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家の運気をあげるため、風水にのめり込んだわたし。こんなに頑張っているのに親友も娘も冷たくて…スピリチュアル沼にハマった女性のセミフィクション

  • 2024.10.22

この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

未来を知ることができれば、すべての不安は解消できるのだろうか。

『占いにすがる私は間違っていますか?』(福々ちえ/KADOKAWA)は、平穏な日常を送っていた専業主婦が、ちょっとした不運の積み重ねから風水にのめりこんでいく姿を描いたセミフィクションコミックだ。

夫とふたりの子供と暮らす専業主婦の梅子。彼女は、実家での「ある出来事」をきっかけに「この家は不吉だ」と感じるようになる。実家の運気を上げるべく風水師に相談し、そこからずぶずぶと風水に依存していく梅子。それはすべて「家族を不幸から守りたい」という強い思いからだった。

しかし親友のあかねには「現実を見なよ」と突き放され、家族との間には溝が生まれ、梅子は次第に追い詰められていく。

本作では、風水に傾倒していく梅子の極限の心理状態が、じっくりと丁寧に描かれる。

「こんなにも運を良くしようと頑張っているのに…!」と、自分を正当化しようとする梅子。このセリフから、彼女がいかに風水に依存し、正常な判断力を失っているかがわかるだろう。一方で、幾度となく繰り返される「わたしのせいで」という言葉。そこからは彼女の拭えない罪悪感と、家族への愛が伝わってくる。

「占いなんて生活の潤いみたいなもの」そう考えていたあかねも、実は占いにすがるひとりだ。梅子と対比的に描かれるあかねだが、彼女が占いに依存していく背景も多くの人にとって理解できるものだった。苦しいほど切実に描かれるあかねの物語も見逃せない。

風水や占いは、けっして人生の答えを出してくれるものではない。それでも、誰かに答えを出してほしい、誰かに大丈夫だと言ってほしいときがある。目に見えないものに救いを求めることは、はたして本当に悪いことなのだろうか。

風水を信じる梅子は、家族の幸せを守ることができるのか。梅子の姿を通して、自分自身の心に巣くう不安と向き合うきっかけになる一冊だ。

文=ネゴト / ニャム

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