防ぎたい、怯えず安全に暮らしたいというのは、どこの地域も共通の思いではないでしょうか。町内会長が企画するのももちろん良いですし、住民のどなたでも、学生が企画してもいいのです。

あなたのマチの暮らしをどうしたいのか、そのためにどこでどんなクマ対策が必要なのか、考えてみませんか?

札幌市によりますと、ことし草刈りを実施したこの9カ所では、対策以降、クマが通った形跡は確認されていません。効果がある対策と言えます。

札幌市内で、じぶんの住む地域でも草刈りをしてみたい…と感じた方は、札幌市環境共生担当課(011−211−2879)に連絡してほしいということです。
いつ・どこを草刈りしたらいいか、地域の説明はどうしたらいいかや、場所の使用許可、道具の貸し出しについて相談を受け付けています。

ことし草刈りを実施した9カ所がどこか、誰が関わって企画されたのかは、詳細版の記事でお伝えしています。
【「私の後ろに“クマ”が隠れていたの、気づきましたか?」身近に潜むリスクには、できる対策がある/札幌・2024年の草刈りまとめ詳細版】

連載「クマさん、ここまでよ」
暮らしを守る知恵のほか、かわいいクマグッズなど番外編も。連携するまとめサイト「クマここ」では、「クマに出会ったら?」「出会わないためには?」など、専門家監修の基本の知恵や、道内のクマのニュースなどをお伝えしています。

文:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は取材時(2024年5月~10月)の情報に基づきます。

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