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付き合って初めて会う春休み。私をからかう彼の耳は真っ赤だった

  • 2024.10.25

中学2年生で同じクラスになった彼。違う小学校の出身で、中学校に入学してから知り合った。中学1年生の時は違うクラスで、話す機会はほとんど無かった。共通の知り合いを通して1,2回話したことがある程度。綺麗な顔立ちに、かっこいいなと一時期気になっていた時もあった。中学2年生になると、彼と同じクラスになり、段々と距離が縮まっていき、好きになるまでに時間はかからなかった。

◎ ◎

彼はサッカー部で、スラッとしていて、綺麗な顔立ちをしていた。でもちょっと(いや、結構)ナルシストでキザな言動をすることがあって、好き嫌いが分かれるようなタイプだった。芸能人で言うと玉木宏似。一緒にいる友人はどちらかと言うと地味目の男子や女子が多かった。女子とも結構仲が良くて、嫉妬することも多かったけど、毎日の様にからかいあっている日々が楽しかった。

その頃、私と友人の中で流行っていたのは、放課後や休日の部活の後に、教室へ行き、好きな人の席に座ること。たまに好きな人の部活が被っていたりすると、教室の窓からグラウンドを眺めた。私はサッカー部、友人は野球部の方に目を向けて。

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2年生も終盤、バレンタインが近づいてきた。私はというと、彼にバレンタインのチョコをあげる勇気は無かった。

バレンタイン前後、また休日に部活があり、部活終わりにいつものように教室へ行くと、彼の机には明らかにバレンタインの紙袋が掛けられていた。小さなメッセージカードも添えられて。メッセージカードにあった名前に見覚えがあった。同じ部活の友人だった。つい最近もその子が別の人を好きだという恋バナをしていたのだけど。きっと私が彼を好きだと言っていたから、言い出せなかったのだと思う。もしかして彼と両思いかななんて思っていたからショックだった。

少しして2人が別れたという噂を聞いた。バレンタインのチョコを見たなんて言えるはずもなく、特に彼との関係に変化は無かった。いよいよ終業式が近づいて来た頃、頻繁にお互いの好きな人を教えろと言い合っていた。どちらが先に言うかを言い合っているうちに、終業式の日が来てしまった。

◎ ◎

結局、直接聞くことは出来ず、その日の夜。3年生は同じクラスになれるかな、なんて淡い期待と2年生が終わってしまった寂しさを感じながら、彼とメールでやり取りをしていた。
すると、彼の方から、じゃあ好きな人を教えてやる、という流れになった。

「俺の好きな人は○○(私の苗字)だよ」

リビングで他にも家族がいる中で、緊張や速くなる鼓動、いくつかの感情と緩みかけた表情を押さえ込んで、平静を装い、少し震える手で文字を打つ。

「私も○○(彼の名前)だよ」
「知ってる笑」

晴れて恋人になった。でも学校は終わってしまって、春休み。そこで次の部活が被る日に、終わったら教室で会おうという話になった。付き合って初めて直接会う日。部活に集中出来るはずもなく、この後に控えている面会に、嬉しいような恥ずかしいような、緊張で帰りたいような。

◎ ◎

いよいよ部活が終わった。友人に付いてきてもらって、隣の教室で待っててもらうことにした。

教室で少し待っていると、廊下から足音が聞こえて、扉から彼が入ってきた。緊張しすぎて、何を話したとか、何をしたとか覚えていない。とにかく恥ずかしくて。教室ではあんなにからかいあって、ふざけていたのが嘘のように、しんとした教室に、外からの部活の声と、私たちの声だけがあった。心臓の音が聞こえてしまっているのではないか。

近づくことすら恥ずかしくて、一定の距離感を保って、なんなら彼が近づくとちょっと離れて、を繰り返していたと思う。彼は緊張した時、恥ずかしい時に耳が真っ赤になる人で、私をからかいながらも、その時の彼の耳は真っ赤だった。

◎ ◎

私は初めての彼氏ができた時、恋人関係になってからは、全然話せなくなってしまった。せっかく好きな人と付き合えたのに、話しかけるのが怖くて、恥ずかしくて。もちろん、そんな関係は上手くいはずも無かった。むしろ付き合わない方が良かったのかななんて後悔したり。

だからトラウマというか、付き合うことに不安はあった。でも彼は積極的に学校でも話しかけてくれた。中学3年生になると、クラスは離れてしまったけど、それでも休み時間や放課後になると、教室まで会いに来てくれた。たまに家まで送ってくれたりした。

◎ ◎

そんな彼とも卒業式前には別れてしまった訳だけど、私の人生で後にも先にもない、こんなにも漫画の主人公のような日々をくれた彼には感謝している。今でも宝物の日々、くすぐったいような、眩しい思い出をありがとう。

■mariとりんごのプロフィール
旅行好き。漫画、本好き。

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