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【変わりゆく戦争】ドローン攻撃は軍事装備と人員への損害の80%を占める

  • 2024.10.27
激化するドローン戦争の行く末は? / Credit:Canva

未だに続くロシアとウクライナの戦争では、その戦いの形式が新たな形へと変化しているようです。

最近まで戦争は人間同士の戦いでしたが、ロシアとウクライナではドローン同士の戦いが日常的に生じています。

この戦争は「史上初のドローン戦争」と呼ばれるようになっており、ドローン攻撃が軍事装備と人員への損害の80%をもたらしているとの情報もあります。

そしてこのようなドローン戦争でさえ、すぐに異なる形態へと変化していくのでしょう。

目次

  • 史上初のドローン戦争
  • ドローンが破壊行為の80%を占める時代に

史上初のドローン戦争

SF作品に登場してきた「無人機を用いた戦争」 / Credit:Canva

テレビアニメ『新機動戦記ガンダムW』では、AIをモビルスーツに組み込んだ無人兵器「モビルドール」が登場します。

外部からの操作だけでなく、完全な自立行動が可能なこれらモビルドールは、命がけだった戦いを変えてしまいました。

また、フライトシューティングゲーム『エースコンバット7』でも、自律型AIを搭載した無人機(ドローン)が登場します。

主人公の最大の敵は大量の無人機であり、本作では「有人機VS無人機」が1つのテーマとなっています。

このように、SF作品では、昔から「無人機(ドローン)」が登場しており、それが戦争の在り方を変えるような描写がなされてきました。

そして現在、それらの内容は現実のものとなっています。

現在進行中のロシアとウクライナの戦争は、「史上初のドローン戦争」と言われており、戦場では人間同士が戦うのではなく、ドローン同士が戦うようになっているのです。

ウクライナのロシアの戦争にドローンが使用される / Credit:Canva

もちろん、この戦争も、最初からこのような形態だったわけではありません。

当初、ドローンは武装しておらず、偵察用に使用されていました。

そして互いの偵察用ドローンが戦場で偶然遭遇するようになると、両国はそれら偵察機を妨害したり、撃墜したりするための技術や戦術を開発するようになりました。

もしかしたら、最初のドローンドッグファイトは、2022年10月に発生したものだったかもしれません。

X(当時Twitter)にポストされた動画は、ロシアとウクライナの非武装ドローンが衝突し、ロシア側のドローンが破壊された様子を映し出しています。

では、このようなドローン同士の戦いは、1~2年でどのように変化したでしょうか。

ドローンが破壊行為の80%を占める時代に

偶然に生じたドローンドッグファイトの数カ月後には、両国が意図的に互いのドローンを迎撃し始めました。

今やドローンは単なる偵察機としてではなく、武器を積み、相手のドローンを打ち落としたり、人や軍事設備を攻撃したりするために用いられているのです。

現在、ドローンによる攻撃が、軍事装備と人員への破壊行為の約80%を占めている / Credit:Canva

パリで開催された世界最大規模の防衛展示会「ユーロサトリ2024」にて、フランスの陸軍参謀総長ピエール・シル氏が語った言葉によると、現在、ウクライナの前線ではドローンによる攻撃が、軍事装備と人員への破壊行為の約80%を占めています。

しかも「8カ月前にはこのような状況が見られなかった」とのことで、戦いの形式が急速に変化していることも分かります。

では、低コストで大きな被害をもたらす敵国のドローンに対処できるのは、どんな武器でしょうか。

当初はドローンの操作を妨害する「電波妨害装置」などが有効な防御手段だと考えられていましたが、ドローンメーカーはAIを用いた制御などによってすぐに対処。

そのため現在では、ドローンの迎撃にはドローンが用いられるようです。

最近、ウクライナのドローンメーカー「Wild Hornets」は、過去数カ月に行われたと考えられる100回以上のドローン迎撃動画を公開しました。

そして2024年8月には、ウクライナがドローン作戦を防空レーダーと統合し、ロシアの長距離偵察ドローンを迎撃できる新しいソフトウェアを導入したことで、ドローン戦争は一段と激化しました。

直近では、爆弾を抱えたドローンが敵へと特攻する「爆弾ドローン」が軍事企業によって開発・発表されています。

この小さな爆弾ドローンは、オペレーターの操作によって上空から敵軍に近づき、急降下して爆発します。

デモンストレーションで示された衝撃の破壊力は、戦争におけるドローンの影響力がどれほど大きいかを示すものとなりました。

もちろんドローンが用いられるのは空中戦だけではありません。

陸上では無人地上車両が用いられており、前線まで食料や水、弾薬を運んだり、武器を装備して攻撃したりしています。

当然、敵国の無人地上車両を攻撃するドローンも登場しています。

まさに現代の戦争は、「ドローンVSドローン」へと変化したのです。

変わりゆく戦争。兵士たちはドローンを使って安全な場所から戦う。ドローンに対処できるのもドローン / Credit:Canva

19世紀末から20世紀前半までは、軍力の増強には大経口の主砲と厚い装甲をもつ大型戦艦が必要だとする考え「大艦巨砲主義」が一般的でした。

しかし航空機の発達により、大艦巨砲主義は航空戦力を主軸とする「航空主兵論」へと切り替わりました。

そして現在では、それら兵器に生身の人間が乗ることは少なくなってきました。

人間同士の戦いからドローン同士の戦いへと切り替わっているのです。

将来的には、ドローンを人間か操作することさえ無くなり、「AI」VS「AI」の時代が到来するかもしれません。

しかもそれが訪れる時期は、そこまで遠くないでしょう。

参考文献

Small drones will soon lose combat advantage, French Army chief says
https://www.defensenews.com/global/europe/2024/06/19/small-drones-will-soon-lose-combat-advantage-french-army-chief-says/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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