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徹夜明けは酩酊状態と同じ!? テスト前の一夜漬けが良くないワケ

  • 2024.10.23
徹夜明けは酩酊状態と同じ!? テスト前の一夜漬けが良くないワケ プラナ / PIXTA(ピクスタ)
徹夜明けは酩酊状態と同じ!? テスト前の一夜漬けが良くないワケ プラナ / PIXTA(ピクスタ)

「睡眠が大事」とはよく聞きますが、食事や運動に比べて「眠れれば何でも良い」「特に気をつかってはいない」なんて人も多いのでは? 睡眠研究の第一人者で筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授の柳沢正史先生は、「睡眠が不足してしまうと心身の両方に大きな影響を及ぼし、脳のパフォーマンスまで低下します」と話します。さらに慢性的な睡眠不足が続くと、深刻な病気を招いたり、老後の健康にまで影響を及ぼしたりすることも…。

睡眠不足からくるパフォーマンス低下、歯ぎしりや夜中に目が覚めるなどの睡眠中のよくある悩みについて解説! 最新の睡眠科学をもとにした正しい情報を知り、今晩から自分の睡眠を見直してみましょう。

※本記事は柳沢正史 監修の書籍『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』から一部抜粋・編集しました。

一夜漬けをしても記憶は定着しない可能性も

徹夜したときの脳はお酒を飲んだ状態と同じ

学生時代、試験前に一夜漬けをしていた人もいると思いますが、これはまったくおすすめできません。十分な睡眠をとらないと注意力が散漫になり、かえって効率が下がります。徹夜明けの脳のパフォーマンスは、飲酒して酩酊しているときと同じくらいまで低下します。徹夜明けの運転は、重大な事故の引き金になる可能性があります。

睡眠不足は論理的な思考を司る脳の前頭葉が影響を受けるので、普段できていたことができなくなり、余計にイライラしてしまうことも。頑張って徹夜をしても、睡眠をとらないと脳に記憶として定着しませんし、残念ながら意味がないと言えます。

1回の徹夜でもダメージは大きい

徹夜したときの脳の働きは、アルコールが血中に0.1%含まれる状態と同等です。つまり、徹夜明けでの仕事は酔っ払っている状態で作業しているのと同じこと。成果を上げようと徹夜しても、よい結果が得られる可能性は低いでしょう。

19時間起きている人と酔っ払いの人の脳のパフォーマンス低下レベルは同じ (C)柳沢正史/朝日新聞出版
19時間起きている人と酔っ払いの人の脳のパフォーマンス低下レベルは同じ (C)柳沢正史/朝日新聞出版

睡眠不足は脳のパフォーマンスに直結する

脳の部位が睡眠不足によって影響を受けることで、脳全体の機能が低下し、日常的な認知機能や感情の処理に支障をきたす可能性があります。

睡眠不足は脳のパフォーマンスに直結 (C)柳沢正史/朝日新聞出版
睡眠不足は脳のパフォーマンスに直結 (C)柳沢正史/朝日新聞出版

効率を上げたいなら一夜漬けをしない

記憶の整理や定着は睡眠中に行われるため、一夜漬けをしても勉強した内容を記憶することができません。また、睡眠が不足すると脳の機能が低下し、これまでに学習した情報も引き出せなくなるため、頑張っても結果につながりにくいのです。

一夜漬けは結果につながりにくい (C)柳沢正史/朝日新聞出版
一夜漬けは結果につながりにくい (C)柳沢正史/朝日新聞出版

監修:柳沢正史さんプロフィール

筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS) 機構長・教授

1960 年東京生まれ。筑波大学大学院修了、医学博士。米国科学アカデミー正会員。大学院在学中であった 1988 年に血管制御因子エンドセリンを、 1998 年に睡眠・覚醒を制御するオレキシンを発見。31歳で渡米し、24年間にわたりテキサス大学とハワードヒューズ医学研究所で研究室を主宰。2012年、文部科学省世界トップレベル研究拠点プログラム国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)を設立。2017年、株式会社S'UIMINを起業し、2022年より代表取締役。紫綬褒章(2016年)、朝日賞、慶應医学賞(2018年)、文化功労者(2019年)、ブレークスルー賞(2023年)、クラリベイト引用栄誉賞(2023年)など多数受賞。

監修=柳沢正史/『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』

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