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「親友が離婚しました。辛い気持ちを聞いてあげたいですが、どんな風に声をかければいいですか?」デリケートな話題への上手な接し方を専門家が指南!

  • 2024.10.23

落ち込んでいる友人だけではなく、話を聞く側のケアも必要?【臨床心理士・南舞さんのあるある! 心の相談室】

Kinga Krzeminska

離婚した友人になんて声をかけてあげるべき?

相談者・Iさん

先日、久しぶりに会った親友が離婚したと報告してくれました。多分、すごく落ち込んでいるのに彼女はあまり感情をオープンにするタイプではないので、自分からその話をしてくれません。家庭のナイーブな話だし、あまり踏み込むのも良くないかなと思いつつ、彼女の役に立ちたいです。なんで声をかけてあげれば良いのでしょう?

臨床心理士・南さん

Iさん、お悩みありがとうございます。お友だちが感情をあまり表に出さないタイプなのだとすると、どう声をかけてあげようかとか、どう寄り添ってあげると良いのか、難しいところですよね。でも、何かしらの形でお友だちの役に立ちたいというIさんの気持ちもとてもよく分かります。

お友だちはもともと感情をオープンにする方ではないとのことだったので、いろんな想いを抱えていても、自分の気持ちを言葉にするのが得意でないからあまり話をしないということもあるかもしれませんね。

あるいは、この先は文面からの推測になってしまうので、可能性の一部として捉えてもらいたいのですが、お友だちが感情を表に出さないのは、心理的な防衛が働いているからかもしれません。例えば離婚のような、大きなストレスや痛みを目の前にした場合、人はその感情に直面することを避け、冷静に振る舞おうとしたり、これ以上傷つかないように自分を守ろうとすることがあります。このメカニズムを心理学の中では【防衛機制】と言い、心の安定を保つために必要な役割と考えられています。

Iさんのお友だちのケースで考えると、もしかしたら今は自分の心の安定を保つために、感情を表出しないという選択をとっているのかもしれません。ですので、今Iさんがお友だちにできることとしては、「話をしないという選択を尊重すること」なのだと思います。心理カウンセリングの重要な概念のひとつに「無条件の肯定的関心」というものがあります。これは、相手を評価したり、条件をつけたりすることなく、そのまま受け入れる態度のこと。お友だちが感情を出さないからといって「本当はどう思ってるの?」など追求するのではなく、彼女がどういった態度であれ、そのままを受け入れる姿勢を持つことが大切だったりします。まさにIさんは今、お友だちの様子を見守っていて、離婚の話には触れていないと思うのですが、それで良いのではないかと思いますし、そして何より、Iさんがお友だちに対して「彼女を案じている」という姿勢を傾けている、そのことだけでも十分に役立っていると感じました。

さて、ここから先は、他にどんな関わり方ができるのか、お友だちの様子が少し変わってきた時にどのように声をかけたら良いかという視点でお話ししてみたいと思います。

Christopher Malcolm

離婚した友人に対して、役に立てることとは?

(1)安心できる環境を提供する

感情を表に出しづらいお友だちには、話すことを強制しないようなメッセージを伝えたり、言葉よりも非言語的なコミュニケーションが効果的な場合があります。例えば、「無理に話さなくても大丈夫だから、話したくなったらいつでも聞くよ」といった言葉をかけるとか、ただ一緒に時間を過ごす、話をせずにゆっくりとお茶を飲むなどです。ただ誰かと同じ空間にいることは、心の安定や安心をもたらすもの。何かこちらが特別なことをしようとしなくても、そばにいるだけで安心感を与えることができることを覚えておいてくださいね。

(2)選択肢のある問いかけをする

「選択の自由があること」は、相手の心理的負担を軽減すると言われています。無理に問い詰めたりするのではなく、相手に選択肢を与える形で聞いてみると良いかもしれません。例えば、「最近はどう?」「何か話したいことがあったら聞くよ、でも話したくなければ大丈夫だからね!」「どんなことがあっても、私はあなたの味方だよ」というように、選択権はあくまでお友だちにあるという視点で話をしていくと、無理強いすることなく、お友だちが話したいと感じたときに話せる環境を整えることができると思います。

(3)感情を受容する

お友だちが少しでも自分の気持ちについて話し始めたら、その気持ちをそっと受け止めてあげてほしいと思います。例えば、「ちょっと疲れちゃった」と話してきた時は、「そうだね、今は本当にいろいろあって疲れるよね」といったような感じで、詮索することなく、お友だちが感じた気持ちを受け入れてみてください。お友だちとしてもきっと、Iさんに受け止めてもらえたと感じるはずです。

juanma hache

支える側のケアも大切に

最後に、Iさん自身も、自分自身のケアを大切にしてほしいと思います。相手のつらさに寄り添おうとするのは大切なことですが、相手に寄り添うあまり、自分の気持ちを我慢したり、無理して関わろうとすると、精神的に疲弊してしまいます。自分の中で難しいと感じる関わりは無理にやらなくても良いですし、時には適度な距離感を保つ、あえて触れないこともお互いにとって良いことだったりします。ぜひIさんにできる範囲でお友だちに寄り添ってあげてくださいね。

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