1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「娘にフリフリの服、私に黒いワンピースを着せたがる」エリート夫に震撼した、ある日の出来事

「娘にフリフリの服、私に黒いワンピースを着せたがる」エリート夫に震撼した、ある日の出来事

  • 2024.10.22
夫は表面的にはすごく優しいし、実家も資産家で稼ぎだって悪くない。しかし、自分の親や兄を毛嫌いする、娘や妻に着せたがる服の趣味を押し付けてくるなど、気がかりなことも多々ある。しかし決定的に問題なのは、物事に対して心ある行動をしないことなのだ。
夫は表面的にはすごく優しいし、実家も資産家で稼ぎだって悪くない。しかし、自分の親や兄を毛嫌いする、娘や妻に着せたがる服の趣味を押し付けてくるなど、気がかりなことも多々ある。しかし決定的に問題なのは、物事に対して心ある行動をしないことなのだ。

好きになって結婚を決めたら、夫になる人はハイスペだった。しかも実家も資産があった。当然ながら「ラッキー」と思うだろう。ところが結婚してみると、夫は優しいようで優しくない。表面的には「当たり障りのない優しさ」を振りまいているのだが、心の奥からの言葉を出さない。出さないのではなく、ないのかもしれない。

夫は子どもに惜しみなくお金を使う

「うちの夫は本当に変わった人です。付き合いが半年ほどと短かったんですが、夫は私のどこが気に入ったんだろうと今になると思う。年上だし、夫のおかげでそれなりの生活ができているので、ありがたいとは感じているけど……」

伏し目がちにそういう潤子さん(39歳)。8歳年上の夫と結婚して10年。8歳のひとり娘がいる。

「お金には案外、鷹揚なんです。だけど微妙にセンスが変。娘にはフリフリの洋服を着せたがる。娘はボーイッシュな服装が好きなんですが、夫と一緒に出かける時は無理矢理ピンクのフリフリを着せられています。

私も出かけるときは、どこかの入学式みたいな地味なスーツか、喪服ですかというような黒いワンピースでないとダメと言われます。まあ、夫と一緒に出かける機会が少ないから、娘も私も我慢しているんですが」

夫は資産家の生まれで家族との関係は悪い

夫の実家は、代々、事業を経営している資産家。だが実家は夫の兄が継いでいるため、夫は家に入り込めず、とある企業に勤めている。それでも潤沢な経済は家庭内でも回っているようで、夫はときに外車をポンと買ったりする。

「おそらく実家には愛憎相半ばといった感情をもっているんじゃないかと想像しています。義両親も義兄も、私からみればとても穏やかな人たち。彼らは、一家の次男を『変なヤツ』扱いしてきたみたいで、夫はそれが不満なんでしょう。でも、義両親や義兄のほうが正しいかもしれないと最近、思っています」

潤子さんは、義両親の誕生日にはプレゼントを吟味して送る。素敵なカードをつけて。義両親は「いつも楽しみにしてるの。ありがとう」と喜んでくれるのだが、それが夫にバレるとひどく怒られた。

「あんな奴らに使う金はない、と汚い言葉で罵っていました。よほどトラウマでもあるのかと思って聞いたけど何も言わない。義両親に尋ねたら『大事に育てたつもりなんだけど、ひねくれてしまったの』ということだった。私は味方でいようと思った時期もあったけど、最近は、ちょっとついていけないなと思うこともありますね」

彼女はさらに声を落とした。

夫は子犬を蹴飛ばした

センスがおかしい、両親や兄を恨んでいる面がある……など夫への不信感はあったが、それでも娘をかわいがっていることだけは分かっていたので、潤子さんは夫に特に文句を言ったりしたことはなかった。

「娘の8歳の誕生日に、欲しがっていた子犬を飼おうと思ったんです。私も少し前から保護犬や保護猫のボランティアをしているので、娘と共に飼う子を決めました。それを夫に言ったら『そんな話は聞いてない』と。だから今、聞いてるの。

娘が育てたいっていうし、ひとりっ子だから犬を飼うのもいいと思うと言うと、プイと横を向いてしまいました。『いいわね、飼うからね』と念を押したので大丈夫だと思ったんです」

数日後、準備が整って保護犬がやってきた。すぐに娘と仲よくなっている。人懐こくて穏やかな子だと聞いていた。ところが帰宅した夫は、家に入るなり「犬臭い」と大騒ぎ。

「ちゃんとシャンプーしたばかりだし、そんなに匂うわけないんですけどね。玄関で犬の声が聞こえたから、臭いと言いながら入ってきたんだと思う。娘がちょうど犬と遊んでいたんですが、『やめなさい。犬は鎖をつけて外で飼いなさい』って。小型の家犬ですよ。番犬じゃない。犬も夫を見て怯えているのが分かりました。

だからさっと抱きかかえようとしたら、夫が犬を蹴ったんですよ。軽くだったけど、犬は悲痛な声を上げた」

その瞬間、娘が「やめて」と叫びながら父親に飛びかかった。夫もさすがにショックを受けたらしい。それきり、娘は父親と口をきかなくなった。

夫の心の冷たさ

「命あるものを足蹴(あしげ)にするのは、夫の心の冷たさでしょうね。犬はしゃべれないけど、自分を愛してくれているかどうか見抜いています。それきり犬もおかしくなって……。

今は2階の娘の部屋で犬を飼っています。日が落ちるまでは階下で一緒に遊んだりしていますが、夜になると、いつ夫が帰ってくるか分からないから娘はさっさと2階に行ってしまう。私も夫が帰るまでは2階での生活です」

そういえば義両親も60代になってから小型犬を飼っていた。そう思って、潤子さんはそれとなく相談してみた。つい思いが走って、夫が犬を足蹴にしたことを話すと、義母は「そういう子なのよ。結婚したら直るかと思ったけど、やっぱり変わらない」と嘆いた。

「離婚してもいいんだからねと義母に言われて、少し気持ちが楽になりました。今後、娘がどう判断するかをじっくり観察していくつもりです。今はまだ、娘のショックが強くて何も話せないので」

夫も娘を傷つけたことは頭では分かっているようだ。だが自分がそれほどいけないことをしたのかが分かっていない。それが絶望的だと、潤子さんはまたつらそうな顔をした。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。

文:亀山 早苗(フリーライター)

元記事で読む
の記事をもっとみる