1. トップ
  2. 恋愛
  3. 更年期のセックス「痛いから演技しちゃう…」【薬剤師監修】性交痛対処のイロハ&おすすめの漢方薬

更年期のセックス「痛いから演技しちゃう…」【薬剤師監修】性交痛対処のイロハ&おすすめの漢方薬

  • 2024.10.24

彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人です。タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けています。
そんなえりのボスのもとには今日も悩みを抱えた女性が立ち寄ったようですよ。悩みはずばり、「更年期のセックス」について――。

【えりのボスの「あと半歩で幸せ」】

やっぱり、女は女優(漫画:腹肉ツヤ子)
やっぱり、女は女優(漫画:腹肉ツヤ子)

1. 更年期に入り、セックスの痛みが増した女性

ミヤコさん(42歳女性/仮名)の方からご質問を頂きました。

「最近、彼との夜の行為が苦痛で仕方なくて、悩んでるんです…」

「え? 彼とはラブラブだったじゃない? どうしたの?」

ミヤコさんは深刻な表情で話し始めました。

「彼のことは大好きです。これからも一緒にいたいと思ってるし。でも、最近は夜の行為でほとんど濡れなくて、全然気持ちよくないですし、すごく痛いんです。だけど、彼には痛いからやめてほしいとは言えなくて…」

「そうだったの…それはつらいわね。でも、なかなか言い出しにくいわよね」

「そうなんです。私が気持ちよさそうな演技をしているからだと思うんですけど、彼は全く気付いてないみたいだし。それに、どんなふうに伝えたらいいかもわからなくて」

「そうよね…こんなこと、誰にも相談できないものね。今までひとりで抱え込んでつらかったでしょう?」

「はい。誰にも相談できなくてつらかったです」

「大丈夫よ。性交痛ってめずらしいトラブルではないの。悩んでるのはあなただけじゃないから心配しないで」

「本当ですか? こんなことで悩んでいるのは私だけなんじゃないかって不安だったんです」

ミヤコさんは今にも泣き出しそうな表情です。

これは放っておけません!

2. 更年期に性交痛が起きる原因は?

このまま彼とできなくなるのはイヤ(写真:iStock)
このまま彼とできなくなるのはイヤ(写真:iStock)

「実はね、閉経前後は性交痛を感じやすくなるのよ。更年期の性交痛の原因のひとつは、エストロゲンの分泌量の低下によって膣粘膜が薄くなって膣の分泌物が減り、膣が乾燥しやすくなるからなの」

「そうなんですか! だから私も濡れなかったんですね」

「そうよ。ほかにも、更年期になると膣の機能が低下して、膣感染症にかかりやすくなるの」

「感染リスクもあるなんて知らなかったです」

「それと、性交痛は心理的要因とも関係しているっていわれているわ。夜の行為で痛い思いをすると、また痛みが出るかもって不安や緊張を感じて、ますます濡れにくくなり、痛みを感じやすくなるのよ」

「まさに今の私がそれです。本当に悪循環なんです」

「そうよね。こんな精神的ストレスが続くと、性欲が低下することもあるのよ」

「このまま彼とできなくなるのはイヤです。どうしたらいいでしょうか?」

「性交痛の対処法はいろいろあるから、お教えしたいわ」

【読まれています】アラフォーの性交痛 相性悪いから濡れない?

3. 性交痛が起きるリスクは?

濡れなかったらどうしよう(写真:iStock)
濡れなかったらどうしよう(写真:iStock)

更年期では、膣の分泌物が減少し膣の粘膜も弱くなるため、性交時に出血を起こすことがあります。

また、我慢して性交を続けることで傷口から細菌に感染したり、「濡れなかったらどうしよう」などの不安や緊張から潤滑液が不足し、痛みが増したりするなどの悪循環に陥ることもあるようです。

4. 性交痛への対処法

性交痛への対処法を4つ、紹介します。

4-1 .パートナーとの話し合い

パートナーと一緒に解決策を(写真:iStock)
パートナーと一緒に解決策を(写真:iStock)

性交痛を軽減するためには、パートナーとのコミュニケーションがとても大切です。パートナーに打ち明けるのには抵抗があるかもしれませんが、自分の感じている痛みや不快感についてオープンに伝えましょう。

痛みの程度や痛みを感じるタイミング、痛みが強くなる体位などの情報を共有することで、パートナーと一緒に解決策を見つけ出すことにつながるでしょう。

前戯を丁寧に行ったり、挿入の速度や深さを調整したり、体位の調整をしたりするといったパートナーの配慮により、痛みの軽減が期待できます。

どうしても痛みを感じてしまう場合は、無理に行為を続けるのではなく、その日は行為をやめることも大切です。

4-2. 潤滑ゼリーの使用

潤滑ゼリーの活用もおすすめ(写真:iStock)
潤滑ゼリーの活用もおすすめ(写真:iStock)

性交痛の軽減策として、潤滑ゼリーの活用もおすすめです。潤滑ゼリーは、自然な潤滑を補い摩擦を減少させる効果があるため、皮膚への過度な刺激や皮膚の損傷を防ぎ、快適な性行為の助けになります。

使用方法も、性行為前に直接性器やコンドームに適量を塗布するだけなので使いやすいでしょう。無香料や低刺激性の製品も多く、敏感肌の方でも安心して使うことができます。

4-3. ホルモン補充療法

医師や薬剤師の指示に従って(写真:iStock)
医師や薬剤師の指示に従って(写真:iStock)

女性ホルモンの低下により症状が引き起こされている可能性がある場合、女性ホルモンの補充を行います。

ホルモン補充療法には飲み薬、貼り薬、ジェルなどがあり、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが入っているもの、エストロゲンだけのものなどがあります。

ただし、ホルモン補充療法にはリスクや副作用もあるため、医師や薬剤師の指示に従ってくださいね。

4-4. 漢方薬の服用

生薬を含む漢方薬がおすすめ(写真:iStock)
生薬を含む漢方薬がおすすめ(写真:iStock)

更年期の性交痛には、婦人科の治療でも使われている漢方薬もおすすめです。性交痛を根本から改善するためには、以下のような働きがある生薬を含む漢方薬を選ぶといいでしょう。

「血行をよくして、膣に栄養を届け、膣粘膜に潤いを与える」
「冷えや疲労によるホルモンバランスの乱れを整える」

性交痛にお悩みの方におすすめの漢方薬

・四物湯(しもつとう):からだの栄養を補い、巡りをよくすることで肌に栄養や潤いを届け、更年期症状を和らげます。

・八味地黄丸(はちみじおうがん):からだ全体をあたため、加齢に伴う泌尿器・生殖器系の働きを高めます。

スマホで気軽に(C)コクハク
スマホで気軽に(C)コクハク

スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. 更年期も楽しいセックスライフを送ろう!

「女性の性交痛って、ちょっとしたメンタルの変化や疲れが原因になるの。だから、この機会に自分のからだや心を労るのもいいかもしれないわね」

「そうですね。自分のからだについて知るいい機会になりました。もっと自分のことを大切にします!」

睡眠時間を増やすとか、ストレス発散することも大切よ。彼ともゆっくり話し合ってみてね。大丈夫! また彼とのセックスライフを楽しめるようになるわ」

「ありがとうございます。今回教えていただいた方法を試してみます」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

優しい表情でサロンを去っていくミヤコさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(文・コクハク編集部/漫画・腹肉ツヤ子)

◇ ◇ ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

元記事で読む
の記事をもっとみる