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多様化の一方で変わらない制度や考え。現代社会を生き抜く覚悟と戦略

  • 2024.10.24

私は今、第二次結婚ラッシュの真っ只中だ。SNSを通して、学生時代の友人知人の結婚報告が目に入ることは珍しくはない。その投稿を見て、何も感じない訳ではない。おめでとう以外にもモヤっとした感情が自然と生まれる。それを私はすぐにかき消す。

今の私は結婚願望がない。一生独身かもしれないという覚悟もある。その意思は年齢を重ねるに連れて固まっている。結婚も、未婚も、離婚も、全て立派な選択肢だと思えるようになったからだ。

◎ ◎

幼い頃、私は結婚は義務だと思っていた。自分にも、周りの友達にも両親がいるのが当たり前だった。「私、◯◯くんと結婚したい!」という幼子だって珍しくない。

それに、かつて母が口にしていた言葉が私の中に染み付いていた。

「あの子のお母さんは離婚したんだよ」
「お母さんの同級生のあの人、独身なんだよ」

誰かが結婚していることはわざわざ言わないのに、離婚や独身の人のことは話題に挙げる。突っかかりを覚えた私は、そんなことを言われたくないから将来結婚するんだろうな、と思った。

年齢をある程度重ねて、結婚は義務ではないと知った。私の将来の選択肢に「結婚しない」が増えた。高校生になると、「自分は結婚しない」という意思が油粘土くらいの硬さに固まった。

◎ ◎

私が結婚したくないと思う理由は、自身が恋愛に消極的ということもあるが、一番は結婚してから不仲になりたくないからだ。母から父の愚痴を聞いて成長したせいかもしれない。異議を唱える人がいるかもしれないが、自分のこの考えは簡単には曲がらないと思う。

それに、一人時間を謳歌するタイプの私は、長時間誰かと過ごすことが苦手だ。結婚して自分だけの時間が短くなることは惜しいし、そのことを相手に押し付ける訳にはいかない。だったら、一人の方が楽だ。

何かの本に「結婚と同じくらい、独身でいることには覚悟がいる」と書かれていた。たしかにその通りだ。いくら自分は独身でいると言い張っても、その分心は疲れてしまう。独身だって大変なのだ。

10年後の結婚観がどうなっているかは分からない。しかし、結婚も独身も、立派な選択肢だ。堂々としていいのだ。

◎ ◎

一方で、最近のメディアを見て思うのは、「戦略的結婚」も可能性としてありかもしれないということだ。

時折雑誌で別居婚や友人婚が紹介されているのを見かける。その機会は増えている。また、私が愛読している小説では、主人公が高校時代の教員と「互助会」という名目で結婚した。お互いが、現代社会の中で生きていくために。

世間の目や行政支援などの点から、日本社会では結婚しているかどうかで住みやすさ・生きやすさが変わるのだと思う。きっと前者の方が生きやすい。この現状もすぐには変わらないだろう。

だったら、凝り固まった制度を利用してもいいんじゃないか。生きづらさに共鳴した相手とタッグを組んで、現代社会を生存するための戦略を立ててもいいのだ。制度だって枠組みの外側のことには干渉できない。
こんなことを言っている私に、そんな相手はいないのだが。

◎ ◎

街を歩いている時、手を繋いでいるかのように引台車を一緒に運ぶ老夫婦を見かけた。その姿を見て、結婚してあんな風になれたら幸せなのだろうな、と胸が少し狭くなった。
でも、こう感じるのも、私の選択なのだ。

ライフスタイルが多様化する一方で、良いものも悪いものも問わず、昔と変わらない制度や考え方も存在する。そんな社会を、私たちは生きていかなければならない。
あなたの選択を、私は尊重します。

■継実のプロフィール
田舎に生まれ育ち、外の世界に憧れ関東の大学へ進学。大学の授業やバイト、留学、大学院などを経て、現在社会人。精神年齢は8才だと思ってる。ワクワクするのが好き。

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