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自分だけが気付けなかった妻の二面性。2歳の息子に「ふざけんなよ、おまえ」と暴力をふるい…

  • 2024.10.23
結婚し子どもが生まれて、妻は仕事を辞めた。育児で心のバランスを崩したのか、息子に暴言を吐き、暴力を振るっていることが発覚した。夫である40代男性は、妻の性格についての忠告を複数にわたり周囲から忠告されていたことを思い出す。
結婚し子どもが生まれて、妻は仕事を辞めた。育児で心のバランスを崩したのか、息子に暴言を吐き、暴力を振るっていることが発覚した。夫である40代男性は、妻の性格についての忠告を複数にわたり周囲から忠告されていたことを思い出す。

夫婦であっても、互いに相手のすべてを知っているわけではない。まして、自分のいないところでパートナーがどんな側面を見せているかは知るよしもないだろう。だが、それがとんでもない一面だとしたら……。

結婚後、妻のとんでもない一面を知った男性

「結婚したのが遅かったから、すぐに子どもができてうれしかった。妻のことは信頼していました。仕事では彼女の冷静さにいつも助けられていたから」

暗い表情でそう話してくれたのは、ジュンさん(47歳)だ。5年前に4歳年下の女性と結婚、すぐに妻の妊娠がわかり、産まれた息子は4歳になった。

妻はジュンさんと仕事で取り引きがあった会社に勤めていた。知り合って数年たっていたが、帰宅時にばったり駅で会ったことがあり、同じ沿線に住んでいると知った。そこから個人的な付き合いが始まって1年、結婚を決めたのだった。

「彼女はしっかりしていて、いつもにこやかに仕事を進めてくれました。結婚するとき、僕の同僚女性が『私もあの人と仕事をしたことがあるんだけど、すごく意地悪されたのよ。大丈夫?』と言われたんです。でもそれはおそらくふたりの相性が悪かっただけだよと僕は言いました。僕には本当にいい人に見えたから」

近隣から「息子さんが泣いている」と心配される

ただ、共働きでやっていこうという彼のもくろみは崩れた。彼女は『やっぱり子どもがかわいそうだから』と退職したのだ。ほしいと思っていた子どもに恵まれたのだから、そういう心境の変化もあるだろうと彼は気にもとめなかった。

「だけど子どもと2人で向き合っているうちに、彼女の心のバランスが崩れていったんでしょうね。ずっと仕事をしてきたのに、急に家事育児だけになって窮屈だったのかもしれない。それならそうと言ってくれればよかったんですが、僕の知らないところで彼女の気持ちがねじれていったみたいで」

彼が見ているところでは、妻はいつも息子に優しかった。抱きしめてばかりいるので、甘やかしすぎなのではないかと言ってみたこともある。だが、それはカモフラージュにすぎなかった。

「息子が1歳になったころ、近所の奥さんにばったり会ったら『お子さん、いつも泣いてらっしゃるけど大丈夫ですか』と言われたんですよ。僕は仕事が忙しくて、なかなか家庭をきちんと見ることができなかった。

息子に何かあったのかと思って、妻に尋ねると『いつも泣いてるなんて大げさよ。あの奥さん、私たちに何か恨みでもあるのかしら』と、本当にわからないといった様子で首を傾げていた」

それでも、そのころから彼は少しだけ妻の動静を気にかけるようになった。

たまたま早退した日の衝撃

息子が2歳になるころ、彼はたまたま風邪をひいて具合が悪くなり、早退したことがあった。

「マンションの玄関を開けようとしたら、家の中から息子のひきつけるような泣き声が聞こえたんです。そうっと開けてみたら、妻が怒鳴り散らしていた。その言葉がすさまじくて……。

『ふざけんなよ、おまえは』『おまえなんていらないんだよ、捨ててこようか』って。ふだん、僕も妻も息子に“おまえ”とは言わないようにしていたはずなのに……」

そのままリビングに入っていくと、妻が仁王立ちしていて、息子が土下座のようなかっこうで座ったままお腹を押さえて泣いていた。

「まさか……と思いました。息子に『ママにお腹を蹴られたのか』と聞くと、息子は怯えたような顔でイヤイヤをする。でも、おそらく蹴られたのだと思います。驚いて声も出なかった。

妻に『何をしているんだ!』というと、『あんまり聞き分けがないから、ちょっとお説教』と平然と言うんですよ。お説教にあんな乱暴な言葉を使うのか、いったいどういうつもりで息子に接しているんだと怒鳴ると、妻はフンッと顔を背けて出ていきました」

怯える息子は、頷いた

怖がらなくていい、いつもママにああやって怒られているのか、大丈夫だよと落ち着かせながら彼は息子に尋ねた。息子は彼をじっと見て頷いた。

「警察に連絡すべきかと思いましたが、とりあえず息子の身の安全を確保しなければと思い、1時間ほど離れたところに住む実家の母親に連絡しました。両親はもうじき80歳ですが元気に暮らしている。とりあえず息子を2、3日預かってもらいたい、今から連れていくからと言うと、何かを察したのか『わかった。待ってるから』って」

連れて行って状況を話すと、母は「もしかしたらと思っていたけど」と、そんなこともあり得るような気がしていたと言った。ジュンさんを心配させまいと言わなかったが、母はジュンさんの妻の意地悪さを見抜いていたようだ。

「孫がどこか子どもらしくないと思っていた、と母が言っていました。気づけなかった自分が本当に情けない。僕が帰ると、妻が戻っていました。

『ついカッとしてしまって』と妻は謝りましたが、怒鳴ったり手を上げたりするのが常態化していたようです。自分を制御しきれなかった、日々イライラが募っていったと妻は泣いていました」

妻はついに本性を見せた

だからといって元の生活には戻れない。もう手は上げない、怒らないと妻は言ったが、気持ちだけで自分を制御できるようになるとは思えなかった。

「カウンセリングにかかるにしても、とにかく子どもとはしばらく会わせないと言ったら、『結婚できたのは誰のおかげだよ』と言い出した。ああ、これが妻の本性なんだなと思い、僕は離婚を決意しました」

離婚すればいいんだと思ったとき、急にもやが晴れたような気持ちになったという。心のどこかで、妻への疑念の芽は生まれていたのかもしれない。

その後、1年以上かけてようやく離婚が成立。両親は家を売って、ジュンさんが住むマンションの別の部屋を購入し、息子の面倒を見てくれている。

元妻はカウンセリングにかかりながら、パートで仕事をしているようだ。息子が会いたいならいつでも会わせるつもりでいるが、息子は今もママに会いたいとはいわないという。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。

文:亀山 早苗(フリーライター)

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