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塩対応も“推し”からだったらファンサービス!? 『推しの為ならなんでもします!』で描かれるオタク心に思わず共感

  • 2024.10.27

昨今では、人に薦めたいと思うほどに好感をもっている物や人のことを“推し”と表現し、メディアでも多く取り上げられるようになった。好きな芸能人やアニメ、漫画のキャラクターを“推し”とする方が多い中、身近な人を“推し”とするパターンも少なからずあるだろう。『推しの為ならなんでもします!』(おーはしるい/竹書房)は“会社の上司”を推す主人公を描いた作品である。

千奈は同じ会社の上司である染谷を密かに推している新卒SE。採用面接での彼の笑顔が忘れられず入社するも、基本無口、無表情な染谷とコミュニケーションを図るのは至難の業だった。会社で「推し活」に励む彼女や、彼女を取り巻く職場の人々など、お仕事要素も含まれているラブコメディには面白さがギュッと詰まっている。

本作一番の見どころはやはり、千奈が作中で見せるさまざまな言動だろう。彼女は染谷にコーヒーを差し入れるも「いらない」「コーヒーは好きじゃない」と冷たくあしらわれてしまう。暗い表情で仕事へと戻っていく千奈だったが、実は溢れ出る気持ちを抑えているだけであり「今日も『推し』が尊い…っ」と興奮を露わにするシーンには、思わず共感してしまった読者も多いのではないだろうか。“推し”の対応は良くも悪くも関係なく、全て自身へのファンサ(ファンサービス)になってしまう……。そんな“オタク心”が存分に描写されていた。

他にも染谷の写真を手に入れるため、社内報のバックナンバーの入手方法を聞いたりと、推しがいる方なら思わず「わかる〜!」と言ってしまいそうな場面が多く登場する。また、話が進むにつれて徐々に変化していく染谷と千奈の関係にも注目だ。好きだけど、必ずしも“付き合いたい”わけではない……。そんな彼女の気持ちは今後変わっていくのか、とても気になるところだ。

文=ネゴト / 渡辺美咲

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