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『ジョン・ウィック』監督、キアヌ・リーブスのひげを巡り上層部と対決

  • 2024.10.23
JOHN WICK - Keanu Reeves, 2014.

キアヌ・リーブスが、悲しみを背負った孤高の殺し屋を演じる『ジョン・ウィック』シリーズ。ガンファイトとカンフーガンを組み合わせた「ガン・フー」という新たなアクションを確立するなど、新風を巻き起こした本シリーズだが、メガホンを取ったチャド・スタエルスキデヴィッド・リーチが苦戦したのは、キアヌのヒゲ面と子犬殺しを巡る闘いだったそうだ。

第1作の公開から10年を記念して行われた『ビジネス・インサイダー』のインタビューで、スタエルスキはこう語る。「僕らは、ギリシャ神話を現代風にしたファンタジー映画を作ろうとしていたのです。時代の本流ではなかったけれど、キアヌを主人公にクールな作品を作りたかった」「だけど、金を出す人たちが見たかったのは、『ハートブルー』や『スピード』のキアヌだったです。今でもそうのかは知らないけれど、当時は主役はヒゲ面じゃだめだと上から言われました」

リーチも「詳しくは話したくないけれど、それ以来、主演俳優のヒゲについて議論しました。スタジオの決まり文句は、『世界で公開するならヒゲをきれいに剃るべし!』でした」と続ける。彼らは、これまでのキアヌのイメージを一新し、ジョン・ウィックというキャラクターを確立するためにキアヌのヒゲを剃らないことを主張。その結果、スタエルスキによると彼らチームは「ひどい反発」にあったそうだ。

JOHN WICK - Keanu Reeves, 2014.

最終的にキアヌのヒゲは実現し、ジョン・ウィックのアイコニックなルックの一部を担うことになったが、彼らは実力行使で、これをつかみ取ったという。「クビになることはないと思い、キアヌのヒゲを剃らないまま撮影を始めました。その週の終わりに、撮影監督ジョナサン・セラの今や有名な薄明りのショットが入ったラッシュを見せたところ、皆が気に入ってくれました」とスタエルスキは話す。

また、冒頭に描かれる愛犬の死は、ジョン・ウィックの復讐最大のモチベーションだが、スタジオはこれにも「不運を呼ぶ」「呪われる」「誰もそんなのを見たくない、観客にそっぽを向かれる」などと反対したそうだ。スタエルスキは、「処刑をアップで見せるんだ。犬を殺すのも一大事だけど、人間を大量に殺害するのはどうなんだ? 受け入れられるのか?」と思ったとのこと。スタジオは「実は子犬は死んでいないという別のラストを作ろう」と提案してきたが、今度はキアヌが立ち上がってくれ、実現にこぎつけたと明かしている。

Text: Tae Terai

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