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実写化ドラマ『龍が如く』の竹内涼真と河合優実が挑戦した、人気ゲームのキャラに「血を通わす役作り」

  • 2024.10.27
Amazon Original ドラマ『龍が如く ~Beyond the Game~』に出演している竹内涼真さんと河合優実さんにインタビュー。撮影の裏側、共演について、そして好きな映画のことも語っていただきました。※サムネイル写真:Kaori Saito(All About)
Amazon Original ドラマ『龍が如く ~Beyond the Game~』に出演している竹内涼真さんと河合優実さんにインタビュー。撮影の裏側、共演について、そして好きな映画のことも語っていただきました。※サムネイル写真:Kaori Saito(All About)

セガの大ヒットゲームシリーズ『龍が如く』を原作としたAmazon Original ドラマ『龍が如く ~Beyond the Game~』(以下、『龍が如く』)は、歓楽街・神室町を舞台に、“堂島の龍”に憧れる主人公・桐生一馬の成長物語をオリジナル脚本で描いたクライム・サスペンスアクション作品です。

幼い頃から養護施設で一緒に育った仲間たちと規律に縛られた暮らしから新しい世界へ飛び出そうと、ゲームセンター襲撃事件を起こす一馬たち。しかし、彼らはヤクザから落とし前をつけるよう迫られ裏社会に落ちていく……。

主人公の桐生一馬を演じるのは竹内涼真さん。養護施設で育った仲間の一人、澤村由美を演じるのが河合優実さん。まずは共演の印象についてお話を聞きました。

「それはもう本気過ぎるほど本気で……」

――お二人は『龍が如く』で初共演ですよね。お芝居を一緒にしてみていかがでしたか? 共演の感想を教えてください。

竹内涼真さん(以下、竹内):『龍が如く』のような極道の世界を描く作品の中で、女性が存在感を示すためにはかなり心が強くないと飲み込まれてしまうと思うんです。でも、河合さんは男性たちより存在感が強かった。「絶対に負けない!」という強い気持ちを感じたし、硬派な女性だと思いました。

その一方で、河合さんの奥底に眠る“面白いことが好き”という茶目っけがありそうな一面が垣間見られて、僕としてはうれしかったです。

(C)2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.
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河合優実(以下、河合さん):確かに「強くなければいけない」という気持ちはありました。竹内さんをはじめ、共演者の方たちは私にとっては大先輩なので、かなり気を張って撮影に入ったんです。

でも竹内さんはそれまで抱いていたプレッシャーをほぐしてくれるような空気をまとった方でした。座長として明るくいてくださったし、撮影ではずっと真っすぐに桐生として存在していました。その背中はすごい迫力で、それはもう本気過ぎるほど本気で……。

竹内:そんなにすごかった(笑)?

河合:はい。でもだからこそ、撮影現場も竹内さんの演じる桐生一馬を中心に動いていたんだと思います。ずっとそういう竹内さんを見てきたので、取材でお会いする竹内さんの柔らかい感じは少し新鮮です。

武監督との最初の仕事は二人とも出番があまりなかった!?

――『龍が如く』は武正晴監督作品ですが、竹内さんは『イン・ザ・ヒーロー』、河合さんは『アンダードッグ』で武監督とお仕事していますね。久しぶりの武組の現場はいかがでしたか?

竹内:僕は『イン・ザ・ヒーロー』にはポイントの役だったんですよね。

河合:私も少ししか出ていないんです。ほとんど武監督と言葉を交わしていないと思います。

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――お二人にそんな時代があったとは……。ではこの作品で本格的に武監督の演出を受けたのですね。

竹内:そうですね。武監督の作品に出演するのは10年ぶりくらいなので、呼んでいただけてうれしかったです。改めて武監督の演出を真正面から受けて感じたのは、10年間頑張らないとたどり着けない場所なんだということですね。

あれほど細部まで神経を尖らせて演出をする監督だったので、演じるほうも命を懸けるくらいの気持ちでぶつかっていかないとダメだと思いました。監督のエネルギーがすごいので、受け身でいると飲み込まれてしまうような気持ちになるんです。あと、武監督には独特な言葉のニュアンスがあるんですよ。

河合:それは私も感じました。出演が決まったとき、武監督が私に今回の『龍が如く』で描きたい世界と撮影に臨む気持ちをマシンガントークで伝えてくださって、つかめたものがありました。でも現場での演出はとても繊細で、由美の心情の変遷や芝居の出力の仕方まで丁寧にお話ししてくださって。そのワード一つひとつが印象的でした。

竹内:武監督は話し出すと止まらないから(笑)。僕は、自分自身の役への取り組みにと、武監督の演出を受けて演じることがとても面白かったですね。

河合:自分にも他人にも厳しい方なのですが、ご自身が映画業界で経験してきたこと、学んできたことなどを、若い俳優やスタッフたちに伝えていかなくては……という意思を強く感じました。そういう部分を尊敬していますし、一緒にお仕事できて良かったです。

格闘技を教わるために朝倉未来さんにDMを!

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――迫力あるアクションシーンが見せ場でもある作品ですが、特に格闘シーンは引き込まれました。竹内さんは元総合格闘家の朝倉未来さんにアドバイスを求めたそうですね。

竹内:『龍が如く』の仕事が決まったとき、格闘シーンはかなりハードなものになると考え、早めに準備をしておかないと本番で恐怖心が生まれると思ったんです。そこで作品に入る半年前から格闘技をやろうと思ったのですが、経験がないので何から手をつけていいのか分からなくて。

――それで朝倉さんに連絡したんですね。

竹内:ある日、未来くんが夢に出てきたんです。「そうだ、未来くんに連絡をしよう!」と思い立ち、ダイレクトメッセージ(DM)を送りました。

――お知り合いだったんですか?

竹内:全然知り合いではありませんでした。「DMを見てくれるといいな」と思いながら返事を待っていたら、未来くんが連絡をくれて教えていただくことになったんです。

でも当時、彼は試合を控えていたので、直接教えてもらったのは最初の2、3回で。その後は紹介してもらったコーチにお願いして週4~5回トレーニングをして格闘技への理解を心身共に磨いていきました。

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――積極的な姿勢が実を結んだのですね。トレーニングはハードだったのでは?

竹内:最初にヘルメットとヘッドギアを付けて、パンチを当ててもらったんです。そのときに殴られる気持ちや相手との距離感を知りました。格闘技にとって相手との距離感はすごく重要なんです。パンチは絶対にもらってはいけないのですが、パンチが当たる覚悟も必要だとコーチに教えていただきました。その言葉は印象に残っています。

芝居のキャッチボールが心地よかった撮影

――河合さんは『龍が如く』のようなヤクザを描いた作品への出演は珍しいのではないでしょうか。迫力のある男性陣に囲まれてのお芝居はいかがでしたか?

河合:広い控室でキャストの皆さんを見渡して「本当に女性が少ないな」と思いました(笑)。

それもあってとても気を張って撮影に臨んでいたと思います。迫力あるアクションシーンも含めて、自分にはできないことも多かったので、この物語のパワフルで肉体的な魅力は男性の俳優さんたちにお任せして、自分がこの作品で担えること、表現すべきことをしっかりやっていこうと思いました。

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――竹内さんと河合さんは同じ養護施設で育った幼なじみという設定ですが、芝居について相談しながら作っていったのでしょうか?

竹内:河合さんが演じる由美や養護施設で育った仲間たちのお芝居は、感覚的に僕と通じるものがあったので。自然と芝居のキャッチボールがうまくできるというか、演じながら共鳴し合えるというか……。

うまく言葉にできないのですが、すごくいいお芝居のやりとりができたし、完成した作品を見たときに感情がリンクしていて、発する言葉にうそがないと感じました。共演できて本当によかったです。

河合:私も同じです。初共演でしたし、竹内さんと真正面からコミュニケーションを取るのは撮影が始まってからという状況でしたが、きちんとキャッチボールができていたという感覚はしっかり残っています。

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――ヤクザが登場し、かつ人気ゲームを基にしている作品ですが、そこは意識しましたか?

河合:人気ゲームが原作の実写化ではあるのですが、その大きな枠組みの中で、俳優として役に血を通わせられるかということは大きな課題でした。

人気ゲームの世界観を壊してはいけないけれど、型にはめるだけではなく、リアリティーを持ったキャラクターとして作品の中で生きるためにはどうしたらいいか、ずっと考えながら演じていました。

竹内:それを意識して演じないと、作品の持つ力が強いので人間ドラマではなくなってしまうんです。

河合さんたちはどんな小さな変化も拾って、丁寧に芝居で返してくれたので、僕は安心して自分の芝居に集中できました。

――いい環境だったのですね。

竹内:みんな個性が強くて、自分にない力を持っている俳優さんばかりだったので、撮影は本当に楽しかったです。

世界配信された後の反応が楽しみです

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――『龍が如く』はPrime Videoで世界配信されますが、竹内さんは以前から世界進出したいとおっしゃっていますよね。今回、国内だけではなく、海外の視聴者にも作品を見てもらえることについて、どのように感じていますか?

竹内:僕は、自分の表現を世界に向けて発信したら、どういう反響があるのかというのはすごく興味があります。

河合:私は、日本を出て、海外に進出するというよりは、今はこうやって世界配信や合作でどんどん作品が作られる時代なので、より面白いものがあるならどの国の作品でも出演したいという気持ちでいます。日本の俳優が海外作品も選べる環境になったらいいなと思います。でも素直に世界配信はうれしいですし、反応が楽しみですね。

竹内さん、河合さんの映画生活

Photo:Kaori Saito(All About)
Photo:Kaori Saito(All About)


――確かに今はより多くの国々の作品に触れる機会が増えたと感じます。ちなみに、お二人がプライベートで映画やドラマ鑑賞をするとき、どのようなジャンルの作品が好きですか?

竹内:監督や俳優など、好きな方はたくさんいるのですが、最近、映画やドラマを見ていて思うのは、自分は人間関係が密に描かれている作品に惹かれるということです。「この人間関係が素晴らしい」とか、そういうポイントを大切に見ている気がします。

撮影中でも“コミュニケーションがうまく取れているな”と感じる瞬間がすごく好きなんですよ。やっぱり僕は相手と会話でキャッチボールをしながら関係を深めていく、つながっていくというのがすごく好きなんだと思います。

Photo:Kaori Saito(All About)
Photo:Kaori Saito(All About)


河合:私の場合は、上映している作品で気になるものを見る感じです。サブスク配信も同じようなスタンスで見ているのですが、作品との出会いってタイミングなのかなと思います。先日、偶然見つけた、エマ・ストーンが主演しているドラマ『THE CURSE/ザ・カース』はすごく面白くてハマりました。

竹内:エマ・ストーン、僕も好き(笑)。確かに見るタイミングに左右されることってあるよね。

僕は最近、配信で見た『クワイエット・プレイス:DAY 1』が面白かったですね。音を立てたら地球外生命体に襲われるという、人類が音を奪われた日を描いた物語なので、自分も沈黙して心の中で叫びながら見ていたら、だんだんエキサイトして熱くなり、見終わったときには服を脱いでいました(笑)。

河合:登場人物と同じ気持ちになって、音を立てられなくなったんですね(笑)。

竹内:それだけ夢中になって見てしまったという。もちろん『龍が如く』も、それに負けないくらい、いや、それ以上に夢中になれる作品なので、ぜひ見ていただけたら、SNSなどで感想を教えていただきたいです。

竹内涼真(たけうち・りょうま)さんのプロフィール

1993年4月26日生まれ。東京都出身。

2014年『仮面ライダードライブ』で注目を集める。以降、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、『過保護のカホコ』(2017/日本テレビ)『陸王』(2017/TBS)『テセウスの船』(2020/TBS)『ブラックペアン』シリーズ(2018、2024/TBS)『君と世界が終わる日に』シリーズ(2021~2023/日本テレビ、Hulu)などドラマ出演多数。

映画では『青空エール』(2016)『帝一の國』(2017)『アキラとあきら』(2022)『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』(2024)など。『帝一の國』で第30回日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎新人賞、第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。

河合優実(かわい・ゆうみ)さんのプロフィール。

2000年12月19日生まれ。東京都出身。

2021年『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』の演技で第64回ブルーリボン賞新人賞などを受賞。近年は『PLAN 75』(2022)『少女は卒業しない』(2023)や、2024年は『あんのこと』、劇場アニメ『ルックバック』、『ナミビアの砂漠』、ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS)『RoOT / ルート』(テレビ東京)など多くの作品に出演。

最新作は『八犬伝』(2024年10月25日公開)『敵』(2025年1月17日公開)、NHK連続テレビ小説『あんぱん』(2025年春放送開始予定)。

『龍が如く ~Beyond the Game~』

2024年10月25日(金)よりPrime Videoにて世界独占配信。

1995年、桐生一馬(竹内涼真)、錦山彰(賀来賢人)、澤村由美(河合優実)、錦山ミホ(中山ひなの)たちは、幼い頃に両親を失い、児童養護施設「ひまわり」で暮らしていた。規律に縛られた世界から逃れたい四人はゲームセンター襲撃事件を起こすが、そこは神室町を牛耳るヤクザ・堂島組の息がかかっており、落とし前をつけるよう迫られる。養護施設を運営する育ての親、風間(唐沢寿明)は、桐生たちがまっとうな人生を歩むことを望んでいたが、四人は裏社会へ落ちていく……。

全6話(10月25日、11月1日に各3話ずつ配信)
原作:セガ『龍が如く』シリーズ
監督:武正晴、滝本憲吾
出演:竹内涼真、賀来賢人、河合優実 、渋谷すばる、青木崇高、中山ひなの、前野朋哉、宇野祥平、森田望智、高岡早紀、佐藤浩市、加藤雅也、宇崎竜童、唐沢寿明

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文:斎藤 香(映画ガイド)

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