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【俳優・仲野太賀さんインタビュー】すべては一期一会の世界だから【前編】

  • 2024.10.23

仲野太賀さんといえば、主役としての華もバイプレーヤーとしてのコクも併せ持った、今もっとも勢いのある俳優のひとり。

役者仲間も多い明るく陽気なキャラクターというイメージだったのだが、取材現場に現れた仲野さんは思っていたよりもずっと落ち着いた大人男子。ほのかに漏れ出る色気もちょっと危うく、まだまだ未知数の魅力に惹かれました。

張り詰める緊張感や詩的な世界観の虜に

――饒舌な人ではない。じっくり考え、言葉を探り、また考え、次の言葉を探す。そのため〝間〟が多いのだが、そこに独特のリズムがあり、気づけば心を掴まれていく。この〝間〟の正体は何だろうと思っていると、主演舞台『峠の我が家』への想いの中にヒントがあった。

「(作・演出の)岩松了さんの作品は劇場が揺れるぐらい大爆笑するものから劇場が涙に濡れるような話まで、いろんなお芝居があるんですけど、どれも張り詰める緊張感や詩的な世界観があって。発光していくというより吸引していく引力のある演劇。その深さを目の当たりにして虜になり、もっとこの人の世界を知りたい、この人が描く世界に入ってみたいと思いました」

――発光というより吸引。仲野さんの〝間〟もまさにそれで、引き込む磁力がある。岩松作品を語る言葉が(本人の意思とは関係なく)俳優・仲野太賀の魅力と合致しているのは、互いに共鳴するものがあるせいかもしれない。仲野さんの役者としての新たな扉を開いてくれたのも岩松作品だという。

「この仕事を始めたときは映画に強い憧れがあったので、演劇というものにほとんど触れてこなかったんです。でも17歳のときに岩松さんの舞台を観て衝撃を受けたんです。演劇ってすごいな、と。そこから演劇に興味を持つようになり、一気に新たな扉が開けました。しかも岩松さんの舞台には、僕が憧れている俳優さんや映画監督さんがいっぱい観に来られていて。それを見て憧れの対象を狭める必要はない、コンテンツもジャンルも関係なく自分がいいと思うものは突き詰めればいいと思えるようになったんです」

出典: 美人百花.com

劇場が(僕の)色気でいっぱいになると思いますよ(笑)

――岩松作品は今回6作目で、初の単独主演に挑む。物語の軸となるのは、世間から隔絶された峠の古い一軒家で繰り広げられる人間ドラマ。共演には二階堂ふみや柄本時生など錚々たるメンバーが顔を揃えるが「プレッシャーは正直、そこまで感じていない」とのこと。

「それよりも、このメンバーで一緒に作品を作るというのはなかなかないことで、一期一会の出会いですから、みんなが『参加してよかった』と思える空気にしたい。そのためには頑張りすぎないことが大事だと思っていて。僕はどちらかというとオープンな性格で誰とでもコミュニケーションを取れるほうなので、そのままでいるのがいちばんいいかなと。自分が座長とか関係なく、どの現場でも気張りすぎず、楽しくやるのが好きなんです」

――演出の岩松さん曰く、今作では「仲野太賀に逸脱する男の色気を期待している」とのこと。色気ダダ漏れの仲野太賀が見られる?

「それ、よく聞かれるんですが、皆さんやんわりイジってますよね? 『色気、出すんでしょ?』みたいな(笑)。まぁ、でもそのために特別に何かするとかは考えていないので、とりあえず持って生まれたもので勝負しようかなと。劇場が(僕の)色気でいっぱいになると思いますよ(笑)」

出典: 美人百花.com

――後編に続く――

Profile

仲野太賀(なかのたいが)

2006年2月7日生まれ。13歳で俳優デビュー。今年はNHK連続テレビ小説『虎に翼』ほか、W主演ドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)にも出演。2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』の主演・豊臣秀長役も決定している。

Information

M&Oplaysプロデュース『峠の我が家』

人里離れた峠の古い一軒家に借金のカタとして嫁いできた斗紀(二階堂ふみ)。ある日、この家に安藤(仲野太賀)という若者とその兄嫁が訪ねてくる。斗紀は安藤に救いを求めるが、それは不穏な物語の始まりだった。

作・演出:岩松了 出演:仲野太賀、二階堂ふみ、柄本時生、池津祥子、新名基浩、岩松了、豊原功補
主催・製作:株式会社M&Oplays
東京・本多劇場(10/25〜)ほか全国8カ所にて公演

掲載:美人百花2024年10月号「#いま彼を知りたい」

撮影/女鹿成二 スタイリング/石井大 ヘアメイク/高橋将氣 取材・文/若松正子 再構成/美人百花.com編集部

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