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故・大山のぶ代さん、関係者が振り返る現場風景……「のび太役と折り合いが悪かった」一面も?

  • 2024.10.23
故・大山のぶ代さん、関係者が振り返る現場風景……「のび太役と折り合いが悪かった」一面も?の画像1
2008年3月、外務省から「アニメ文化大使」に任命されたドラえもん(Getty Imagesより)

国民的アニメ『ドラえもん』(テレビ朝日系)の声で知られる声優・大山のぶ代さんが9月29日、老衰のために亡くなったことを、10月11日に所属事務所のアクターズ・セブンが発表した。90歳だった。

目次

・大山のぶ代さんの訃報に、業界内外から悲しみの声
・大山のぶ代さん、「のび太役と折り合いが悪かった」一面も
・後任声優・水田わさび、業界内から厳しい評価

『ドラえもん』声優・大山のぶ代さんの訃報に、業界内外から悲しみの声

藤子・F・不二雄氏による同名漫画(小学館)をテレビアニメ化し、国境や言語を超えて、今や世界的人気を誇っている『ドラえもん』。1973年4~9月に日本テレビ制作でアニメ第1作が放送されたのち、79年4月からはテレビ朝日系で第2作目のオンエアが開始した。

「大山さんは、第1作目で声優を務めた故・富田耕生さん(20年9月に死去)、野沢雅子の後に続き、テレ朝での放送に先立って制作されたパイロット版からドラえもんの声を担当。放送25周年を迎え、キャラクターデザインや設定の変更、キャストの総入れ替えがあった05年4月の大幅リニューアルのタイミングまで、あの独特なダミ声で四半世紀以上にわたりドラえもんを演じました」(声優誌ライター)

『ドラえもん』降板後は、テレビやラジオに出演したほか、ナレーターとしても活動。10年に1作目が発売したPSP用ゲームソフト『ダンガンロンパ』シリーズでモノクマ役を務め、13年7月期放送のアニメ(TBS系)にも出演した。

一方で、12年にアルツハイマー型認知症を患い、16年には夫・砂川啓介さん(17年7月に死去、享年80)が尿管がんを患ったことから高齢者施設に入居。今年に入ると、体調を崩しがちで入退院を繰り返していたという。

日本のアニメ・声優界をけん引したレジェンドの訃報に、ネット上では「ドラえもんの声を想像すると今でも大山のぶ代さんの声が浮かぶ」「大山のぶ代さんのドラえもんで育ったからショック」などと悲しみの声が広がった。また、先代のドラえもん声優である野沢ら、多くの業界関係者からも追悼コメントが寄せられている。

大山のぶ代さん、ドラえもん役に「強い信念」あった一方で……「のび太役と折り合いが悪かった」一面も

多くの人々から惜しまれながらも天国に旅立った大山さんだが、制作関係者は『ドラえもん』に出演するようになった当時について、以下のように振り返る。

「初代ドラえもん役の富田さんはあまり評判が良くなく、テコ入れで2代目に野沢が選ばれましたが、短命で終わることに。そんな中、ジャイアン役のたてかべ和也さん(15年6月に死去、享年80)、スネ夫役の肝付兼太さん(16年10月に死去、享年80)らエース級の声優と共にテレ朝版にキャスティングされた大山さんは、原作者の藤子氏に『ドラえもんってこういう声だったんですね』と言わしめるほど、適役だったようです」(制作会社関係者)

大山さん自身もそれを感じていたのか、ドラえもんを演じることになった際、「すごい出会いをしてしまった」と話していたといい、05年4月に降板するまで、ほかのキャラには声を当てていない。前述の関係者は「『自分の声はドラえもんだけだ』という強い覚悟があったのでしょう」と推測する。

なお、大山さんは声優として活動を始める前は顔出しでドラマや映画に出演しており、「女優としても普通に芝居ができる人」(同)だそう。

「ハスキーで特徴的な声に女優時代はコンプレックスがあったようですが、声優としてはそれが魅力となっていた印象です。また、歴史のある国民的アニメで座長を務めた人ですから、強い信念も持っていました。一方で、のび太役の小原乃梨子さん(今年7月に死去、享年88)とは折り合いが悪かった一面も。現場でほかのメインキャストがフォローすることもありましたが、言い換えると、大山さんが不機嫌な態度を出せるくらい気を許した、“家族”のような現場だったのかもしれません」(同)

後任声優・水田わさび、大山のぶ代さんは「超えられていない」――業界内から厳しい評価

そんな大山さんから役を引き継いだ水田わさびについては、厳しい評価が聞こえてきた。

「水田ももう20年近くドラえもんを演じていますが、大山さんは超えられていない印象があります。自分なりのドラえもんを作ろうとした結果、歪んだドラえもんになっていると感じます。大山さんは“心”で演じていましたが、水田はいくつかドラえもんの“型”を作ってパターン化して演じているところが見えます。大山さんの存在が大きすぎたこともあり、プレッシャーもあるのかもしれません」

ちなみに、05年のキャスト入れ替えの際、オーディションに参加した声優たちには「『声を作らないでください。自然体で演じてください』とスタッフからオーダーがあった」(同)という。

「しかし、スネ夫役を獲得した関智一は、声を作って演じていました。今でも肝付さんに寄せた芝居をしているのは謎です。何か裏で力が働いていたのでしょうか……」(同)

今年で放送45周年を迎えたテレビ朝日版の『ドラえもん』。現キャストには、大山さんをはじめ、鬼籍に入った先代たちの想いもつないでいってほしいところだ。

勅使河原みなみ(ライター)
独自に集めた情報をもとに、声優に関する記事を執筆しているライター。好きな食べ物は浸し豆。

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