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戦争を終わらせ、平和を勝ち取るためにできること──映画『私は憎まない』全国上映中

  • 2024.10.22
『私は憎まない』Photo_ (c)Famille Abuelaish
『私は憎まない』Photo: (c)Famille Abuelaish

昨年10月7日、パレスチナのガザ地区から始まった奇襲攻撃は世界中に衝撃を与え、多くの無辜の人々が今も犠牲となり続けている。

「私の家族が暮らすパレスチナ・ガザ地区の人々は、生よりも死に近い場所にいます。今この瞬間は生きていたとしても、数秒後には命を奪われてしまっているかも知れません。この一年で私は親族を50人以上亡くし、誰が次に犠牲になるのかわかりません」

2024年10月8日、都内で行われた『VOGUE JAPAN』のインタビューでこう語ったのは、映画『私は憎まない』(2024)の公開に伴い来日したイゼルディン・アブラエーシュ博士。「医者は人道が第一。患者を診るときに重要なことは、患者の民族性や宗教、家系などではなく、病そのものです。この取り組みを病院の外でも採用し、互いに対等な相手として接しようではありませんか」。映画の中でアブラエーシュがこう話すように、医療でイスラエルとパレスチナの分断に橋を架けるべく、ガザ地区ジャバリア難民キャンプ出身のパレスチナ人としてイスラエルの病院で働く初の医師となった。ガザからイスラエルの病院に通い、産婦人科医として命と向き合ってきたのだ。

しかし2009年、両者の共存を誰よりも望んできた彼を悲劇が襲う。彼の自宅がイスラエル軍の戦車の砲撃を受け、3人の娘と1人の姪が殺されたのだ。砲撃直後、博士の肉声をイスラエルのテレビ局が生放送し、彼の魂を引き裂くような叫びはイスラエル中に伝わった。その翌日、博士はテレビカメラの前で憎しみではなく、共存を語りだす。イスラエル政府に娘の死の責任を追求するも、決して復讐を選ばず、憎しみではなく平和的な解決を訴え続ける姿が描かれている。アブラエーシュは、こう続ける。

「日本の皆さんは、戦争の意味を知っています。広島や長崎の原爆投下や東京大空襲などを経験し、苦しみ、喪失、殺人、破壊の意味を知っているからです。だから、私は皆さんにパレスチナ人のことを考えてほしいのです。私たちと同じ人間であることを、彼らの声を代弁し、パレスチナ人たちへの思いやりを示してほしいのです。ただ傍観するのではなく、声を上げたり、政治的指導者に手紙を書いたり、今起こっていることを周りに伝えてください。パレスチナ人の自由は、皆さんの自由でもあります。パレスチナ人の尊厳は、皆さんの尊厳でもあります。平和、正義、平等を実現することで、世界全体が恩恵を受けるのです」

『私は憎まない』(c)Famille Abuelaish
『私は憎まない』(c)Famille Abuelaish
『私は憎まない』(c)Famille Abuelaish
『私は憎まない』(c)Famille Abuelaish

『私は憎まない』

開催日程/2024年10月4日(金)アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー

監督/タル・バルダ

プロデューサー/ポール・カデュー、マリーズ・ルイヤー、イザベル・グリッポン、タル・バルダ

制作/Filmoption

配給/ユナイテッドピープル

https://unitedpeople.jp/ishall/

Text: Mina Oba

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