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小島紗希さんと考えるメイクアップ。“かわいい”って何ですか?feat.安藤潤美【yoi Beauty Story vol.05 ルック編】

  • 2024.10.23

「かわいいメイクアップって何ですか?」

今をときめくメイクアップアーティストに問いかけて、そのアンサーをふたつのモデルルックにのせてお届けするビューティ連載。第5回目はコスメティックブランド『uneven』のディレクターも務める小島紗希さんが、モデル・安藤潤美さんの新しい扉を開きます。多様化する“かわいい”のかたちをヒントに、心に心地よくなじんで気持ちをふっと上げてくれる、自分だけの特別な“かわいい”を見つけて。

小島紗希さんと考えるメイクアップ。“かわいい”って何ですか?feat.安藤潤美【yoi Beauty Story vol.05 ルック編】_1
ヘアサロン『nanuk』でPRとレセプションを務めながらサロンのビジュアルディレクションにも携わり、しだいにモデルのメイクアップも手がけるようになったという異色の経歴の持ち主。独立後はコスメティックブランド『uneven』を立ち上げ、かわいげとモード感、使いやすさの狭間をゆく絶妙なクリエーションがおしゃれな人々を虜に。スラッシャーとしてひとつの枠にとどまらずマルチに活躍する。

【小島さんが考える“かわいい”メイクアップのヒント:1】 カーキとネイビーのアンリアルな唇を主役に、いつもと違う自分に“変身”する

小島沙希、安藤潤美、ビューティ1、メイクアップ
シャツ¥121000/3.1 フィリップ リム ジャパン(3.1 フィリップ リム)customercare@31philliplim.co.jp 中に着たシアートップス¥20900/ショールームリンクス(ハクジ)links-partners.com

「私にとって大胆なメイクアップはある意味コスプレのようなもの。普段はつけない色や輝きの力を借りることで、なりたい自分になりきれると思っています。

今回のモデルの安藤さんとはよく撮影でご一緒するのですが、普段はナチュラル系か赤リップが主役のメイクを求められることがほとんど。その安藤さんが普段はつけない寒色系のリップを塗ったら、どんな顔を見せてくれるだろう?と考えました。

まずはカーキだけを唇に塗ってみたのですが思ったよりも顔になじんで、二人して『これ、意外と普通じゃない?』という話に(笑)。ということはまだそんなにワクワクしていないのかもとネイビーを足してみたら、安藤さんの表情に一気に“ポジティブなそわそわ感”が生まれました。

ダークなリップを塗るだけではクールになりすぎるので、下まぶたのカーキのインラインや頬にふわりと仕込んだシェードカラーはマスト。攻めたことをする分、メイクがその人がなじむようにバランスをとるのは欠かせません」(小島さん・以下同)

【小島さんが考える“かわいい”メイクアップのヒント:2】 パープルのシャドウ×グリーンの眉、心踊る2トーンが同時に目に入るように

小島沙希、安藤潤美、ビューティ2、メイクアップ
ジャケット¥187000・中に着たシャツ¥158400/ともにイザ(ボッター) 0120-135-015

「色って組み合わせることで何倍にもかわいく見えたりしますよね。私の場合、好きな色と色を近くで使ってコンビネーションにして、それを軸にメイクを構築することも多いです。

このメイクではパープル×グリーンを入れたかったので、それぞれまぶたと眉に使って2色がいっぺんに目に飛び込んでくるように。主張のある色は分散させるよりもどこかのパーツに集めるほうが、メイクのまとまりもよくなりやすいですね。

目の横のCゾーンには偏光グリーン、高めに入れたチークはオレンジと顔の上半分に多彩な色を使っているので、唇はヌーディに徹して端正なムードに」

小島さんの“かわいい”とは:ときめく色をつけて素直な気持ちがあふれ出した瞬間の表情を大切にしたい

──小島さんにとっての“かわいい”ってなんでしょうか?

今の時代は“コンプレックスをいかそう”って、よく耳にしますよね。私も『uneven』をはじめた当初はまさにそれがかわいいの表現だと思っていて。クマやそばかす、目の形など、その人がコンプレックスと思っている部分をいかしながらメイクして、少しでも好きになってもらえたら……という気持ちが強かったんです。

今もその想いは変わっていないのですが、一方でコンプレックスをかわいいと思うのはメイクアップアーティストとしての私の視点であって、もしかしたらモデルさん本人はどうしても嫌なこともあるかもしれないなと。やっぱりその人自身が心からうれしくなるような“かわいい”を色々な話をして一緒に探してゆきたいと、少しずつ考えが変わってきたんです。

そのきっかけになったのは『uneven』のポップアップストアで全国を回って、たくさんの一般のお客さまにメイクをさせていただいたこと。私のつくる色は一見難しそうなものも多いので『この色かわいいけど、私に似合うかな?どうかな?』とそわそわされる方もすごく多いんですね(笑)。でもお話しして実際につけてみて、なんだかいい感じとなったときの新鮮な驚きや背筋が伸びるような緊張感、照れくささが入り混じった表情ってどの方も共通してものすごくかわいい。それを何度も目の当たりにしていくうちに、ときめく気持ちからはじめる顔づくりってなんかいいなと。

クリスマスにサンタさんの格好をするってなったら、いくつになってもワクワクするのと同じで。普段はつけない色や新しい色をまとうことで気持ちまで高揚したり、いつもの日が特別な日になるのがメイクの何よりの魅力だと、改めて思うようになりました。

──「かわいい!」と思って手にした色が、新しい自分やなりたい自分へのスイッチになるってすごく素敵ですね。でもその色をうまくつけこなす自信のない人はどうしたらいいでしょうか?

こういう話をしておきながらなんですが、私も人の目を気にしてしまうところがあるので(笑)その気持ちもとてもよくわかります。でもメイクって近くで見ないと意外とわからないし、自分の肌で楽しむものだから服や髪型に比べると新しいことにトライしやすいとも思うんですよね。

アイシャドウ=まぶたに広げると思いがちだけれど、たとえばビビッドな色だったら黒目の上にちょこんと塗るだけでもいいですし。まずはときめく色ありきで、その色をどうつけたらしっくりくるかあれこれやってみればいいんじゃないかなと。

たくさんの方に手に取っていただいた『uneven』のサンドベージュのマスカラも、実はコンシーラーをまつ毛に塗ったところから生まれたんですよ。そのモデルさんが黒のマスカラをたっぷりつけると目がキツく見えるのが実は苦手とおっしゃっていて。そこから『まつ毛って別に暗い色じゃなくてもいいよね?ベージュでバサバサしててもかわいくない?』と考えたことが、開発につながりました。

メイクって本当は自己満でいい。

お決まりのルールや似合う似合わないを考えるよりも、無条件に気持ちの上がることからはじめたほうがずっとかわいくなれると、多くの方との出会いを通じて今は強く感じています。

小島紗希さんと考えるメイクアップ。“かわいい”って何ですか?feat.安藤潤美【yoi Beauty Story vol.05 ルック編】_4
東京育ちでありながら、新婚旅行で訪れた北アルプスの絶景に魅せられて2019年より長野県・安曇野市に移住。モデル活動の傍ら、大自然に囲まれて暮らすことの魅力を発信し、そのライフスタイルも注目を集める。

撮影/工藤佑斗 メイクアップ/小島紗希 ヘア/西村浩一(VOW-VOW) スタイリスト/丸山佑香(まきうらオフィス) モデル/安藤潤美 構成・取材・文/小川由紀子

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