道長と彰子のバトル開幕、怒りの演技に称賛の声【光る君へ】

吉高由里子主演で『源氏物語』の作者・紫式部（ドラマでの名前はまひろ）の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』（ＮＨＫ）。１０月２０日放送の第４０回「君を置きて」では、彰子が道長についに反抗したことで、ＳＮＳに緊張が。さらに新キャラの登場で、久々にときめく展開が見られたことにも歓声が上がっていた。

■ 彰子が父を責め立てるも…第４０回のあらすじ

一条天皇（塩野瑛久）の退位が決まり、藤原道長の娘・彰子（見上愛）が産んだ敦成親王（濱田碧生）が次の東宮に選ばれた。しかし天皇から、第１皇子の敦康親王（片岡千之助）を東宮にしたいと聞いていた彰子は、自分になんの相談もせずに事を進めた父を責め立てるが、道長はまったく聞く耳を持たない。彰子は泣き崩れながら「中宮なぞなにもできぬ。なにゆえ女は政に関われぬのだ」と、まひろに訴えかけた。

一方まひろの娘・賢子（南沙良）は、従者・乙丸（矢部太郎）と外へ買い物に出ているときに、悪漢たちにさらわれそうになる。そこで賢子を救ったのが、平為賢（神尾佑）に仕える若武者・双寿丸（伊藤健太郎）だった。賢子は双寿丸に家まで送り届けてもらい、お礼にごちそうをすることに。里帰りをしてきたまひろの目に飛び込んだのは、もりもりとご飯を食べながら、自分の境遇を語る双寿丸の姿だった･･･。

■ 一条天皇の高い志に触れ…彰子、父親へ初めて反抗

第３７回でうっかりまひろに漏らした、道長くんの「孫の敦成親王を東宮にする計画」が、ついに実行に移された第４０回。なんかもう「道長くん」なんて気軽に呼んだらあかんのか？ と思うぐらいに、父・兼家（段田安則）を彷彿とさせる辣腕政治家となってしまった道長。あの手この手を使って、見事に大願成就を果たしたけれど、自分の息子が東宮になることを喜ぶと思っていた彰子が、逆に猛反発をするというのは、おそらく大誤算だったろう。

かつては「おおせのままにｂｏｔ」と言われるほど、自分というものを一切出さず、周囲の言いなりだった彰子。しかしまひろと『源氏物語』に出会ったこと、そして敦康親王を育てることで、自分の内なる感情を表に出す方法を少しずつ会得。さらに一条天皇の高い志に触れたり、まひろの手ほどきで『新楽府』という政治的な書物を読んだことで、政のあるべき姿にも目覚めた。そういった長い過程を経ての、初めての父親への反抗だった。

この勇姿に、ＳＮＳでは「あんなにも自分の気持ちをおさえて無表情で無口だった彰子が、パパさんに向かって感情むき出しで怒る日が来ようとは」「彰子は帝の御心をわかっている自負があるんだよな。その自負を父が踏みにじったと彰子は怒っている」「声にも表情にも怒りが溢れてる。しかも気品は失われない。は〜見てて眼福」「感情を露わにする彰子様を道長くんがじっと見つめていた時、彼はなにを考えていたんだろう」などの感激の言葉と、娘の思いがけない反応に直面した道長の気持ちを推し量る声が。

そしてまひろに「なぜ女は政治に参加できないの？」という言葉を投げかけるに至っては「女は政に関われないと嘆く彰子、かつてのまひろちゃんだ。廃邸のシーンを思い出しちゃう」「まひろも彰子様の情緒を育てただけに、道長と仲違いするのを見て辛いであろう」「まひろちゃん罪悪感に襲われてるだろうな。だって道長くんにトップになり、よい政をって焚き付けたのまひろちゃんだもん」「これから彰子が強い影響力を持っていく姿は、まひろにとっても念願なのかも」などの、２人の気持ちに寄り添うようなコメントが寄せられた。

■ 久々の少女漫画的な展開！ 双寿丸の活躍に歓声

このように、まひろ＆道長周辺が月のない夜のような状況となっているなか、本作の初期を彷彿とさせる、王道少女漫画の風を再び吹かせてくれたのが、賢子と双寿丸だ。それもただのボーイ・ミーツ・ガールではなく、賢子が怪しい男たちに襲われて大ピンチ！ という場面で双寿丸が颯爽と現れ、屈強な男たちをバッタバッタとなぎ倒した。こんな乙女の夢を具現化したようなシチュエーション、惚れるなというのが無理だろう。

ＳＮＳも「暴漢に襲われそうになったところを助けに来るイケメンとの出会いとか、少女漫画の様式美やん･･･！？」「こんなん惚れてしまう」「少女漫画のヒーローのような双寿丸の無双に胸キュン」「あー、この子の母親もこんなことあったなー」「みんなー！ 新しい謎の男枠よー！」「あと２カ月で終わるのにここから少女漫画ロマンスが？」などと大盛りあがり。

また、少女漫画度を高めた功労者だった、今は亡き散楽師・直秀（毎熊克哉）と双寿丸が似通った雰囲気だったため、「どこの直秀ですか･･･？」「直秀の息子とかだったら熱いな」「直秀再来かと思ったけど何か違う。ジェネリック直秀？」「直秀を彷彿とさせる双寿丸と賢子を出逢わせるなんて、またこんなベタな少女漫画的な･･･！ いいぞもっとやれ！」「まひろ母さん、絶対直秀思い出したろ？」など、久々に直秀の名前が連なった。

視聴者にとってはなかなか感情が忙しい回だったが、まひろと道長たちの子ども世代･･･彰子は女院として政に携わって「摂関政治」に換わる「院政」へのレールを敷き、双寿丸のような武士は、これから国内外で争いが起こるごとに存在感を強めていく、その変化の序章となる回だったとも言える。

制作統括の内田ゆき氏は、ゆっくりと、しかし大きく変わっていく時代の流れをまひろに目撃させることが、これからの見どころになると語っていた。少女漫画的雰囲気も楽しみつつ、変革期にある歴史のうねりをまひろとともに感じていこう。

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『光る君へ』はＮＨＫ総合で毎週日曜・夜８時から、ＮＨＫＢＳは夕方６時から、ＢＳＰ４Ｋでは昼１２時１５分からスタート。１０月２７日放送の第４１回「揺らぎ」は、新しく即位した三条天皇（木村達成）と道長が対立を深めていく一方、賢子と双寿丸の仲が近づいていく様子が描かれる。

なおＮＨＫ総合は夜８時から「衆院選開票速報２０２４」を放送するため、夜７時１０分に放送開始時間を変更する。ＮＨＫＢＳ、ＢＳＰ４Ｋは通常通り放送。

文／吉永美和子