出張で大ピンチ!
新幹線運休体験から学ぶ防災対策
運休中の車内では備蓄用飲料水が配布されました ※写真は岡本さん提供
2024年7月、静岡市での講演のため、新幹線で移動していた時のことです。到着直前に突然運休し、そこから約3時間、車内で過ごすという経験をしました。
まず、私が直面したのは昼食をどうするかという問題でした。静岡駅で昼食を取る予定だったので、これといった食料を準備することなく乗車していたのです。車内販売もないため、新たに食料を手配できず、熱中症予防のために持参していたわずかな飲み物で空腹をしのぎました。この一件以降、私は長距離移動の際には最低限の食料を必ず準備するようになりました。「あの時こうしておけばよかった」と後悔することがないよう、「もしこんなことが起こったら…」と想像力豊かに考えることが備えの第一歩だと思います。
また、運休中に近くの乗客から「スマホの電池が切れそうなので充電器を貸してもらえませんか?」と声を掛けられました。その時、スマホは外部と連絡を取るための命綱のような存在だと気が付きました。型が違ったため、役に立てず心苦しかったのですが、いつでもスマホを充電できる備えはひときわ大切だと感じました。自分だけで解決できない問題は近くにいる人の力を借りることも必要です。コミュニティーの希薄化が社会の大きな課題となっていますが、人と人とのつながりこそが減災のカギなのです。
いつも「備える意識」を持つことこそが重要で、その意識を持っていれば日常のちょっとしたトラブルから自然災害まであらゆる不測の事態に臨機応変に対応できる力が高まることでしょう。
教えてくれたのは…岡本裕紀子さん
大阪府出身。慶應義塾大学大学院修了。防災アドバイザーとして全国で講演。NHKなどメディア出演多数。著書は「岡本流驚きのほぼ0円防災術」(Kindle版)など