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ジェンダー平等は壮大なプロジェクトではなく、生活に結びつくものだ

  • 2024.10.24

“10年後の女の子たちのために“と言うフレーズを聞いた時に、ふと10年前の女性を取り巻く環境が気になり調べていた。

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俳優のエマ・ワトソンが『He For She』キャンペーン発足にあたり、ジェンダー平等の実現に向けて、男性の参画を呼びかけるスピーチをしたのが2014年だという。

2015年には「SDGs」という言葉が採択され、このうちの1つの目標として「ジェンダー平等を実現しよう」が定められた。
2022年には岸田元総理が『HeForSheサミット』に出席し、日本や世界のジェンダー平等の実現に向けてスピーチを披露したそうだ。

さらに欧米の先進国はもとより、女性差別が根強く残るアジア諸国でも、カンボジアにおけるドメスティックバイオレンス防止のための『グッド・メン・キャンペーン』発足や台湾での同性婚合法化などの変化がたくさんあった10年間であったように思う。

しかし、医科大学の入学試験において女子の点数だけが一率減点されたり、性被害にあった女性たちが、被害届を出さないよう、警察から説得されたりしているのが日本の現状である。そして、それは10年前から変わっていないのではないかと思う。

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SNSでは、「男性の家事や育児に対する意識の低さ」や「女性や子どもを下に見ているがゆえの傍若無人な振る舞い」への怒りや悲しみの投稿が後を絶たない。

今年1番といっても過言ではないくらいの大きな反響を呼んだドラマ『虎に翼』の影響もあるためか、「シンガポールでは性犯罪を犯した日本人を、むち打ち20回および17年6カ月の禁錮刑に処した。これに対し、日本の法律では6ヶ月以上7年以下の懲役となっている。性犯罪者に甘いのではないか?」

「同じ犯罪を犯した男女のうち、女性だけが顔や実名が報道されている。さらに性犯罪の報道では、加害者の男性ではなく、報復の恐れのある被害者の女性の顔や実名を報道している。これは不平等かつ、女性の人権を侵害している」
という、「法の下の『不』平等」を嘆く声も多く聞かれる。

実現した男女平等の成果よりも、実現していないことや後退したことの方が多く目につく現状に、やるせない、悲しい気持ちになるが、10年後の女の子たちのために、そして世界中の人々が性別に縛られず、他者を性別で縛ることなく生きていくために、私ができることを考えたい。

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ジェンダー平等の実現のためには、この話を特別視するのではなく、日常生活の中に取り入れていくことが大切なのではないかと思う。
私はかつて子ども向けの英会話講師をしていた際に、「He」と「She」を色々な職業と共に紹介したことがあった。

「女の子のパイロット、かっこいいね!」
「男の子の看護師さん、素敵だね」

という言葉をかけると、子どもたちは納得した表情をしていたように思う。

近年ではアニメやドラマにも、性別にとらわれない描写がたくさんあり、「ジェンダー平等」という言葉を特別に意識していない人々も、楽しみながらジェンダー平等の形に触れる機会が増えている。

家庭で性教育をしたいと考えるお家の方に向けた分かりやすい漫画も、かつてないほどの量と種類が販売されている。

「『男尊女卑』と表現される社会ではあるが、男性も『男性らしら』を求められることがつらい」「だがその辛さを女性にぶつけてきたのがこれまでの社会だ。それを終わりにするためには、男性が自らの加害性や優位性に目を向けなければならない」
という声を上げてくれたエッセイも増えてきている。

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ジェンダー平等は、「特別な人が特別な研究をして実現するもの」ではない。国や自治体の取り組みはもちろん必要不可欠であるが、個人の行動としては、特別で壮大なプロジェクトは必要ない。

女性だけが得をするために、男性が何かを我慢したり、あきらめたりするのでもない。ご飯を食べることや眠ること、毎日楽しみにしているおやつやお酒、お気に入りの動画と同じく、1人1人の生活に結びつくものであり、1人1人が大切にするべきものだと私は考える。

■小池ゆみのプロフィール
英会話講師、放課後等デイサービス児童指導員、家庭教師の経験あり。保育士資格あり。 現在はダイバーシティ&インクルージョンに力を入れている企業にて勤務しています。

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