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世界の循環に向き合う実験の場──目を背けられてきた存在に焦点を当てる「ゴミうんち展」が開催中

  • 2024.10.24
マイク・ケリー「Life Cycles」
マイク・ケリー「Life Cycles」

世界は循環している。複雑に影響し合いながらその関係性は巡り、自然界においては「ゴミうんち」がそのまま残り続けることはほとんどなかった。日本においても江戸時代までは、物や排泄物の多くが循環していたという。地球の歴史は、ゴミうんちのアップサイクルの歴史だと言っても過言ではない。そして循環の世界では、ゴミもうんちも存在しないのだ

しかし資本主義を中心とする現代社会では、“便利さ”と引き換えに循環が失われたことでゴミの存在が大きな問題となっている。その影響で地球環境は急速に悪化の一途を辿っているにもかかわらず、私たち人類はまだ「ゴミうんち」に目を向けないようにブラックボックス化し続けている。

ゴミ箱に入れた後のゴミはどこへ行くのか、トイレで流されたうんちはどうなるのか。“汚いもの”として目を背けてきたそれらを概念から捉え直し、「完全に消えてしまうものなどない」という事実に立ち戻ることで、これからの人間社会が進むべき方向のヒントが潜んでいるのが本展だ。身の回りから宇宙まで、さまざまな「ゴミうんち」に着目し、それを含む世界全体の循環に焦点を当てる。

すぐに燃やしたり水に流したりするのではなく、時間をかけて向き合うことで社会問題としての“ゴミ”だけでない、新たな視点が得られるはずだ。この世界で新たなループが巡り始めることを目指して。

松井利夫「サイネンショー」 Photo_ 白石和弘
松井利夫「サイネンショー」 Photo: 白石和弘

展示の見どころである、「糞驚異の部屋」では身近なものから宇宙まで、さまざまな“ゴミうんち”に関するものを展示。実際のゴミやうんちだけでなく、それにまつわるリサイクル資源、化石や貝殻、190種類を超える土、さらにはミミズの生態やうんちから作られるプロダクト、発酵物まで。700種以上の膨大な展示に圧倒される。

続いて、さまざまなアーティストが「ゴミうんち」を起点にリサーチを重ねながら手掛けた、新しい循環や価値の提案、ゴミの定義や人間と自然の関係性などを再考する作品を展示。また、展覧会のチラシを循環させる仕組みを用意し、実際に物が巡ることを体験できる要素も盛り込んだ。

展示のほかにも幅広い関連プログラムが予定されており、10月26日(土) には東京ミッドタウンの周辺を歩きながら、その価値や意味を考えるトークイベント「都市の緑を歩く:建築家・造園家・研究者と散策する東京ミッドタウン」が開催。また、11月以降も会期中にさまざまな関連プログラムを開催予定とのこと。詳細は、21_21 DESIGN SIGHTのウェブサイトをチェックしてみてほしい。

私たちも“世界の循環”の一部であるにもかかわらず、現代社会ではそれを無視しながら暮らす場面が大概を占める。まずはその循環とは何か、問いの応えを探しに訪れてみては。

狩野佑真 「Rust H arvest」 Photo_ Gottingham
狩野佑真 「Rust H arvest」 Photo: Gottingham
STUDIO SWINE「Hair Highway」
STUDIO SWINE「Hair Highway」
清水彩香「グラフィックデザイナーと環境問題」
ゴミうんち展_清水作品_広報用_240905清水彩香「グラフィックデザイナーと環境問題」

21_21 DESIGN SIGHT企画展「ゴミうんち展」

会期/〜2025年2月16日(日) 10:00〜19:00

・休館日:火曜日(2月11日は開館)、年末年始(12月27日〜1月3日)

・入場は18:30まで

場所/21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2 東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン

入場料/一般1,400円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料

https://www.2121designsight.jp/program/pooploop

Text: Nanami Kobayashi

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