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夫と不倫をしながら私と“親友”を続ける、魔性の女。優しかった夫は豹変し、家庭と私の心を壊していく…

  • 2024.10.26

コミュニティ内の複数の男性と色恋沙汰を起こしたり、友人を裏切ったりすることで人間関係を壊す人。それらを「コミュニティクラッシャー」「サークルクラッシャー」などと呼ぶ。そんなクラッシャーな女に、あなたは出会ったことがあるだろうか。

インスタで2.2万人のフォロワーを持つ、むーみーさん。サレ妻となりインスタで発信していた実体験を、漫画家の魚田コットンさんが描いた作品が『優しい顔をした親友は、夫と不倫して私の家に入り込んできた。』(魚田コットン:漫画、むーみー:原案/竹書房)だ。

夫のやぐると一緒にコーヒー屋を営み、2人の子どもに恵まれ夫婦円満に過ごしていたむーみー。ある日、2人が営む店で容姿端麗な女性・マコが働くことになった。マコは人当たりもよく、むーみーはまるで昔からの友人のようにすぐに打ち解けていった。しかし同じ頃、夫の自分に対する態度が冷たくなっていくことに悩み始める。

そして事件は起きた。むーみーが友人の結婚式に参加するため数日間家を空け、帰宅したときのこと。自分と夫のベッドにマコの忘れ物を発見したことで彼女が泊まりに来ていたことを知る。夫と親友から同時に裏切られ、心が殺されそうになるむーみー。直接マコと話をしたけれど……!?

幸せだった家族が、1人の魔性の女により壊れていく。普通の主婦を襲った壮絶な体験を描いている本書。不倫が明るみに出た後も、マコに夢中な夫はむーみーにとんでもない提案をしてくる。子どもや今後の生活を考え、むーみーは自分の思いを飲み込む。そして、その後もむーみー夫婦とともに過ごすマコ。あまりに自分勝手な夫とマコの様子に「これがノンフィクションだなんて……!」と憤りを感じる。

不安定なむーみーを献身的に支えようとするマコ。諸悪の根源なのに、むーみーにとってマコの存在が支えになっていき、いびつな関係となる。客観的に見れば「離れたほうがいい!」とわかっても、心が弱っているときは判断が鈍くなりやすいのかもしれない。そしてこうした「関わってはいけない人間」たちは、心の隙間に入り込むのが上手なのだろう。

自己を正当化した“シタ側”に責められ、自己否定に陥ってしまう“サレ側”もいるだろう。しかし「不倫されることに意味を見いだす必要はない」と言うむーみーの言葉は、「自分の価値が下がったように感じなくてよい」そんなエールを送ってくれているように感じるのだ。

会話が通じないマコの様子は狂気の沙汰であり、昼ドラを見ている感覚になる。うそのような本当にあった話。クラッシャーな人間に出会ってしまったとき、立ち上がるためのヒントとなるだろう。感情が揺さぶられながらも、最後には勇気が湧いてくる。ぜひ読んでいただきたい1冊だ。

文=ネゴト / いなり

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