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秋は私のための季節。生んでもらったことを誇りにこの先も生きる

  • 2024.10.26

夏の終わりと冬の始まりを感じる、秋。私にとって10月は特別だ。

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10月8日は暦の上では永遠(とわ)の日、と捉えられている。よく婚姻届けを提出することや、挙式の日に選ばれる10月8日は、神聖な日でもあり、何か新しい風を運んでくれそうな日だと思う。そんな日に生まれた私は、おめでたいことに囲まれて生きられるようで、贅沢な人間だと、勝手に浮足立っている。秋になると、いつも思う。人生いろいろ、楽あり、苦難あり、だけど、生まれてきて良かった。しかも、永遠の日に生まれることができて、恵まれていると胸を張って言える。

これを秋の思い出と言うと少し気恥ずかしい気もするが、私は永遠の日に生まれた自分が好きなのだ。

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中学校の卒業式の日に、先生が生徒に生まれた日の新聞をプレゼントしてくれた。2002年10月8日の新聞には、サッカーワールドカップの記事が大きく一面に掲載されていた。この頃の日本は、今よりも活気づいていたのだろう、とその記事を見ただけで私はワクワクしてきた。もし21歳の女性として、自分が生まれる瞬間に立ち会えたなら、もっと感動が生まれるのではないか。いや、そんなパラレルワールドみたいな非現実的で、二度見してしまうような現象に放たれたみたい。そんな世界感も受け入れがたいかもしれないけれど、好き。だって私の記憶のなかに生まれたての自分の姿を思い浮かべたことがないから、そんな世界にタイムスリップできる日が来るなんて、夢のような日だ。

そんな想いをめぐらせながら、2002年10月8日の新聞を手にしながら、その日の天気やビックニュースを私はしみじみと眺めていた。サッカーワールドカップで盛り上がりを見せていた日本で、生まれた私も、祝福してもらっていたのだと感じられる。それだけで、もう十分、私の人生は幸せで満ち溢れているはずだという自信が生まれてくる。

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秋って私のためにめぐってくる季節なんじゃないかって思える。そう綴ると、ああ、この人は自分のこと大好きなんだろうなあ、と読んでくれている方には、痛いほど伝わるかもしれないけれど、私は年に一度の誕生日を思いっきり祝いたいのだ。一年がんばった自分へのご褒美。自分の頑張りは自分しか知らない。だから私だけでなく、毎日理不尽な想いをしながらも時には自分を大事に生きている人々にも、誕生日には贅沢だって遠慮せずに楽しんで欲しいと、心から思っている。誕生日だけは、特別扱いされたっていい。自分を特別扱いできる日でもあるし、心から生まれてきて良かった、と感じられる、年に一度しかない誕生日なのだから。

10月8日、永遠の日。私の人生、この先も永遠であってほしい。生には死があることは変えられないけれど、その間には必ず永遠を感じる幸せがあるはずだから。10月8日だけじゃなくて、毎日が永遠の日だ!って、思える人と、一緒に人生をゆっくり、時には幸せを噛みしめながら、歩いてみたいとも感じたりする。永遠の日って素晴らしい。そんな日に生まれたこと、生んでもらったことを誇りに思いながら、この先も生きていきたいと思う。この記念すべき人生の日を祝ってください、ぜひ!

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この秋めく日々に、私は永遠の誓いをする。この先、絶対に誰よりも幸せを手にする。自分が思う幸せ。それは美味しいものを食べるとき感じる幸せ、男性アイドルの彫刻で造形されたような美しい横顔を画面越しで見つめたとき生まれる幸せ、音楽を聴いたとき傍にいるように感じられるアイドルの吐息。何気ない大事な人とのメッセージのやりとり。そのすべてがピースとなって私の人生を形作り、彩っていくのだ。

せっかく永遠の日に生まれたのだから、なるべく幸せな方向へ人生の歩を進めたい。

■真桜のプロフィール
恋愛の神様、北川悦吏子先生に憧れながら、小説やエッセイを執筆しています。

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