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結が魂を解放「パラパラ」、地元民の協力で完成したカタルシス

  • 2024.10.27

今週放送された連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)第4週「うちとお姉ちゃん」では、主人公・結(橋本環奈)の姉・歩(仲里依紗)が糸島に帰ってきて、神戸での米田家の記憶が少しずつ明らかになり、さらに『糸島フェスティバル』本番の日・・・と、盛りだくさんのエピソードが描かれた。

『おむすび』第20回より、パラパラを披露する結たち。写真左から、鈴音(岡本夏美)、理沙(田村芽実)、珠子(谷藤海咲)、瑠梨(みりちゃむ)、結(橋本環奈)(C)NHK

本日放送された第20回では、結とハギャレンのメンバーたちがずっと練習してきたパラパラを『糸島フェスティバル』で披露。6歳のときに被災した震災で負った心の傷を抱え、姉・歩への複雑な思いからギャルが嫌いだった結が、『糸フェス』で仲間とパラパラを踊って「今を思いっきり楽しむ」という気持ちが芽生える。結が自分自身を解放するこのシーンについて、第4週の演出を担当した小野見知さんに聞いた。

■ 結が自分の心に素直になる、大切なシーン

小野さんは、「『パラショー』のシーンは、結が初めて自分の心に素直になることの喜びを知る、とても大切なシーンでした。ただ撮るだけでは『踊って終わり』になりかねないので、はじめに脚本を読んだときに『これは難しいシーンだな』と思い、心してかかりました」とコメント。

続けて「ハギャレンのメンバーに対して、結はどちらかというといわゆる普通の女の子。そういう子がいきなりあんな大舞台に出たら『どんな気持ちになるんだろう』と考えたんです。『うまく自分を出して踊れない』というところから、メンバーからの励ましを受け、観客の歓声も受けて、彼女の気持ちがだんだん変わっていく過程を見せたいと意識して撮りました」と振りかえる。

糸島フェスティバルのシーンを撮影したのは、クランクインして間もない時期だったという。小野さんは、「演出としては、できればあのシーンはもっと関係性ができあがってから撮りたいと思っていたのですが、杞憂に終わりました。橋本環奈さんとハギャレンの4人を演じた俳優さんたちは撮影の前に何度もパラパラの練習を重ねてきていたので、ちゃんとチームワークが出来あがっていて。舞台袖でスタンバイ中の皆さんがお互いに『あそこをもっとこうしよう』とか『声出していこう』と、声をかけあっているのがマイク越しに聞こえてきて、既に『ハギャレン』なんです。熱いものを感じました」と語った。

300人規模の地元・糸島のエキストラが参加して2日以上かけて大々的におこなわれたシーン (C)NHK

■ 地元エキストラの力も借りて盛り上がった「パラショー」

また、パラショーのシーンのテイク数について、「撮影したのは3月の末というまだ肌寒い時期。冷たい海風が吹くなかあの薄い衣装で踊ってもらうので、限定した回数で思いきり集中力を出してほしいと考えました。結果として、通しで踊ってもらったのは2回で、あとはある程度部分ごとに区切って短く撮りました」と明かした。

糸島フェスティバルのシーンは300人規模の地元・糸島のエキストラが参加し、2日以上かけて大々的におこなわれたという。小野さんは「観客席のエキストラのみなさんの『反応のお芝居』が本当に素晴らしくて、皆さんの力でパラショーのシーンのカタルシスが完成したと思っています」と語り、こう続ける。

「最初は結が緊張してうまく踊れず、客席がまだ『ドン引き』の状態からだんだん心が動いて盛り上がっていくので、そこを観客の皆さんに『感じながら』演じていただきました。とても難しかったと思うのですが、エキストラの皆さんがお互いに『心が動くポイント』を確認しあって、見事に演じ分けていただけました。地元の皆さんのご協力あってこその朝ドラだなと、痛感しました」。

次週第5週「あの日のこと」では、結が自己を解放した先に向き合う「震災の記憶」が描かれる。

取材・文/佐野華英

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