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保護責任者遺棄。責められるのは何故いつも女性だけなのだろう

  • 2024.10.23

普段ニュースを見ていて、疑問に思うことがある。
それは、若い女性が病院以外の場所で1人で出産をして、そのまま遺棄してしまい、逮捕されるという内容。決まって、10~20代の若い女性が多いように思う。ネットで調べてみると、殺人罪、保護責任者遺棄などという罪名になるらしい。

こういったニュースを耳にする度、同じ女性として胸が痛む。それと同時に、なぜ捕まるのは、責められるのは、取り上げられるのは、「彼女たち」だけなのだろうと疑問や怒りが湧く。

◎ ◎

少なくとも私は、こうしたニュースの中で、彼女たちのパートナーまで言及されているものを聞いたことがない。あまり彼女たちの背景に寄り添いすぎるのも、行為を肯定しているようで良くないのだろうけど。

もちろん、パートナー側に非がない場合だってあるだろうから、昨今問題になっている誹謗中傷や個人情報特定に走らせてしまうような報道はあってはならない。が、動機が語られなければ、次の抑止力や解決方法には至らないのではないか。

私はまだ出産を経験していない。結婚もしていないが、パートナーがいて、いずれは結婚や出産という道を歩む可能性はある。子供は好きだ。でも、結婚や出産の話すら出ていない今でも正直、出産の苦しみや、経済的な生活への不安は大きい。自分は親になれるのか、生活していけるのか、不安は尽きない。

◎ ◎

女性として生まれて、こんなことを考えるのは罰当たりかもしれない。
でも、不公平なことに出産は女性しか出来ず、それによる痛みや辛さや苦しみの大半も女性が引き受けなければならない。それなのにも関わらず、頼れる場所が無く、どうしたら良いか分からず、その結果誰にも言わずに出産することを選ばざるを得なかった(のかもしれない)彼女たちにのみ責任が発生し、パートナーは何も咎められないのは何故か。当たり前だが、女性がひとりで妊娠することは不可能な訳で、必ず相手がいる。誰が、何が原因で、別れたとか別れないとか、産むとか産まないとか、子育てをするとかしないとか、分からないけれど。

身近に彼女たちは居なかったため、想像の範疇を出ない。もしかしたら、どうしようもない生き方をしていたのかもしれない、非行に走っていたのかもしれない、他に犯罪を犯していたのかもしれない。でも、その一方で、家族やパートナーに見放されたのかもしれない、言葉の壁で相談できなかったのかもしれない、半ば強制的な望んだ妊娠ではないのかもしれない、金銭的にどうしようもなかった、知識がなかったのかもしれない、そう思わずにはいられない。何も日本人だけではなく、日本に出稼ぎに来た外国人でもある事件だ。

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私だって、将来身篭ったとして、100%中絶しないとは言いきれない。生かしたまま、産める確証は無い。苦渋の決断で命を絶たせる決断をしなければいけない時が来るかもしれない。

例えば、金銭的に困窮していたとして、望まない妊娠をしてしまった。相手や家族に話せる状況ではない。病院へ行くお金もない。仕事も休めない。中絶するにもお金がかかる……。
こうするべきと人は簡単に言うが、人はそんなに強くない、と思う。

恨みがつのって抑えきれなくなって人を殺めてしまう人と、痛みを伴いながら産み落として、結果的に殺してしまった人と。罪の重さは同じなのだろうか。責任は、その人だけなのだろうか。女性として生まれてしまったがために、負わざるを得ない重すぎる責任。

全員が全員、何も感じない、もしくは喜んで遺棄したと思うのか。確かに良くないこと。犯罪なのだろう。それでも、語られない彼女たちの背景に少しくらい、寄り添い、歩み寄る、理解しようとする姿勢を見せることは出来ないのだろうか。

少なくとも、今現在妊娠していて誰にも言い出せない人、相談できない人、お金が無い人、どこに行けばいいか分からない人が、次の犯罪者とならないように、社会で守っていこうという動きを見せることは出来ないのだろうか。

◎ ◎

例えば、犯罪であることはもちろん前提としつつ、こういった相談窓口がある、こういった活動をしている人々がいると、次の彼女たちを生み出さないための歩み寄りが、思いやりがせめてあれば、少しは希望が持てる。

私だって子供は好きで、きっと出産したら幸せで楽しいと思う。皆が安心して、将来出産や子育てが出来る社会であってほしい。
およそ1億2千万人のうち、たったひとりの私が出来ることは何だろう。ニュースをキッカケに疑問に思う。非力だが、考えていこうと思う。

■mariとりんごのプロフィール
旅行好き。漫画、本好き。

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