1. トップ
  2. 自覚症状のない方は要注意! 歯ぎしりで眠りが妨げられている可能性も

自覚症状のない方は要注意! 歯ぎしりで眠りが妨げられている可能性も

  • 2024.10.24
自覚症状のない方は要注意! 歯ぎしりで眠りが妨げられている可能性も ayakono / PIXTA(ピクスタ)
自覚症状のない方は要注意! 歯ぎしりで眠りが妨げられている可能性も ayakono / PIXTA(ピクスタ)

「睡眠が大事」とはよく聞きますが、食事や運動に比べて「眠れれば何でも良い」「特に気をつかってはいない」なんて人も多いのでは? 睡眠研究の第一人者で筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授の柳沢正史先生は、「睡眠が不足してしまうと心身の両方に大きな影響を及ぼし、脳のパフォーマンスまで低下します」と話します。さらに慢性的な睡眠不足が続くと、深刻な病気を招いたり、老後の健康にまで影響を及ぼしたりすることも…。

睡眠不足からくるパフォーマンス低下、歯ぎしりや夜中に目が覚めるなどの睡眠中のよくある悩みについて解説! 最新の睡眠科学をもとにした正しい情報を知り、今晩から自分の睡眠を見直してみましょう。

※本記事は柳沢正史 監修の書籍『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』から一部抜粋・編集しました。

歯ぎしりは睡眠の質に影響する

浅いノンレム睡眠時に歯を強く噛み締めてしまう

歯と歯を強い力ですり合わせたり、噛み締めたりする歯ぎしり。ギリギリといった音や、あごの痛みのため、深い眠りが妨げられてしまうことも。

しかし、自覚症状がないことも多く、診断は困難です。原因としてストレスや歯並びが関係していると考えられていますが、詳細なメカニズムは解明されていません。

睡眠中の歯ぎしりは、ノンレム睡眠の浅い段階で発生することがわかっています。深い睡眠から浅い睡眠に移行する際に小さな覚醒が起こり、それが歯ぎしりにつながると考えられています。ただし、現状の対策は、歯と歯茎を守るマウスピースなどの対症療法しかありません。

歯ぎしりは睡眠の質を下げる

歯ぎしりはノンレム睡眠の浅い段階で起こり、しばしば睡眠を中断させます。歯や歯茎の負担になり、歯周病のリスクが増えるだけでなく、顎関節症にもつながるほか、日中の疲労感が増し、集中力や気分に影響を与えることもあります。

歯ぎしりは睡眠の質を下げる (C)柳沢正史/朝日新聞出版
歯ぎしりは睡眠の質を下げる (C)柳沢正史/朝日新聞出版

歯ぎしりには種類がある

歯ぎしりは、上下の歯をすり合わせる動作、上下の歯をくいしばる動作、動的に上下の歯をカチカチと噛み合わせる動作などに分類されます。寝ている間には、すり合わせやくいしばりが多く現れます。

すり合わせ型

すり合わせ型 (C)柳沢正史/朝日新聞出版
すり合わせ型 (C)柳沢正史/朝日新聞出版

速く大きく動かしてすり合わせることで、ギリギリと音が鳴り、歯がすり減ってしまいます。

くいしばり型

くいしばり型 (C)柳沢正史/朝日新聞出版
くいしばり型 (C)柳沢正史/朝日新聞出版

自分の体重ほどの強い圧力で噛み締めている場合もあり、歯茎とあごに大きな負担がかかります。

歯の負担を軽減する

長期間にわたる歯ぎしりは歯の損傷を引き起こし、顎関節に過度の圧力をかけることで痛みを伴う可能性も。根本的な治療法はないため、マウスピースなどで歯や歯茎、顎関節への負担を減らすといった対処法が用いられます。

マウスピース

マウスピース (C)柳沢正史/朝日新聞出版
マウスピース (C)柳沢正史/朝日新聞出版

歯に加わる力を分散し、歯のすり減りや顎関節への負担を軽減させることで、歯やつめもの、被せものを保護することができる。

バイオフィードバック療法

バイオフィードバック療法 (C)柳沢正史/朝日新聞出版
バイオフィードバック療法 (C)柳沢正史/朝日新聞出版

センサーを装着して就寝し、歯ぎしりやくいしばりを感知すると音や振動、電気といった弱い刺激が与えられることで、自覚・抑制できるようになると注目されている。

女性は男性に比べてストレスの影響を受けやすいことから、歯ぎしりをする人は女性のほうが多いと言われています (C)柳沢正史/朝日新聞出版
女性は男性に比べてストレスの影響を受けやすいことから、歯ぎしりをする人は女性のほうが多いと言われています (C)柳沢正史/朝日新聞出版
食物繊維をたくさん摂取すると睡眠の質が向上し歯ぎしりが少なくなるという研究結果もあるんだって (C)柳沢正史/朝日新聞出版
食物繊維をたくさん摂取すると睡眠の質が向上し歯ぎしりが少なくなるという研究結果もあるんだって (C)柳沢正史/朝日新聞出版

監修:柳沢正史さんプロフィール

筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS) 機構長・教授

1960 年東京生まれ。筑波大学大学院修了、医学博士。米国科学アカデミー正会員。大学院在学中であった 1988 年に血管制御因子エンドセリンを、 1998 年に睡眠・覚醒を制御するオレキシンを発見。31歳で渡米し、24年間にわたりテキサス大学とハワードヒューズ医学研究所で研究室を主宰。2012年、文部科学省世界トップレベル研究拠点プログラム国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)を設立。2017年、株式会社S'UIMINを起業し、2022年より代表取締役。紫綬褒章(2016年)、朝日賞、慶應医学賞(2018年)、文化功労者(2019年)、ブレークスルー賞(2023年)、クラリベイト引用栄誉賞(2023年)など多数受賞。

監修=柳沢正史/『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』

元記事で読む
の記事をもっとみる