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出来事は偉大だ『《即今日話》今日の出来事だけのトークバトル』/テレビお久しぶり#123

  • 2024.10.25
「テレビお久しぶり」 (C)犬のかがやき
「テレビお久しぶり」 (C)犬のかがやき

キモホラーというジャンル『ナキヨメ』/テレビお久しぶり#122

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『《即今日話》今日の出来事だけのトークバトル』(テレ東)をチョイス。

出来事は偉大だ『《即今日話》今日の出来事だけのトークバトル』

今日あった出来事だけを話すトークバラエティ、『《即今日話》今日の出来事だけのトークバトル』。10月7日から4週連続で放送されているのだが、私が今回鑑賞した10月21日の放送回は生放送であり、今日の出来事しか話せないというただでさえ難しい条件が、生放送によってさらにスリリングなものとなっている。本当に今日あった出来事であるという証拠の提出をも課されているという彼らは、厳しい制約のもと、ウケを獲得できるのだろうか……

それにしても、出来事というのは偉大である。そんな都合よくテレビで話せる事なんか起きないよと彼らは頭を抱えているのだが、それが面白かろうが、面白くなかろうが、出来事が起きた、という事実そのものが尊いわけだ。たとえば、この番組に出演している10人の芸人は、”即今日話”を披露する際、必ず、「今日はどこどこでなになにをしていて~」と話す。仕事とはいえ、外で活動をしている、というのが素晴らしい。出来事というのは、そのほとんどが、外にいる者への褒美として与えられるものだ。私は家にいるから出来事は起きない。家ではロクな出来事が起きない。電気を止められたり、水道管が壊れたりといったことばかり、私が即今日トークバトルに出場したところで、「今日は家で電気を止められてしまいました。アハハ!」とヘラヘラすることしかできないだろう。

ちなみにモグライダー芝だけは、今日はオフで家にいたと話す。しかし、子供と過ごしていたようだ。外に出る尊さはないものの、他者と時間を過ごす尊さを獲得している。外に出るのと、家で他者と過ごすのは、根本的には同じこと。自分の外側の世界と向き合うというのが、その尊さの正体なのであり、その過程につきまとう出来事という精霊たちが生命を祝福しているのだ。

外に出れば、高い確率で、出来事が待っている。今日この瞬間、もし外に出ていたら獲得できていた出来事が、いま、自分の目の届かない場所で、ボウっと炎を上げている。私には音も聞こえない。家にいるからだ。しかし、外から何かが聞こえる。窓の外を見てみると、近所のおじいさんが、落ち葉をビニール袋にまとめていた。家の中から外にいる人を見る、というのはひたすら感傷的だ。朝日なんかを見るのもそうだ。罪悪感を覚えるだけで、外を見るくらいなら外に出たほうがいい。出来事を獲得しよう!

■文/城戸

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