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日帰りOK?治療費は5万円?「下肢静脈瘤」保険適用の治療法とは【医師が解説】

  • 2024.10.24

50代以上の約6割の人が発症するという下肢静脈瘤のセルフケア方法や予防法を医師の広川雅之さんに伺う企画。最終回は、治療方法についてです。保険適応でできる2種類の治療について、費用も含めて詳しく教えてもらいます。

教えてくれたのは、広川雅之(ひろかわ・まさゆき)さん

教えてくれたのは、広川雅之(ひろかわ・まさゆき)さん

お茶の水血管外科クリニック院長。1987年、高知医科大学卒業。ジョンズホプキンス大学留学、東京医科歯科大学血管外科助手などを経て、2005年から現職。東京医科歯科大学血管外科講師、日本静脈学会理事も務める。著書に『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』(KADOKAWA刊)など。

血管内治療で改善!保険適用なので費用も安心

血管内治療で改善!保険適用なので費用も安心

むくみなどの症状がつらい、進行して皮膚炎を起こしている、セルフケアで改善しない、見た目が気になる……そんな場合の下肢静脈瘤は、治療を検討します。

「下肢静脈瘤の治療はこの10年ほどで大きく進歩しました。『血管内治療』『硬化療法』『手術』に大別されますが、主流は血管内治療。細い管を静脈に入れるだけなので体への負担が小さく、局所麻酔をするので痛みもありません。日帰り治療ができます」とお茶の水血管外科クリニック院長の広川雅之(ひろかわ・まさゆき)さん。

血管内治療は、伏在型静脈瘤が対象。現在最も多いのはレーザーや高周波電流でコブのある静脈を焼いて固める「血管内焼灼(しょうしゃく)術」ですが、2019年には「グルー治療」という新しい方法も健康保険で受けられるようになりました。 

グルー治療は、医療用の接着剤で静脈を塞ぐ方法。血管を焼かないので局所麻酔が1か所で済み、周辺組織へのダメージも抑えられます。治療後、合併症予防のための弾性ストッキングをはく必要がないのも利点です。

ただし接着剤のアレルギーや膠原病などの持病がある人は対象外です。「これまで以上に負担が軽いので、今後は受ける患者さんが増えるでしょう」と広川さん。

なお、側枝型や網目状など軽症タイプの静脈瘤に対しては、薬剤を注射してコブのある静脈を塞ぐ「硬化療法」が用いられています。

2つの治療方法と治療費を確認

グルー治療

グルー治療

静脈に細い管を入れ、医療用接着剤を注入。皮膚の上から手で圧迫して血管を塞ぐ。超音波画像を見ながら行う。所要時間は約30分。治療費は約5万3000円。

※治療費は3割負担の目安。検査費用などは含まれない。

血管内焼灼術

血管内焼灼術

細い管を入れてレーザーか高周波電流で静脈を焼き固める。所要時間は30~40分。治療後1か月間、弾性ストッキングをはいて合併症を予防。治療費は約4万3000円。

※治療費は3割負担の目安。検査費用などは含まれない。

不安に思ったら、まずはかかりつけ医に!

「下肢静脈瘤では?と一人で悩んでいる人は多い。まずは受診して検査を」と広川さん。ただ、その際に気を付けたいのが医療機関選びです。

「診断に必須の超音波検査が短時間で終わったり、不安を煽って治療をすすめたりするところは避けた方がいい。どこの医療機関がいいか、まずはかかりつけ医に相談すると安心です」と広川さんは助言します。

※治療費の目安は2022年5月取材時のものです。

取材・文=佐田節子 イラストレーション=みやしたゆみ 構成=大矢詠美(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年6月号を再編集し、掲載しています。
 

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